2000年紙ジャケ大賞 選考経過

【2000年紙ジャケ大賞】
BMGファンハウス
「エルヴィス ペーパースリーブ・コレクション A LIMITED EDITIONシリーズ」


【ROCK/POPS部門】 部門賞:BMGファンハウス/「エルヴィス ペーパースリーブ・コレクション A LIMITED EDITIONシリーズ」 次点:ユニバーサルミュージック/「ストレンジ・デイズ・プレゼンツ ブリテッシュ・ロック・レジェンド・シリーズ 第1回」 3位:ビクターエンタテインメント/「ザ・キンクス オリジナル・ジャケット・コレクション」 K:12月に出たストレンジデイズ・プレゼンツなんかどうでしょうか? あれ、紙ジャケとして相当に凝った作りだと思うですけど。 S:チューダー・ロッジなんか、凄い凝っててたね。表面の地文様(写真)も 再現してたもんなぁ。内袋のヴァーティゴ渦巻きも再現してあったし。 Y:キンクスもよかったな。紙ジャケの元祖ビクターが”細部まで忠実に再現” と豪語しただけあって、ここまでやるか!の仕上がりだった。 N:「表面コーティング、フリップバック、裏側コーティングなし」で、 ブリテッシュファンにはたまらない仕様。 S:そういや、某Mさんも、フリップバック(写真)にやられて、全タイ トル即買いしたんだっけ? W:ロックについては、単に紙ジャケにしましたという段階から、細部に までこだわったプロダクトが次から次へと登場した。 S:惜しかったのは、イミディエイトのオグデンズ〜。ギミックジャケの再現 に関しては、プラケースには出来ない紙ジャケならではリイシューとして、 手放しで拍手するけど、いかんせん、音で味噌をつけたな。 N:残念でしたねぇ〜。 T:ロック方面では、こんなものまで紙ジャケに!っていうものが目立ちまし たね。 W:グレートフル・デッド、ファンカデリック、ゴング・・・。 Y:単発だけど、ピンク・フロイドの炎も出た。 T:そういえば、探検隊で「『炎』発売記念・フロイド娘コンテスト」って のもやりましたねぇ。 N:ジミヘンも出た。米盤仕様のジャケで残念だったけど。 W:うーん、こうしてみると選ぶのが難しいなぁ・・。 K:スティーリー・ダンは売れましたねぇ。あっという間になくなって、再プ レスしたやつも、すぐになくなった。 Y:紙ジャケベストヒット賞とか作ったら、スティーリー・ダンだな。 S:キングさんなんて、どうでしょうかねぇ。 Y:なんだ、キングって・・・?去年、キングから、何んかロックの紙ジャケ 出たっけ? S:いや、レコード会社じゃなくて。 Y:クリムゾンだったら、オレはファンだけど、99年からの継続シリーズだ から今回は対象外だぞ。 T:もしかして、三浦カズ? S:ああーもう、お馬鹿さん!ロックでキングっていったら、エルヴィスに決 まってるでしょ。 全員:おおっ! W:エルヴィスかあ! Y:ジャケはそれほど凝ってないぞ。 S:ジャケは元々ギミックなものは少ないんだけど、「クリスマス・アルバム」 なんかは、綴じ込みのカラーブックレットがゴージャスな雰囲気だしてるよ。 クリスマス・アルバム/左:ジャケ表、右:見開き N:いいっすねぇ、エルヴィス。これは紙ジャケの作りの出来不出来というよ りも、エルヴィスのキャラクターの強さが、ぷんぷんにおってくる。 W:企画勝ちってとこかな? K:紙ジャケ向きの御方だったんですねぇ・・・。 Y:よし、ロック部門はエルヴィスで決定! 全員:えっ?ホント! W:ホント!それじゃ、JAZZ行ってみようか。
【JAZZ部門】 部門賞:日本コロンビア/「takt JAZZ MILLENNIUM EDITION」 次点:東芝EMI/「RVGスペシャル・エディション」 3位:ユニバーサルミュージック/「MPS 24-BIT MOST PERFECT SOUND EDITION」 A:JAZZは数がやたら出たけど、新鮮味のある企画が少なかったなあ。 W:ビクターエンタテインメントのプレスティッジ、リバーサイドとか、東芝 EMIのブルーノートとか、以前からの継続企画が多いからね。 Y:新シリーズで目立ったものは、MPSかな? S:ああ、MPSは音がよかったんだけど、紙ジャケの出来がひどかった。特 にオスカー・ピーターソンとかの、最初に出た15枚ね。 