2005年紙ジャケ大賞 選考経過

【2006年紙ジャケ大賞】
ソニーミュージックダイレクト
 「サンタナ紙ジャケ」

2007年正月 都内某所で今年も選考会です。

S:今年の選考はラクですねー
Y:圧倒的でつまらないけど、文句のいいようがない
W:ということで、今年はこんなものを御用意してみましたね



なんと、血迷ったのか、いい気になってるのか?、探検隊。
9年目にして紙ジャケ大賞のトロフィーをつくってしまいました!
パンパカパーン!・・か?



Y:で、これ作ったはいいけど、どーすんのこれ?
W:送るよ、ソニーに送る。
Y:いいのか?勝手に送っても?
 ・・・これしかし、なんて彫ってあるんだ?



Y:第9回紙ジャケグランプリ2006年紙ジャケ大賞グランプリ・・
  って、いっぱい書けばエラいってわけじゃないだろ!?
S:いやもう、気持ちだからさ、そのへんは
Y:つうかこの板のスペースに「紙ジャケ」って4回もいれてるぞ
W:どっからよんでもわかるというね〜。そうね〜。トゥーマッチ
  なトロフィーでいこう、と。
  とにかく送りつけるから。
  うけとってくれるかどうかわからんけど。もうアポなしで送るよ、ホント。
Y:・・・・・んでこれからどうすんの?今後もやるの?
S:今回送り返されなかったら、来年も続けようと・・。
  ソニーさん、危険物じゃないんで、ぜひ受け取ってください!
  今からマジ送りますから!
Y:ある意味危険・・。迷惑じゃないのか?悪フザケがすぎると・・。
W:まぁとにかく送ってみましょう!新機軸ってことで!

トロフィーはともかく、サンタナの紙ジャケ、特にオリジナルが
日本制作の「ロータスの伝説」は、当時のスタッフが再集結!
レコード史上驚異の22面体ジャケの再現、オリジナルの4chマ
スターから新たにリミックスしなおした音質と、もはや紙ジャケ
にとどまらずロック復刻/リイシュー史上に残る記念碑的な作品で
あった。大賞は当然であるが、凄すぎてやばくないか?今後の復
刻に対するハードルが高くなっちゃうような懸念もある。「ロー
タス」の担当者の方のように、真っ白な灰になっちまうまで愛情
を注いだ復刻が今年も登場してくれるだろうか。

S:しかし、大賞がまたソニーっていうのはどうにかならんのか
  しら・・
W:値段とこだわりを考えるとなー。07年は他の会社にも期待し
  たいとこです。


【ROCK/POPS部門】 部門賞:「サンタナ紙ジャケ」 ... 見事に大賞となったソニーのサンタナ紙ジャケだが、やはり 「ロータス」がぬきんでている。 これだけ紙ジャケが多くリリースされてくると、ジャケの再 現忠実度はどれもよくできているわけなので、やはりリイシ ューする意義というか、買う価値というのが大きな購入動機 になってくる。 1.どういうリサーチ、リイシューをしたかちゃんと書いてあ る。 2.海外リイシューでカラーブックレットなどがある場合は、 紙ジャケにも付属している。 この2点は今回の選考で考えさせられた部分だ。1は新規解 説で盛り込んである場合もあるが、アルバムの紹介などはそ んなに変わるものでもない。解説は昔のままでいいからリイ シューに関しては担当者が書く、というスタイルでもいいと 思う。 慣習というか伝統的にレコード会社担当者は書いたりしない のだけれど、ソニーのブログやワーナーのイエス紙ジャケの ように、担当者がちゃんとコメントすることで(それがたとえ 短くても)顧客満足度はあがる。商品価値もあがる。 2のカラーブックレットは海外リマスターで日本発売という 場合。これはソニーのように極力入っていて欲しい。なくな ると、いっしょにリマスタークレジットまでなくなってしま うことがあるからだ。ブックレットの内容にもよるが、初出 データや未発表写真などが掲載されていると泣くに泣けない。 最悪なのは同じ国内発売で、先行プラケ盤には入っていて、 数百円高くして発売された紙ジャケでは割愛されてしまうこ と。これは紙ジャケを買う必要はない。音が同じならプラケ で十分だ。