2007年紙ジャケ大賞 選考経過

【2007年紙ジャケ大賞】
ワーナーミュージック・ジャパン
 「リトル・フィート 紙ジャケット コレクション」

2008年正月に例年通り行われた選考会であったが、今年は大モメにモメ、発表が
過去最高に遅れて2月にずれこむハメに。
これじゃ時期はずれもいいとこである。

のっけから最終選考をバラしてしまうと、クランプス、ワーナーのアメリカン系、
スライの3つ巴。この3つのどれにすべきかで相当モメたのである。

ストレンジ・デイズ・レコードの偉業ともいえるイタリアのクランプス・レーベ
ル音源の紙ジャケ化は賞賛に値するもので、なんとロック、クラシック、ジャズ
の3部門にノミネートされた。

W:こうなっちゃうと、もうクランプスが大賞じゃないの?

アレアはユニオンのオマケで紙ジャケがついたことがあった(ピストル付)。ま
たアルティの「ティルト」はイタリアから輸入紙ジャケも出ていたが、本格的に
は今回が初。イタリアプログレの超名盤を含んでいたこともあり、一時はクラン
プスに決まりかけたのである。

これに対しリトル・フィートは待望の紙ジャケ化であり、とにかく隊員全員よく
聴いた。

S:このバンド、好きなアルバムは何枚かあったんだけど、今回初めてまとめて
一気に聴いた気がする。

ザッパからの影響や、後期の良質なフュージョンバンドとしてのうねりある演奏
など紙ジャケ化を通してファン度が一気に高まった感がある。
ネオン・パークのジャケも紙ジャケでそろえたくなるもの。ただし、音質的には
疑問が残る。02年のデラックス・エディション版を使った「ウェイテング・フォ
ー・コロンブス」はともかく、その他の新規リマスターは・・。


(コロンブスは02年拡張版)

Y:これ、日本にあったテープを日本でリマスターしたんじゃない?

もちろん推測の域は出ない。クレジットには
Degitally Remastered by Isao Kikuchi
としか書かれていないのだから。日本人ぽい名前の人がリマスターした、という
ことしか購入者には知らされていないわけだ。

Y:またオリジナルテープからの本国リマスターが出てきたら買い替えるハメに
なっちゃうしな。

これに対してスライはまさしく本国オリジナルリマスターで、日本のみ紙ジャケ
化という音質的にもボーナストラックも理想の形。カラーブックレットや内袋、
帯などあいかわらずソニーらしい熱意のこもった復刻。
欠点があるとすれば、「暴動」のインサートが復刻されていなかったことくらい。


(中央がそのインサート、下の紙ジャケには付属せず)


(裏は歌詞が掲載されている。これがなくても別に十分よくできた紙ジャケだが)

ただ、とりたてて大賞に値しないほどの欠点ともいえないし、減点審査でもない
のだ。スライの紙ジャケの価値はやはり高い。

さ〜て、ここでつまってしまった。

S:全然決まらないな
Y:もう、誰かあきらめたら?
W:決定打がない、というわけではないんだが・・。

最終的にはフォリナー、バドカンのライノ系からアメリカ、ライ・クーダー、
年末のローウェル・ジョージ、ヴァン・ダイク・パークスへと今年話題が豊富
だったワーナーに決まったわけだ。もちろん幻となったバッファロー・スプリ
ングフィールドやヴァン・ヘイレンを含めた08年リリースへの期待もある。全
体を含めてワーナー、その中でもリトル・フィートが最も良かったという判断だ。

リマスターについては探検隊がイマイチと言っても、逆にいい音になったとい
う方もいるだろうし、復刻/リイシューの意志として手間ひま(+コスト)を
かけてリマスターして紙ジャケ化したこと自体を賞賛したいという・・・。
もし仮に日本リマスターじゃないの?、というのを判断基準にしてしまうと
今までのサンタナやジェフ・ベックや昔のイエスはどーなっちゃうの?という
ことにも。

S:とにかく紙ジャケ化がうれしかったし、良く聴いた。
W:07年の夏はずっとフィートを聴いてた気がする。

よーやく決定である。


07年はリトル・フィートに!おめでとうございます!!