W:ジャケがゆるゆるで、少し傾けただけでCDがストンと落ちちゃうし、ダ ブルジャケット仕様のやつは、ビニール袋に入れて置かないとだらしなく開 きっぱなし。 K:リマスターの音がよかっただけに、残念でしたね。 Y:もっとも11月に出た後半の15枚は、だいぶ改善された。ダブルジャケの 両面切り落としから、片面閉じに改善されたしね。 S:年末に出たRVGのスペシャル・エディションはどうかな。 Y:「クールの誕生」や「レフト・アローン」をルディ・ヴァン・ゲルダーが リマスターするっていう夢の企画だけど。オレはそれほど感動しなかったな。 W:新世紀を迎えるプレゼント的な企画としては悪くないけど、むしろ、ブルー ノートの方はどうなっちゃったの?中途半端で終わっちゃうの?っていう残念 な気持ちの方が強い。ファンとしては、世界遺産的な価値を持つブルーノート を出来うるかぎり、RVGリマスター&紙ジャケ化してほしい。 K:サヴォイはどうでしょうか?あれもMPSに負けず劣らずいい音でしたよね。 Y:H2リマスタリングね。ビクターのデジタルK2みたいな、新方式かと思っ たら、マスタリング・エンジニアの保坂弘幸さんのイニシャルだったのね。 S:今月出たSJ誌なんかでは、音が作りすぎで鼻につくって、評価もあったみた いだけど・・・。 W:ボクは好感持ってるよ。キャノボールアダレイなんか、音がツヤツヤして、 パンチも増した。94年〜95年かけて出たサヴォイの従来紙ジャケと比べる と1、2枚ベールが剥がれた感じがする。 H:ただ、あれですねぇ。今回のサヴォイの場合、過去に紙ジャケ化されたものも 相当数含まれているますからねぇ。新鮮味という点では、なんですねぇ。 S:秋から始まったパーカーの完全版は素晴らしいプロジェクトなんだけど、アナ ログ盤の再現というわけではないから、他の紙ジャケとも比較しにくいしね。 Y:アナログ盤の再現という点では、RVGスペシャル・エディションの方は、ジ ャケの紙質を盤ごとに変えたり、モノによっては表面と裏面も変えたり、ジャズ の紙ジャケとしては、かなりこだわって作っているね。 W:じゃあ、やっぱりRVGは上位に入れとこう。 A:日本ジャズの紙ジャケ復刻の目立ったね。 S:富樫雅彦の音楽生活45周年だっけ?日本コロンビアとユニバーサルミュージ ックからほぼ同時期に紙ジャケ化されたね。 W:異なる会社から、別々のシリーズで出たんだけど、互いに紙ジャケにしたこと で企画がうまく連動した感じだね。紙ジャケをうまく利用した企画だと思うな。 H:日本のジャズといえば、taktレーベルの紙ジャケ復刻が良かったですねぇ。 S:うん、あれは良かった。ヒノテル、ナベサダ、菊池雅章、佐藤允彦など、あの 頃の日本ジャズの熱気が紙ジャケで伝わってくるような気がする。 K:そうですね。あれはプラケースじゃだめですね。紙ジャケでないと。 Y:じゃあ、taktは紙ジャケに相応しい企画だったということね。 A:ジャズはtaktにしましょうか?日本のジャズにスポットを当てたという点で も価値はあるし。 W:うん、そうしよう。
【CLASSIC部門】 部門賞:該当作なし 次点:ユニバーサルミュージック/「ドイツ・グラモフォン・ヴィンテージ・コレクション」 3位:該当作なし S:クラシックは今年も低調でしたね。 W:99年の続きみたいなものしかないから、該当作なしだな。 S:まあ、そうなりますかねぇ。 H:クラシックファンっていうのは、紙ジャケ嫌いなんすかねぇ。 S:いや、嫌いといういうか。買いたくなるような紙ジャケがないんじゃない? ロックやジャズと比べると、紙ジャケ化の基準がぼやけてんだよね。オリジナ ルのジャケを完全復刻しようという意志も希薄だし、リマスターの情報表記も ないものが多い。ただ、紙にしただけ。 Y:クラシックこそ、きちんとした復刻&リマスターを施してほしいね。 K:ま、今年は該当なしってことで。2001年はがんばってほしいですね。
