>> 特集◎河合マーク  
 河合マークとは人の名前ではない。嘘だと思ったら、ひとつ google で検索してみるとよい。いまさっき検索してみたところでは、ちょうど100件のウェブページが見つかった。そのうち、ウエブ電藝とポエマホリックカフェzamboa を除いた95件は、 <人ではない河合マーク> について書かれたページだったのである。
 もしかしたら、河合マークとはどこにもいない誰かの名前なのかもしれない。彼の詩に登場する様々な人物――先生と子供に始まり、 <主任> やら <口笛氏> やら <たぬき> やら、 <雨夜にコンセントが抜けそうなほど乱暴にする男> やら、 <薬局の仁科さん> たちの語りを読むにつけ、河合マークの名前はますます透明さを増していくように思える。
 たとえば、

  あの花は
  なに
  白くてぶどうの房みたいに
  こずえにたくさん
  ぶら下がるのは

と始まる「あの花はなに」。ここに出てくる、「あなたがこの街にやってくる/ずっと前から/ここにこうして/立ってい」たと語る、キュートな「わたし」が好きだ。いくぶん少女趣味なきらいはあるが、世界が叙情によってたくみに縁どられる。
 しかし、その前週には、彼は「スコットランドの片田舎に住む/指物師」だったのであり(「グリーンスリーブスをもう少し」)、そうして35の語りが電藝に掲載された。
 うっかり叙情と書いてしまったが、そんな言葉で片づけるわけにはいかない。「し」ではなく「じ」を書く人を「詩」にしてしまう(「せんせいあのね」)のは、語りの叙情性によるものとばかりは言いきれないからだ。そこに河合マークの秘密がある。そしてこの秘密を解く鍵は、彼がこだわる朗読にあるような気がする。
 さあみんなつくばへ行こう。