しょうこりもなくトロフィーを作ったので、これは今年はワーナーさんに送り
つけてしまうのである。ワーナーさん、危険物は入っていないので受取拒否な
どせずにどーかおおさめください・・・。


あいかわらず大賞なんだかグランプリなんだかわからないプレートつき

Y:あ、これ、『2006年グランプリ』になってるぞ!2007年だろ?
W:あ、グ、ぐわぁー、今さら気づくなよ!!
S:ど、どうする?このまま送っちゃう?
Y:んなわけにいくかい! トロフィー屋に電話しろ!

てなことでも時間をくってしまったわけだ。
ワーナーさん、時期ハズレのトロフィーですが、ちゃんと直して送りますので
なにとぞよろしく。

そして、クランプスに関しては、探検隊一致で特別賞にしようということに。
しかしそんな部門はないんで(トホホ)、ここで大書して賞賛したいと思う。

 特別賞 ストレンジ・デイズ・レコード「クランプス・レーベル・コレクション」


【ROCK/POPS部門】 部門賞:「リトル・フィート 紙ジャケット コレクション」 ... 上記のような理由で、ライ・クーダーその他ワーナー系の紙 ジャケを代表して。今年はワーナー系によく金を使った。 それにしてもリトル・フィートは聞き飽きないな。 次点:「スライ&ザ・ファミリー・ストーン 紙ジャケ」 次点は、大賞をあらそったくらいなので当然スライとなる。 スライに関しては「FREE SOUL」のコンピ盤も出た。最近また評価があがっ ているのだろうか? でもこのサイトは見てるような方がたは「FREE SOUL」だ?しゃらくせいッ! といってコンピ盤買わずに、紙ジャケ全買いして自分でコンピ盤作るのが矜持 というヤツではないかと思います(そんなことやらないか)。 第3位:「エレクトリック・ライト・オーケストラ紙ジャケット仕様 第二弾」 06年から続くELOは、ついに宇宙船組み立てキットつき「アウト・オブ・ザ・ ブルー」が登場。実際に組み立てて検証してみたという担当者の熱意が素晴ら しい。ソニーの紙ジャケ担当者には頭が下がるし、発売元がそこまでやるなら その意気にこたえて金払おうじゃないか、というのが数十年間レコードを買い 続けてきた購買層の気持ちではないかと思う。 第4位:「ニルソン RCA YEARS PAPER SLEEVE COLLECTION」 BMGによるニルソンの紙ジャケも話題になった。オマケの再現やボーナストラ ックの収録など、満足できる出来。 特殊ジャケの『Son Of Doracula』は残念ながら発売中止。 映画のサントラというのはなかなか難しいのかもしれない。 第5位:「トゥリーズ」 今年のソニーの紙ジャケも、値段はお買い得だし、満足度が非常 に高いものが多かった。 トゥリーズは2枚組のリマスターエディションを日本では紙ジャ ケ2枚におさめる仕様。ほかにもアン・ブリッグスもあわせての 5位としたい。 (トゥリーズとアン・ブリッグスは英トラッドファン必携) アン・ブリッグスの1800円プライス帯は確かにこれが初回日本盤 帯かもしれないが・・しかしなんだか安っぽくみえてしまう。 そういえばCITYの紙ジャケもこの帯復刻だった。 ソニーは他にもレナード・コーエンやSSWシリーズなど買って損の ないアルバムを連発。S&Gの紙ジャケ・シリーズでは『卒業-オリジ ナル・サウンドトラック』や『ポール・サイモン・ソングブック』 まで登場し、ファンを喜ばせてくれた。 またリマスター音源によるソフト・マシーンの再紙ジャケ化、キンク スの「フォビア」の紙ジャケは秀逸であった。 「フォビア」はCD時代のアルバムでなければ大賞ものの出来だった。 定評あるソニーでもHR/HM関係はちょっと毛色がちがっていて、オジ ー・オズボーン、年末のAC/DCなど話題作もあったが、オジーはやは りリズム隊差し替え版しか使用できず。AC/DCは2回目でもあり、オ ーストラリア・オリジナル盤への期待があったがそれもないものねだ りに終わってしまった。 