ただし価格が変わると品番を買えなければならず、 その場合部材も印刷し直しという商品管理システムから 考えなければコスト高になってしまうのだが・・・(もち ろん回避策はあるのだ)。 と、たまに真面目に書いているが、選考はいつも真面目にや っているのだ。てな観点でロック部門1位はサンタナ。 次点:「ストレンジ・デイズ・プレゼンツ ロック・レジェンド・シリーズ」 (ソフト・マシーン、アンドウェラ、ブラック・キャット・ボーンズほか) 2位はユニバーサルのロック・レジェンドとBritish Beat40th が最後まで争った。アルバム単位では(なんと)初CD化だった というBB40thのジョージィー・フェイムやスペンサー・デイビ ス・グループもいいリイシューだった(売れ行きもよかったよう だ)が、実に紙ジャケ向きのギミック・カバーが再現されたと いうことでソフト・マシーンの1stを含むロック・レジェンドを 選んだ。同様に4月のアンドウェラ、12月のブラック・キャッ ト・ボーンズ、ザカリアスなども2位だ。またしてもリーフハ ウンドが幻に終わったが、あきらめずにチャレンジし続けて欲 しい。そのうちにほんとに「伝説の紙ジャケついに発売!」と なるかもしれない・・・。 第3位:「ソフト・ロックの名盤」 (ミレニウム、ブルース・ジョンストン、サークルほか) それで3位がBB40thかというと、そうでもないところが紙ジャ ケ大賞の面白いところで、意外と会社バランスに気を使ってい たりする(が、別に何をもらえるわけでもなし、義理もないの だが・・・)。それでもボストン、ジャーニー、ELOとたて続け に強力なものが出ているソニーは複数はいらざる得ない。中でも ソフト・ロックのシリーズは白眉。ミレニアムも何度かボーナス てんこもりでCD化されているが、紙ジャケになったんでようやく 探検隊も買えた。レアなインサート再現もうれしい復刻だった。 第4位:「STIFF K2HD オリジナル・ジャケット・コレクション」 (ドクター・フィールグッド、ルーモア、レイチェル・スウィートほか) 4位は紙ジャケの元祖ビクターのK2HDリマスターからSTIFFの シリーズを。今年はパンク30周年記念ということで、紙ジャ ケでも色々でたのだが・・。ブロンディ、ジェネレーションX、 ストラングラーズ、ワイアー、ギャング・オブ・フォー、ジ ョナサン・リッチマン、スージー&ザ・バンシーズ、ちょっ とずれるがスミスなんかもあった。しかし実際に買う気にさ せてくれ、良かったのはウルトラヴォックスくらいだった。 ジャムの「スナップ!」はいい出来だったのだが・・・。 W:でも結局編集盤だからなー。もともとのアルバムに対して   あんまり思い入れがない。 ちなみにこれはリアルタイム派の意見。わたしもいまだにジャム のシングルがコレクションとしてそろわずに歯抜けのまま家に残 っていて、これはリアルタイムだったせいか思いいれが強い。 結局パンクはシングルで聴くのが一番いい、ということを再認識 させてくれたのが年末に出たクラッシュのシングルBOX。ただ、こ のBOXを聴いていると思うのだが、シングルで聴くのが一番いいの だけれど、ほんとうにほんとは、ラジオなんかで聴いて、気に入 った曲を1枚1枚バラで買っていくのが一番楽しいのだ。だから ストーンズやジャムのシングルBOXも出たのだが、シングルはBOX で聴いても面白くない?(あ、これは過激すぎるな)。 話はもどって、パンク30周年のわりに最大の大物ラモーンズが延 期未定になってしまったので、ニューウェーブではあるのだけれ どSTIFFを4位に選んだ。B級感あるSTIFFの中でもB級のライン ナップで、実によかった。出来も申し分ない。 第5位:「“British Rock Explosion”第2弾」(モット・ザ・フープル、イアン・ハンターほか) 5位にモット・ザ・フープル、イアン・ハンターの紙ジャケがく る。ボストンやジャーニーとどっちにするか悩んだんだのだけれ ど、ユニバーサル編のマスクつきもあったのでモットに軍配。 