【J-ROCK/J-POP部門】 部門賞:sky station/「SHOW BOAT MASTER PIECE SERIES 2000 荒木一郎シリーズ」 次点:ポリドール/「VINTAGE COLLECTION 紙ジャケット完全復刻 パーフェクトリイシュー」 3位:日本クラウン/ 「PANAM(ティン・パン・アレイ関連のリイシュー)」 T:ぼく的には、ティン・パンかなと思うですけど。 Y:そりゃ、キミは細野さん好きだしね。 W:ぼくも好きなほうだけど、なんだか半端なシリーズだなとも思う。ティン・ パン・アレイの2はどうなったんだとかね。 Y:それより、遠藤賢司とか、布谷文夫、深町純なんかのヴィンテージ・コレク ションの方が凝ってるぞ。 S:ブタの鼻が鳴らなかったのが、マイナスだな。 W:このシリーズに入っていて、結局発売が見送られた喜納昌吉&チャンプルー ズ、RCサクセションが発売されてたら、これが部門賞だったね。 K:ショーボート関連は、どうでしょうか? Y:和作とか、マキシマム・ジョイとか良かったね。 S:マキシマムでしょ。(注:マキシマム・ジョイは80年代英国のバンドです。) W:ショーボートでは荒木一郎で、ガツーンとやられたなぁ。 A:ワンアンドオンリーな世界ですな。 S:紙ジャケではないけど、2000年は「絵本」も復刻された。ちょっとした荒木 一郎の回顧イヤーだったね。 Y:じゃ、今年は荒木一郎ってことで。
【海外賞】 Alucard(EU)/「Gentle Giant / In a Glass House」 S:えー、ここ1〜2年の間に、海外でも盛んに紙ジャケが作られるようになって きましたので、海外賞を新設しました。 W:99年は英コロンビアのミレニアム・エディションとか、ロキシー、クリムゾ ンとか、いろいろあったけど、2000年はどんなのがあったっけ? S:海外の場合、紙ジャケをBOXに詰めたセットものが多いね。代表的なのが ドアーズの紙ジャケBOXかな。 Y:ばら売りだと、ブラック・サバスかな? W:うん、ブラック・サバスかもね。 K:皆さん、ジェントル・ジャイアントの「ガラスの家」は買いましたか? 全員:ハーイ。 Y:みんな買ってるだな。 S:だって、ほら透明フィルムの窓がちゃんとついてるし、ジャケ表面のデコボコ 文様も再現してあるし。 H:海外の紙ジャケもここまで来たかって感じですね。日本もうかうかしてられま せんな。 W:ま、縦横比はいいかげんだけどね。透明窓に免じて大目にみましょう。 Y:じゃ、海外賞は、ジェントル・ジャイアントの「イン・ア・グラス・ハウス」 ってことで。
【紙ジャケアンコールプレス賞】 ポリドール/ 「ヴァーヴ・24ビット・スーパー・ベスト50(スーパー・プライス)」 S:以前、ヴァーヴの24ビット・スーパーベスト50が出たのは95年。その頃は、 紙ジャケの黎明期で、我々探検隊もそれほど熱心に紙ジャケを集めていなかった。 W:そのせいで、結構持っていない紙ジャケも多かったのがこのシリーズ。 Y:アンコールプレスで、ようやく50タイトル全て揃った。 S:最初のヴァーヴのベスト50は、とにかく名盤揃いだからね。全部買いだよ。 Y:価格もよかったね。なんと税込1427円!素晴らしい価格設定だ。 W:アンコールプレスはこうでなくちゃね。思いきった価格設定で、結構売れた んじゃないかな?前と同じ価格だったら、まとめ買いはもっと少なかっただろ うからね。
【がんばれ!レゲエ・DUB賞】 ツー・チルドレン・ワールド/「リー・“スクラッチ”・ペリー&ザ・アプセッターズ/ リターン・オブ・ザ・スーパー・エイプ」 W:2000年はブラックミュージックが少なかった。 A:ロックの方に、ファンカデリックがあったじゃない。 W:あ、そっか。 S:ブラック・ミュージックっていっても幅広いからね。ジャズとか、ソウルとか、 その他もろもろ。 Y:年末ぎりぎりに発売されたのが、リー・ペリーだね。 W:実は、探検隊も年明けになって、レコード店で発見したんだよ。即買ったね。 S:リターン〜があるってことは、スーパー・エイプの方も出ているのかと思って 探したけど、結局、出ていたのはこのリターン〜だけみたいね。はっきりした ことはわからないけど。 W:紙ジャケの方は、ファンカデリックの仕様を参考したのか、両切りダブルジャ ケットで、LPサイズの折込ポスターが付いている。 A:折込ポスターってさ、ファンカデリックの場合、ペドロ・ベルの超・細かい フェルトペン・アートを鑑賞するために苦肉の策でつけたんだと思うのね。 