でも2008年もマウンテンなどが予定されているようなので期待は大き い。 第6位:「ドアーズ」 ドアーズは前回が輸入紙ジャケ、今回は国内製作。やはり、日本製の紙 ジャケは作りがていねいだ。 ただ、初期作品は帯が再発帯再現になってしまっている点は、権利上し ょうがないとはいえ、なんだか買う気を失せさせる(笑)。帯付中古レ コからのイメージでなんとなく安く感じてしまうのだ。 また、話題となったリミックス/リマスターだが、確かに別物として楽し める。実はこのリマスターだったら復刻の紙ジャケではなく、新デザイ ンのジャケの方が似合っていたかもしれない、と思う。 前回のオリジナルマスター版が紙ジャケ、 今回のリミックス版は新装ジャケ、でもよかったのかも・・。 第7位:「ウォーカー・ブラザーズ・ファミリー 紙ジャケット・コレクション」 ウォーカー・ブラザーズの紙ジャケはレア度からいったら本年の横綱級 アルバムの復刻。 海外ファン垂涎の「イン・ジャパン」や、ヤフオクで帯つき80万とかと いわれたサイケアイテム「ゲイリー・ウォーカー&ザ・レイン」まで。 初めて聴くそのサウンドは確かに面白く聴けたが、そんな何十万も出す ほど欲しいかといわれれば、紙ジャケで十分。復刻バンザイ、といった ところだ。 スコット・ウォーカーのソロ作が意外に面白いという発見も。 第8位:「ゴブリン関連作紙ジャケット仕様」 「サスペリア」は日本盤LPでしか聴いたことがなかったが、ほー、イタ リア盤はこんなに凝った仕様だったんですね!という嬉しい発見も。 紙ジャケ復刻の醍醐味が満喫できたいい企画だった。 第9位:「クランプス・レーベル・コレクション」 大賞候補となったクランプス・レーベル、ロックでは9位にランクイン。 アレアやアルティなどイタリア・プログレ名盤多し。 2007年オリジナルリマスター音源で、インナースリーブなどの復刻も 見事であった。 年末に出たシングル・コレクションもこれでもかのマニアックぶりで、 イタロをよく知らない探検隊でも広告を読んだだけで唖然とした。 そういや今年はニュー・トロルスが来日し、こちらも「シングル・コレ クション」の紙ジャケBOXが発売された。これが8cm仕様BOXで、実に 物欲をそそる作りであった。 S:ストレンジ・デイズでは他にもサバスのなんと3回目の紙ジャケ化が  ありました。 W:テイチク、ビクターに続く紙ジャケだけど、今度はファーストの内ジ  ャケやレーベルも含めて完璧。そういや英CASTLEの紙ジャケもあった。 S:でもビクターもなんとなーく渦巻きになっていたし、買い替えるほどか?  といわれれば疑問も残るけど・・・。 W:ZEPとならぶ70Sハードロックの雄だし、やっぱ完璧版で持っていたい  アーティストだけどね。 第10位:「ホルガー・シューカイ 日本オリジナル紙ジャケット仕様」 これが、意外によかった。本人リマスターで、大体アーティスト本 人がやるとファンが望むものと微妙にずれていたりすることが多い のだが、そこはさすがホルガー・シューカイ、いいリマスターだった。 紙ジャケでひさびさに聴いた「ムービーズ」は実に気持ちよかった。 第11位:「ダイアナ・ロス&シュープリームス」 豊富なカタログを持つユニバーサルはインプレッションズやシュープリー ムスなども紙ジャケ化。しかし、店頭でみてもどうも食指が動かないのは なぜだろう? かつては紙ジャケメーカーの雄だったユニバーサル、今年前半のハンブル パイ、ロニー・レイン、ハミングバードまではどうにかクォリティと値段 のバランスを保っていたような気がするが(それでもなんだかいつものこ だわりは感じられなかった)、後半は失速。 1000円台の廉価版を出すかたわら紙ジャケは高い値づけに。マニアは高 くても買うだろ、の二極路線? 年末にはBlue CheerやNIRVANAなどの話題作も出たが、さすがに高くて 手が出せたのは1枚くらいであった。 第12位:「ボンゾ・ドッグ・バンド 紙ジャケット・シリーズ」 ユニバーサルの凋落とは逆に評価をあげたのが、東芝EMIから変貌をとげ たEMIミュージック・ジャパン。 