店頭で「すべての若き野郎ども」の黄色かぶせ帯をみた時はちょ っとトキめいてしまった(だからビョーキといわれる)。カラー ブックレット封入でパンパンなったソニーの紙ジャケは、付録つ きのマンガ雑誌みたいで実にそそるのだ。 第6位:「ストレンジデイズ・プレゼンツ ピート・タウンゼント」 6位はフーのソロ関係。代表してインペリアルのタウンゼントを 選んだが、ストレンジ・デイズから出たエントウィッスルとムー ンもいい出来。いい出来だし、ムーンなんかはバカ殿ギミックジ ャケで紙ジャケ向きなのだが、さすがに内容が・・・。というこ とで聴いて満足のピートを選考してしまうところが意外と真面目? な探検隊。 年末に出たフーの日本編集版もよかった。東芝からも日本編集版 フォーマットが出たりしたので、このジャンルも今後期待がもて る。ただ、初CD化のバージョンがあったり曲目が多少ちがってい るとはいえ、どうもなんか日本デフジャケはユニオン特典でもら う方がいいなー、などと考えてしまう。あさましいというか、特 典なれしちゃった消費者は怖いのだ。 第7位:「エレクトリック・ライト・オーケストラ ペーパー・スリーブ・コレクション」 7位はソニー/東芝のELO。ま、なんつっても「第三世界の曙」のくり ぬいた宇宙の先がジェフ・リンの顔、っつうロイ・ウッド顔負けの引 きまくりジャケでよみがえったのが素晴らしい。しかしこの二人のジ ャケに対するセンスは一体・・・。日本版LPはこのジャケをもとにし たデフジャケだったのだが、これも特典で欲しかった(特典なれした 消費者はまったく・・・)。 第8位:「サウンド・ピクニック 紙ジャケット・シリーズ」 (デイブ・ベル・シンガーズ、フォーキング・カズンズ、ほか) S:「ジャケガイのススメ」もいい企画だったし、話題にもなったんで   いれたいんですけどね Y:あれはロック部門なの? S:ま、全体的にポピュラーというかですね W:どれだっけ・・・(とゴソゴソと紙ジャケの山をあさりだす)   何枚か買ったんだよね   あ、これだろ、これそうじゃない? Y:それそれ S:いや、それは、それっぽいんだけど W:あ、帯に「サウンドピクニック」って書いてある。これ、「ジ   ャケガイ」シリーズじゃないんだ・・・ Y:それでいいよ、内容的にもそっちの方がスジが通ってるし S:あの、内容的にスジが、とかいっちゃうと「ジャケガイ」の   コンセプト的にね、違うというか W:じゃ、このジャケでなんで「ジャケガイ」じゃないんだ? S:あー、いいよ、わかった。「サウンドピクニック」にしよう! てなわけで・・8位はジャケガイのはずがサウンドピクニックに。 第9位:「ユニバーサル ミュージック プレゼンツ 名盤の殿堂シリーズ」 (デイブ・メイソン、マーク・ベノ、ロン・デイヴィスほか) 9位はスワンプ、SSW系が乱立状態。デラニー&ボニーのスタックス 盤を強力に押す隊員、ジェームズ以下テイラー一家はどうなんだ?と の意見。ポール・サイモンは国内初出リマスターだっけ・・ええと。 ロギンス&メッシーナ、ハウディ・ムーン、ウォーレン・ジボン、果 てはジノ・バネリのAOR系まで飛び火。 Y:じゃ、もう実際に聴いてみよう! 次々と聴いていく探検隊だったが・・・デイブ・メイソン、マーク・ベ ノときたところで手打ちに。 W:・・・名盤の殿堂だろうな S:これは買って損はない ということでめでたくユニバーサル名盤の殿堂シリーズがまたしてもラ ンクイン。 第10位:「エアー・メイル・レコーディングス ブリティッシュ・カルト・レーベル・コレクション」 (サムライ、クリス・ハーウッド、サラマンダー他) アルカンジェロ、ストレンジ・デイズ、エアメールの御三家の中で も(一体なんの御三家だ?)。今年一番目立ったのがやはりエアメ ール。モーガン・スタジオ・コレクション、マン、クライマックス ・シカゴ、クレア・ハミル、ハニバス、ナザレスと怒濤のリリース だったがカルト・レーベル・コレクションはほんとカルトだった。 元のマスター素材によるのだろうが、音質的にはよいのも悪いのも ある。