久しぶりにスーパーに行って、改めて感心してしまった。

向かって左のコーナーに生鮮品が固まっている。最初のコーナーにはフルーツ類が置かれている。びわ、すもも、日本のサクランボにアメリカのチェリー。チェリーの方が安くて果肉が厚い。すいかが出始めていて、切り身で売っている。熊本産の小玉すいかなどというものもあった。パパイヤ、ライチ、アボカド、パッションフルーツといった南洋のフルーツももはや珍しくはない。バナナにもいろいろな種類がある。フィリピン、エクアドル、台湾産。ブランドもののDoleは、フィリピン産である。フルーツは、幾つかの種類を混ぜて、カットフルーツとして一口サイズに切り分けて売られていたりもする。

それは隣の野菜のコーナーも一緒で、さまざま種類の生野菜が、組み合わせを変えて2人前程度の分量でサラダとして売られている。カット野菜は、ピラフセットやバーベキューセット、きのこ野菜炒めセットなどにもなっているし、ねぎもきざんできざみねぎとして売られているし、えんどうもむき実えんどうが売られている。ハーブもミント、バジル、セージ、ローズマリー等々といった種類の生の葉が適量で小袋に入れられてエスビー食品から売られている。エリンギ、舞茸といったキノコ類も豊富で、ブナしめじという種類が大量に売り出されていた。「香り松茸、味しめじ」というこの長野県産の茸をあなたは知っているか?にがうりももう珍しくなくなってしまった。ニガウリの横にはゴーヤーチャンプルーの素が置かれているが、大葉の横にも「大葉ヘルシークッキイングガイド」が置かれている。

 

ペコロスという変わった種類のタマネギはオーストラリアから来ているらしいが、ミニアスパラはタイから、ミニセロリはアメリカ、ライムはメキシコ、レモンはカリフォルニア、そして何故かオランダパプリカは韓国から来ている。中国産は、しょうが、にんにく、にんにくの芽、たけのこ、生椎茸、白髪ねぎなどである。

さかなもほっけ、がしら、あじ、かます、さんまといったさかなが開きになってこぎれいな袋の中に仲良く並んでいる。紐で刺した刺しにはあじ、めばる、うるめ、ししゃもなどが、これも仲良く束になっている。他にきびなご、がしら、うおぜ、あゆ、あゆの子といった種類も並んでいた。海藻もひじき、もずく、わかめ、昆布と豊富である。貝も、しじみ、あさり、はまぐりといった種類が活けでいろいろな土地からやってきている。

   
text/キムチ

キ ム チ p r o f i l e

 

海鮮類も海外産が多い。うなぎは中国、まぐろのかま肉はグアム産、はまぐりも中国から、とろはスペインから、たこはモロッコから、サーモンはノルウェーからやってきて、さわら、はも、はもの子は中国産。ずわいがにとからすカレイはロシア産で、むらさきイカはペルー、むきはりイカはベトナム。種類の多いのがえびで、ブラックタイガーはインドネシア産、カリマンタンと書かれているものもある。むきえびはオーストラリア産や中国産、単にえびと書かれてものにはマダガスカル産やパプアニューギニア産のものがある。げそはモロッコ産で、きすの開きはタイから来ている。

とにかく、いろいろなところから、いろいろな種類の食材が集まっている。これを豊かといわずして何が豊かといえるのか? 日本以外にこれだけの達成をなしえたところがあるのだろうか?寡聞にして事の真偽を知らないのである。しかしながら同時に、奥歯に食べ残しが詰まったような違和感も拭えないのは、これが端的に日本の食料自給率の低さをも表現しているからだろうか。FAO(国際食料農業機関)の穀物自給率のデータによると日本は、世界178カ国の中で136位。食料自給率は、平成14年度で食料全体が40%、穀物自給率で28%(ただし飼料用を含み、主食用穀物については61%)という数字だそうだ。

日本はこの数年、外食産業が売り上げ規模を徐々に落とし、変わって中食と呼ばれるお惣菜類(デパ地下などで売られている)の売り上げ規模が上がっている。近所のスーパーも「ミートソリューション」とかいう、単なる食材の提供ではなく、食生活への提案を売り物にしているそうだ。スーパーの中を歩いていると、クッキングでも初めてみようかという気分になるのは、当方がまだまだ素人だからだろうか。

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2004年6月14日号掲載