ソニーほど良心的な値段ではないが、価格と復刻度のバランスはよくなっ た。このボンゾズなどもマニアック度が高いバンドをていねいに紙ジャケ 化。せめてスティーブ・ミラー・バンドもこれくらいやってくれていれば ・・・。 07年はMSIから出たラトルズも話題になった (16Pブックレット、内袋とこれでもかの再現) 心配されていたジャケサイズも国内規格の見開きジャケで、モンティ・パ イソン好きな方だけでなく、ビートルズファンにもオススメ。 今回は残念ながらノミネートはのがしたが、有力候補だった。 ROCK部門ではその他にも 4月に東芝からThe Raspberries、BMGからEric Carmenが連動で紙ジャケ 化。ラズベリーズは匂いつきや変形ジャケも再現されていた。 本当に全部買うヤツいるのか?というくらいに続々とリリースされた Klaus Schulze、アンソニー・フィリップス、Clusterなど。でもこれ は出したメーカーがすごいというもの。 Zweisteinというトンデモジャケの再現もすごかった。 ソニーのところで「フォビア」をあげたが、初紙ジャケ化を含むキンクス のカタログのリリースも大きな話題だった。 ヴィニール・ジャパンからポップ・グループのオフィシャル・ブートなど、 純然たる紙ジャケ復刻ではないが、興味深いリリースがあった。 07年からはじまったジェネシスのSACDハイブリッドは、賛否両論あるが、 今年本命のピーガブ期がくるはずで、これは見逃せないところだろう。
【JAZZ部門】 ジャズの名盤はアンコール再発や品質向上してのリリースがあったが、 さすがにもう何回も買い替えられないというか。紙ジャケで市場にある こと自体は素晴らしいので、これから新たに聴く人は幸いだ。 一方、和ジャズやユーロジャズ、フリー系や幻系でのリリースもさかん であった。 ... 部門賞:「昭和ジャズ復刻シリーズ」 和ジャズでいい復刻を重ねていたTHINK! RECORDSがついに紙ジャケに 進出。白木秀雄の10インチは魅力的なジャケとともに往年のペラジャケ も再現されていた。 同じTHINK!から同時に開始された 「VAMOS! 和ボッサ」シリーズも浜 口庫之助の紙ジャケなどみのがせないものがあった。 次点:「マイク・マイニエリ&フレンズ/ホワイトエレファント」 ビデオアーツから年末に登場した白象はまさに驚愕の出来。 これこそブレッカー追悼の白眉? ジャンル的にはフュージョンになるのかもしれないが、フュージョンでも ジャズでも良いモノと良くないモノがある、ということを再認識させてく れた。ジャンルどうこうではなく、若き達人たちの熱さが体感できる。 ... 第3位:「ジョアン・ジルベルト/ライヴ・アット・ザ 19th・モントルー・ジャズ・フェスティヴァル」
もはや殿堂入りさせてしまってもいいのでは?と思えるボンバの「ブラジ ル音楽の名盤セレクション」だが、このジョアンにはシリーズ名称の表記 はない。 初のオリジナルフォーマットでの曲目・曲順、オリジナルジャケットでの 発売で、85年のジョアンのギターと歌を堪能できる。 その他にもボンバのブラジルものは快調で、「ラテン・スペシャル・セレ クション」のEddie Palmieriや、上記「ブラジル音楽の名盤セレクション」 のFORMAやRGEレーベルなど注目作が多かった。 中でも最近のユーロ・ピアノ・トリオがふっとぶようなジンボ・トリオの クラシック+ラテン+哀愁が印象に残った。 (RGEレーベルの名盤初CD化。ブラジル盤のビニール外袋も再現) ... 第4位:「クランプス・レーベル・コレクション」 クランプスはジャズ部門では4位。デレク・ベイリーやスティーブ・レイ シーなどがラインナップされたDIVersoシリーズ。 お金に余裕があるなら出ているうちに買っておきたいところだが・・・。 ... 