S:なんか勘違いしてるみたいですね。大体、リターンのジャケは本来シングルで しょう? W:まあ、いいじゃないですか。リー・ペリーが紙ジャケになるなんて、わたしゃ、 百年待っても無理かと思ってたんですから。 A:ま、そうかもね。この際、細かいこと抜きっていうことで。 Y:あーあ、そういう馴れ合いの論評が、レゲエの紙ジャケを堕落させるだよ。 S:そうそう、ビートルズとか、ツェッペリンとか、オリジナル盤が手に入りや すいものはいいの。むしろ、レゲエなんかは、一般の音楽ファンには、どれが オリジナルなんだか、よくわからないものも多いわけだから、紙ジャケにする 時はオリジナル盤のデザインをちゃんと再現してもらわないとね。 W:あー、この人は、まだボブ・マーレーの紙ジャケが両切りダブルジャケット でだったのを根に持ってるんだよ。 S:当たり前だよ。ボブ・マーレーは特に細心の注意をはらってきちんと紙ジャ ケ化しないとね。(プリプリ) Y:それから、リマスターもね。レゲエ・ファンは、実は音にうるさい人が多い んだよ。(プリプリ)
【選考を終えて】 (選考を終えて、一服中です・・・。) Y:ふへぇーっ、疲れた! S:それにしても、大賞がエルヴィスとは、意外だったなぁ。 W:うん、ここに集まった全員が、予想していなかったんじゃないかな? T:そういや、なぜエルヴィスにしたんでしたっけ? Y:そりゃ、エルヴィスだからだよ。 S:キングだからね。探検隊を見てくれる常連さんはプログレやハードロックの ファンが多いんだけど、世界に目を向けると、やはりエルヴィスの人気は高い。 国内外で、今後じわじわと評価が上がってくるんじゃないかな。 W:重箱の隅をつつくような採点をすると、ストレンジデイズ・プレゼンツとか、 キンクス、J-POPのヴィンテージ・コレクション(遠藤賢司ほか)になるんだ けど、アーティストの人気を含めた話題性なんかを加味すると、やっぱエルヴ ィスになっちゃうんだよな。 Y:抜きんでた企画がすくなかったな。 S:紙ジャケ向きの企画かどうかという観点で選ぶと、去年の大賞が、ユニバー サルの女性ヴォーカルだったように、紙ジャケにするに相応しい面構えのジャ ケがあるアーティストかどうか?ということはあるよね。 W:エルヴィスはギミック・ジャケとかじゃないんだけど、彼自体が絵になる。 プラケースCDの時は感じなかったけど、紙ジャケを見て、ぐっと来たわけよ。 S:2000年はギミックジャケの再現もここまでやるか?ってレベルまで行っち ゃったからねぇ。 Y:ファンとしては大歓迎だけどね。 T:現場の人は、大変でしょうねぇ。 一同:ありがたいことです。関係者の方々、どうもお疲れさまです。 W:それにしても、今年はいっぱい出たねぇ。 S:我々が把握しているだけでも、ロック・ポップスで147タイトル、ジャズが、 な、なんと380タイトル。 T:アンコールプレス合わせると450以上ありました。 N:J−POPも40タイトル強と多かった。 Y:クラシックは25、少ないなぁ〜。クラシックはどうにかせんとなぁ・・・。 S:年末に駆け込みでリー・ペリーが出たけど、レゲエとか、DUBとか、もっと 紙ジャケ化してほしいね。 W:探検隊は実はレゲエ、DUB好きなんだよね。アイランド、トロージャン通し で、ウェラーズを紙ジャケ化してほしい。 S:以前出た、ボブ・マーリーの紙ジャケはひどい出来だったからな。次に出す時 は、ファンが納得するようなリマスタリング、紙ジャケ化を希望したい。 Y:ま、そんなこんなで「がんばれ!レゲエ・DUB賞」を追加したわけだ。 T:そういえば、ブルースとか、R&Bなんかも、少ないかったですねぇ。モータウ ンとかCHESSとかも出してほしい。 W:そういった要望は、この場ではなく探検隊の「紙ジャケ化希望リスト」に投票 してください。 H:しかし、2000年も果たせなかったな。 A:何が? H:探検隊の英語版。海外からの要望多いからね。 Y:だれか、作るの手伝ってくれんかなぁ。 W:よし!今年こそ、英語版を作るぞ! A:ホント?! (了)

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