しかし、とにかくマスタリング・スタジオに入ってリマスタ ーして出している姿勢は評価すべきだろう。値段は高いが、ライン ナップ的には高くて当たり前というか、安く出せないし、メジャー は高くしても出さないようなものをよくぞ、という感じだ。 中でもサムライを筆頭にマニア垂涎のラインナップがならぶカルト レーベル・コレクションを挙げたい。もう、これでいいや、わたし 高いオリジナルじゃなくて紙ジャケでガマンします。紙ジャケも高 いんだけど・・・。 第11位:「コンラッド・シュニッツラー紙ジャケット・シリーズ」 (クラスター、コンラッド・シュニッツラー) 11位も高い。高いし、きっと滅多に聴かないが、これを元のコンセ プトのまま復刻したキャプテン・トリップに敬意を表してクラスタ ーに。800枚限定でもしばらく店頭に残っていたのは、さすがである。 ジャケ復刻のとんでもなさ的にはロータスにつぐ。 第12位:「ブリティッシュ・ロック・マスターピース パート12 ドノヴァン」 12位はWHDとアルカンジェロが、ストレンジ・デイズと最後の椅子をあら そう。 W:「エクスポージャー完全版」いれないの?あれけっこうすごか   ったよ。 Y:復刻はすごいこだわりなんだけど「エクスポージャー」が2枚   あっても愛聴するのか?まぁ価格は良心的だけど W:じゃあクラスターは聴くのか? S:WHDは今年からなんだけど、ブライアン・オーガー、エニドと   か話題作が多かった。でもしょっぱなの象徴的なクリムゾンを   後に回すということで・・ W:WHDってワールド・ヒット・ディスク? S:WOWWOW、ホリプロ、ディスクガレージだってば・・・ それからアルカンジェロのスティーライ・スパン初期作も最後まで選考に 残った。2nd、3rdがライブを加えて2枚組で3800円超。もちろんこれは 悪くない、いい復刻方式なのだが、買いやすければもっと上位にいてもい いリイシューだった。 ストレンジ・デイズのインクレディブル・ストリング・バンドもあがった が、選ばれたのは待望の紙ジャケ化が(全部ではないが)なったドノバン に。やはり聴いて内容的に感銘をうけてしまうと強いというか・・。そう した観点は最後の最後で排除を徹底できないところがあった。 もちろん「H.M.S.ドノバン」や「ライブ・イン・ジャパン」もきっとその うち・・・との期待をこめて。
【JAZZ部門】 一時停滞していたジャズの紙ジャケだが、今年は豊作。やはり帝王マイルス が出た年は活気があるのだろうか? 中南米系やブラックよりの紙ジャケも素晴らしいものがあったし、近年盛り 上がりをみせている「和ジャズ」が紙ジャケでも目立つようになってきた。 今年はとみに素晴らしいジャズ批評の特集もあり、今後も新たな人気盤が 出現しそうな気配だ。ジャズEPなんかの特集も面白かったので、ロックに 続けとばかり欧州ジャズのシングルBOXなんか出てくるかもしれない。 ... 部門賞:「クリフォード・ジョーダン/イン・ザ・ワールド」 完璧な復刻。素晴らしい音質、リイシューにいたる親切な解説や、ブック レットの未発表写真、オリジナル盤の説明など、愛情あふれる素晴らしい 紙ジャケ。日本ではジャズ喫茶名盤?のイメージがあるが、今聞いても新 鮮な内容。初CD化で決定版という幸福なタイトル(今までがかわいそうな 状況だったのか?)。 次点:「ボンバ・レコード ブラジル音楽の名盤セレクション 紙ジャケ復刻シリーズ」 (ソニア・ローザ、ルイス・エサ、タンバ・トリオほか) ジャズ部門にいれたが、もっと広義の名作を含むシリーズ。ブラジル盤LP の仕様を再現してあるのもよかったが、初CD化を多数含むその素晴らしい 音楽に魅了されてしまった。ぜひこのまま続いて欲しいところ。 ... 第3位:「FROM EUROPE WITH JAZZ 3」(白木秀雄クインテット&スリー琴ガールズ、ノビ・シンガーズほか) MPSが中心で、どのタイトルを買っても音が良く、気持ちがいい。中で も「和ジャズ」人気の雄、白木秀雄がこのタイトルから紙ジャケ化される とは思わなかった。