第5位:「ワーナー・ブラザーズレコード創立50周年企画 マイルス・デイヴィス、ハービー・ハンコック 紙ジャケットコレクション」 S:みんなが切望していたワーナーのマイルスですが。 W:ノミネートしなくてもいいんじゃないの?期待が高かっただけにガックシ。   まぁ買ったんだけど。 Y:まぁ、出た、ってだけで価値はあるかな。 ワーナーのジャズはこの他にもジャコのセカンドなど有望タイトルがひしめくが、 イマイチな出来。 「TUTU」のステッカーなしや、「アマンドラ」の内袋なしは調査不足かコスト の壁にはばまれたのか? ... 第6位:「モビースレコード/地底レコード 「天衣無縫 / 高瀬アキ・井野信義」 W:これ、よく紙ジャケで復刻されたなー。これはスゴいことですよ S:ふーん、そうなんだ。じゃ、ノミネートしておけば? と、探検隊でも知ってたもの1名という状態であったが、音を聴くと実にただ ならぬものが・・・。ということで滑り込みとなった。 ジャズでは他に06年から続くアトランティック紙ジャケシリーズ、ユニバーサル のFrom Europe With Jazzも第4弾でポール・ゴンザルベスの超絶高額レア盤が 復刻された。 アナログ復刻では澤野工房からイギリス・TEMPOレーベルがついに登場。紙 ジャケでもでないかな。 ・・・・
【CLASSIC部門】 クラシック1位はここにも登場、クランプス・レーベル・コレクションだ。 現代音楽の興味深いカタログが紙ジャケで。文句無しの部門賞。写真に掲載 したのはジョン・ケージのキノコ。 2位は2度目のグレン・グールド。なんと「ゴルドベルク」は旧録音、旧 録音の疑似ステレオ、新録音の3種がそろってリリース。同時にワルター のコロンビア盤も紙ジャケで出た。 またデルタ・エンタテイメントからウラニアのエロイカの盤起こし&紙ジ ャケ版が登場。原盤権の期限切れにともなって、こうした形態も増えてく るかもしれない。ウラニア盤は初期盤の中でもジャケやマトリクスが少し ずつ違うものがあるのだという。フルヴェンも奥の深い世界だ。 ...
【J-ROCK/J-POP部門】 J-POPの紙ジャケもかなりの数が出た。国内にオリジナルマスターがある し、紙ジャケに対するアーティストの理解も得られやすいのだろう。 部門賞はじゃがたら。 さらなる再評価がのぞまれる、80年代の日本がほこるバンドの復刻を素直 によろこびたい。 次点は各社からリリースされたあがた森魚35周年関連の紙ジャケ。 3位はジャケの復刻度が話題になった甲斐バンド。 4位となったコロムビアのニューロックは、内田裕也とフラワーズ、 山内テツ、エイプリル・フールなどレア度の高いアルバムがそろい、 実に紙ジャケ向きの復刻となった。 5位は「ベルウッド35周年」紙ジャケ。「タカダワタル的」で再度 クローズアップされた高田渡のファーストアルバムは特殊ジャケも 再現。きちんとした形で復刻された。 6位は「Polydor MR5000番台」。二度目の紙ジャケ化でついにブ タの鼻が鳴ったPYG、写真に掲載した深町純のシンガーソングライ ター時代のセカンドはくりぬきジャケのギミックを再現。値段は高 かったが気合いのはいった復刻だった。 7位はビクターのアイドル紙ジャケをあげた。本人監修で4ヶ月連続 22枚がリリースされた岩崎宏美を筆頭に、ちあきなおみ、小泉今日子、 桜田淳子などビクターの面目躍如たる2007年のリリースだった。 しかしこの手はどうもシングル盤の方に愛着がある。アルバムの再現度が よくわからないというのは、探検隊の課題か・・・。 J-POPではその他にも杉真理デビュー30周年企画が各社から。 シュガーベイブでのギターが心に残る村松邦男のソロ。 メルダックからThe Blue Hearts。ファーストのダンボールジャケもきちん と復刻されていたが、リマスターではなかったのが残念だった。 ソニーからはタモリもリリースされ意外?に売れた(失礼!)。