ヒノテルの「アローン*3」に涙。 ... 第4位:「渡辺貞夫 K2HDリマスターCD」 ナベサダの紙ジャケJVC編。70年代の「カリフォルニア・シャワー」 あたりもよいのだが、やはり和ジャズの肝は60年代ということで、帰国 後の素晴らしいプレイが堪能できる頃のものが特によかったというか、 今聴いてグッとくる感じだった。 ... 第5位:「MODE ペーパー・スリーブ・コレクション Vol.1」 (リッチー・カミューカ、ハービー・ハーパー・セクステットほか) S:待望のモード。わたしはこれが部門賞でもいいんですが・・・。 W:これねー、ライナーというかクレジットが貧弱。クリフ・ジョーダン   と雲泥の差。出たのはうれしいけど。 Y:ジャケをそろえたくなるレーベルだな。単純によろこばしいという。 ... 第6位:「名盤復刻紙ジャケ・コレクション 第3弾」 (エルメート・パスコアール、アイアート・モレイラほか) W:これもジャズというかなんつーか、フュージョンもまじってるけど Y:パスコアールの紙ジャケが出る日がくるなんて S:素晴らしい。 第7位:「生誕80周年・没後15年特別企画 マイルス・デイビス紙ジャケ復刻ベスト30」 紙ジャケも3回目となるとさすがに買い替えに懐疑的になる人も多く、 また、買ったとしても自然と評価は厳しくなる。リマスターに関しては 賛否両論。DSDリマスターはこなれてきて、黒帯よりナチュラルになり、 好感が持てるという人もいれば、なんかこじんまりとしちゃったという人 も・・。リマスターは元のテープのジェネレーションとか状態があんまり かわらなければ、再生装置でけっこう評価が変わってくるのかもしれない。 ジャズ向きといわれる銀蒸着CDは音質的結果はともかく単純に面白かった。 ジャケや帯の再限度は今までで一番。 W:70年代のタイトルはよかった。音もだけど、アートワークが鮮明に。 S:アガパンは黒帯の方がよかったって人もいるぞ W:うーん・・・マイルスものの悩みは続くな。 第8位:「ATLANTIC JAZZ 紙ジャケット・コレクション」 (ジョン・コルトレーン、ローランド・カークほか) 偉大なる社長に合掌。オリジナルテープ発見!という報に期待を高めすぎ たのか、「ジャイアント・ステップス」はちょっと肩透かしな感じだった。 だが、この手の発掘テープのつねでボーナストラックには驚異的にいい音 のテイクも・・・。このままどんどん出して欲しい。 第9位:「シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン・プリゼンツ・シリーズ」 (ジョニー・ホリディ、ペリー・コモなど) ほとんど初CD化。知らないものばかり。でも聴くと確かに「ああ、いいで すな〜」、ってアルバムが。紙ジャケ復刻ではないが、ビヴァリー・ケニー の未発表ものの方がもえたりして(コラコラ)。 第10位:「WARD/Enja 名盤復刻シリーズ第1弾」(ハル・ギャルパー、ケニー・バロンほか) enjaも複数社から出た。実は今回、聴きながら選考していて、予想外のラン クインとなったシリーズ。 Y:おお、これいいじゃん。このシリーズはダメなの? W:ダメじゃないんだが・・・ S:聴いてよければそれが一番なんで、いれましょうか・・・。 ・・・・
【CLASSIC部門】 ようやく該当なしから脱却した部門。というか、紙ジャケ出せばランクイン してしまうという。部門賞はタッシ。次点は小澤紙ジャケを含むクラシック 復刻館シリーズだが、クラシックの紙ジャケはまだまだ発展の余地がある (採算性がむずかしいけど)。のだめ人気で市場規模はジャズを超えてい るだけに、メジャーもがんばって盤起こし復刻CDなどを超えて欲しいとこ ろだ・・。3位の「高橋悠治コレクション」はデノンの録音を現代に伝え るものだが、初CD化なのかリマスターなのか買ってもさっぱりわからなか った。もしかすると対象外かも・・。でもクラシックは紙ジャケが少ない から出ただけで入ってしまうのですよ。今年はグールドだろうなー。 ...
【J-ROCK/J-POP部門】 邦楽の紙ジャケ化も益々さかんである。もはや我々ではちゃんと評価でき ているのかどうか自信がない。 しかしマスターが日本にあるということは大きいことで、リマスター効果 が抜群なタイトルもあった。 昨年から開始されたエレックは順調にリリースを重ねているが、このジャ ンルでもソニーの躍進が目をみはる。 部門賞はカセットまで紙ジャケにしちゃったゲルニカをはじめとする戸川 純関連に。今聞いても当時のエネルギーが伝わってくる。あの頃の戸川純 はたしかに歌姫だった。 次点は大貫妙子、村田和人もあがったが、再紙ジャケ化ではあるが各社協 力でリリースされたムーンライダーズ30周年に。 3位はピンク・レディーと中森明菜の一騎打ち。アレンジ、歌唱とも今聞 いても聴き応えのある中森明菜を選択(特に後期)。 4位は長渕剛、アリスと大物バトルになったが・・・ W:これはもう、格でYAZAWAということで S:異議なし。こんな大物の紙ジャケも今年出てたんだねー 5位はシーナ&ロケッツ(探検隊の趣味的には1位なのだが)。ファースト アルバムにセカンドジャケがあることをライナーを読んではじめて知った (真空パックジャケしか知らなかった)。 6位はプティ・マミなどのフェロモン系の線もあったのだが、やっぱりこ こは東京ワッショイ!ということでエンケンに。去年末のBOXからの分売な のでこの位置に甘んじているのか? しかし内容はさすがエンケン、濃いのである。未聴の方はぜひ! フェロモン系はこの手の象徴、池玲子が、一般発売は今年なのだがユニオ ン版紙ジャケが昨年末だったので対象外となった。
【海外/その他の部門】 今回は海外紙ジャケはランクインしなかったが、それよりも昨年のVeeJay のブルースシリーズに引き続き、ブルーズものが入った。今年は待望のチェ スも出る。ブルーズものはしばらく目が離せない。 あとはバート・バカラック、シルヴィ・バルタン(ゲンスブールよりよかっ た)、世界初CD化となるデヴィッド・T.ウォーカーのOdeレーベルを あげておきたい。今年の初頭にはインプレッションズがくる。このままカ ーティスの紙ジャケまで続いてドンドンいって欲しいところ。 ユニヴァーサルのハワイアン紙ジャケも今年の夏はちょっとした話題にな った。レゲエやスカもそろそろ充実して欲しいところだ・・・。
【話題になったで賞】 ビッグ・アーティストのため話題にのぼった紙ジャケなのに、アマノジャ クな探検隊の評価基準によりオミットされた一群である。 待望のデッカのストーンズは、abckoが権利をにぎっているため英デッカ ではなく米仕様。待望の3Dもウムムムな仕上がりだったので、諸手を あげてバンザイとはいかなかった。もちろん音は前回ハイブリッド・デ ジパックのCD層。 2位のボストンはトム・シュルツ本人リマスターでとてもナチュラル& スムーズ。2〜3年前までのやたらギンギンにするリマスターとは隔世 の感があり、ヴォリュームをあげればあげるほどさわやかなコーラスと 重層的ギターサウンドが鳴り渡っていく。 で、バカスカ売れまくった。 なのだが、なんでここにいるかというと、ジャケが紙ジャケむきでなか ったので他のソニーのタイトルにくわれてしまったから。 音は話題になったが、ジャケ的に・・というのもここにいれてしまった のだ。 アナログ盤も出たのだが、オリジナルがCDだったので、初回CDの帯 を再現してしまったフリッパーズ・ギターが3位。なんだかねじれた紙 ジャケ復刻だが、それもフリッパーズらしくていい。アーティスト的に は大物だけにもちろん話題に。 ルー・リードは新リマスターでというわけにはいかなかったが、キャ リアが俯瞰できるリリースだった。これ同様、ようやくまともになった ジミヘン、ポジのオマケまで再現したパープル、ドゥービー・ブラザー ズ、スミスなどはリマスターではなかったが紙ジャケ化が話題になった。 しかし、である。別にこのタイミングで紙ジャケにしなくてもいいじゃ ん、とも思ったもの多数。 3度目のクリムゾンはWHDから。オリジナルマスターが発見された 「宮殿」の音は素晴らしく、こりゃ『ムーン・チャイルド』はピンクi(注) よりいいわ〜てな具合。だが、ジャケが前回紙ジャケの焼き直し疑惑も あり、解説などが不十分だったのでイマイチ評価が安定せず。 実際、新リマスターの輸入版CDを買って、前回紙ジャケと盤だけいれ かえるのが現在のベストセットである(で、初回紙ジャケ特典のロックエ イジ帯を装着するのだ)。 音も微妙に輸入CDの方がいいように感じる(聞き比べればだが・・)。 また輸入盤のブックレットも捨てがたい(クリムゾンファンは贅沢だ)。 注)ピンクi。「宮殿」のオリジナル英盤をマニアな人はこう呼ぶ。呼称は レーベルのデザインから。さらに病気が進むと「宮殿のマト2」とかいう より細かいセグメントで会話する。(いまさらですか?)
【紙ジャケ特典大賞】 やはりユニオン特典は今年も強力だったが、ホンモノは一生買えそうもな いソフト・マシーンの日本初回盤帯つき+ええーいこれでもかの再発帯つき はユニオンに駆けこむのに十分な魅力。 ストーンズの特典は、いいかどうかは別として、「ベガーズ」のオリジナ ルジャケをとにかく紙ジャケにした点に日本のレコード会社の気骨というか 努力を見せてもらいました・・・。 ...
【夢の紙ジャケ賞】 「クライミング・スターズ/ゴールドブライアーズ」 夢の、というか幻の、という感じだ。ゴールド・ブライアーズの3rd。ソフ ト・ロックシリーズの中で出たので、てっきりリリースされてたアルバム かと思っていたらアラなんと、当時制作されながら発売されなかった幻も の作品であった。 ビーチボーイズの紙ジャケシリーズで「スマイル」が出るようなもんなん でしょうか?(それは大げさか?)。しかし内容は新約「スマイル」より しびれるものだった。ということで特別賞を。 このジャケが当時できていたものなのかどうかわからないが(ライナーよ んでもわからない)、裏ジャケ、帯、インナーともまるでホントに当時出 ていたのを復刻したかのよう。 こんなの出てたんだ〜、と知らずに買ってしまいそうなほどよくできた ブツである。
【ユニオン紙ジャケ賞】 ええーっと、これは何かといいますと、プラケで出たんだけど、ディスク・ユ ニオンでだけ紙ジャケで売っていたもの。ここに今年の目玉ディス・ヒートが あったため、この賞をもうけました。 なんだかディス・ヒート自体の知名度もあがり、元のLPのプレミア度まであ がっている模様。アバンギャルドなのに聞きやすい。ジョイ・デイビジョン、 メタル・ボックスなどとともに名盤豊作の79年を象徴。 で、こんな賞もうけちゃったんだからついでに「ヘンリー・カウ コンサーツ」 もいれてしまいました。年を重ねるごとにヘンリー・カウ、スラップ・ハッピ ー関連がユニオンでそろっていく・・・。
【選考を終えて】 選考にいろいろ異論はあるかもしれませんが、以上が第9回の、探検隊が選ん だラインナップです。楽しんでいただけたでしょうか? さて、今年は2007年。7と9のつく年は名盤の当たり年なので、きっとまた いろいろ出てくるんだろーなと・・・。 W:57、67、77はわかるけど、87年は? S:「ヨシュア・ツリー」とかガンズの1stが出たような・・・ Y:7の年にひとつのスタイルのピークが来て、9の年にその応用発展系が出   るってのはあんたの勝手な説でしょ? S:59年の「カインド・オブ・ブルー」とか「ジャイアント・ステップス」、   69年のZEPや「宮殿」はスタイルの発展応用系です。   77年のパンクと79年のニューウェーブはまさにそのまんま。 W:「サキコロ」も発売は57年か。 S:「クッキン」もそうだったような。 Y:じゃ、今年出る新譜に注目した方がいいんだ。もう06年に録音終わって   るってことだよな S:90年代以降はなにが名作だかよくわかんない・・・ ・・・・・・・ W:究極は「サージェント」の40周年紙ジャケですか S:「勝手にしやがれ」の30周年もしょうこりもなく出るのかなー。 Y:「サキコロ」の50周年記念はロリンズがライブで再現するとか・・・。 W:パーカーのダイアル盤なんて60周年じゃないの?これは去年? Y:年々金がいくらあっても足りなくなっていく・・・ と、楽しい事態が予想される2007年ですが、みなさま今年もどうぞよろしくお願いいたします! (了)

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