【海外/その他の部門】 この部門もだんだん面白くなってきた。 紙ジャケ化が細分化していっている象徴のような部門だ。 部門賞は、時空を超えて聴く人を震撼させるシャッグス。これ、えーっと、「そ の他」の部門にいれたのは他意はないんですが・・やっぱロックなのかな。 2位はオーマガトキがついに紙ジャケに参入!是非サラヴァ・レーベルなども 手がけて欲しいところだが、このハワイアンのPANINIレーベルも素晴らしか った。 3位はチェス。ハウリン・ウルフ、マディ・ウォーターズなどブルーズの 名盤が目白押しだったが、どうもイマひとつ買いにくいシリーズでもあっ た(値段のせいかな・・)。 4位はアリゲーターの名盤。レーベルにいすわるワニをみてニンマリ、音 を聴いてぶっとぶという感涙の出来。さすがPヴァイン。ブルーズの復刻 にかけては年季が違うといったところか。 S:じゃ、なんで4位なの?チェスと逆でいいんじゃない? W:やっぱり60周年記念で、30枚を名盤だらけでリリース、というチ ェスの重みでしょうか・・・。 アリゲーターよりは上に来てしまうという・・。ワニさん、ゴメン。
【話題になったで賞】 ビッグ・アーティストのため話題にのぼった紙ジャケなのに、アマノジャ クな探検隊の評価基準によりオミットされた一群である。 とにかくこの部門の部門賞はやはりジョン・レノンだろう。年初にはビデオア ーツからJohn Lennon & Yoko Onoも発売された。まさにジョンにはじまり、ジ ョンに終わった07年だった。でも音は別に前のままだから大賞にはしないんだ けど・・・。 当然FAB4本体の紙ジャケ化への期待も高まる。 2位は全世界でリリースされたボウイの紙ジャケ。ソニー編はすべてボーナス ディスクつきで実に気合いが入っていた。 3位はキャロル・キング。ほとんどが07年リマスターということもあり、話題 からも売れ行きからも大賞になっても不思議じゃなかったが、やはり「つづれお り」とザ・シティが旧リマスターだった点はちょと残念。 S:でも「ファンタジー」なんかリマスターで聴くと実に新鮮だった。こんなに  いいアルバムだったのかと。 W:国内キング盤の「つ ず れおり」帯まで再現したのはさすがソニー。 さて、その名作「つづれおり」は今まで3回とも普通のツルっとした質感のジャ ケで再現されたのだが、国内キング初回LPはザラっとした質感のテクスチャージ ャケだった。 こういう場合たいてい本国盤ももとはテクスチャージャケのわけで、米盤のオリ ジナルもザラザラ?といぶかしんでいたら、やはり存在するようだ。あまり見か けないんで別にソニーの紙ジャケが間違っているわけでもないだろうが・・・。 4位は待ち望んでいる人も多かったローラ・ニーロ。リマスターは新規ではない が定評ある02リマスターがベース(ファーストのみ国内?)。文句のない出来。 5位は7のつく年の記念盤ということでUKパンクの30周年記念。 ダムドはなんと全面ステッカー&裏ジャケエラーまで再現。リマスターも新規。 でも裏のステッカーが印刷だったのはここまでやっておきながら、という感じ。 ブックレットは輸入盤の方が充実していた。 ピストルズも旧音源を使っている点をのぞけばジャケは完璧。世界で初めてオ レンジ・ステッカーも再現された(ブートのLPでも緑ステッカー再現だった)。 一方6位はNYパンク。延期になっていたラモーンズもいい出来だったし、リマ スターではないがパティ・スミスも待望の紙ジャケ化だった。ソニーからはブ ルー・オイスター・カルトもリリースされ、NYパンクの紙ジャケを追っている だけでも楽しい1年だった。 米ライノからはテレビジョンの「マーキームーン」も。 後は「ブランク・ジェネレーション」か? 7位はどこまでも続くザ・フーの紙ジャケ。今度は日本版&編集盤だ。 オマケでなくちゃんと日本版の「マイ・ジェネレーション」が発売された。また 各種編集盤にはCD化されていなかったレア・トラックが満載と、マニア心をくす ぐる出来。 8位はカーブド・エア。ファーストのピクチャーディスクがどう再現されるか期待 されたが、やっぱり限界はあったようだった。一方セカンドの凝りに凝ったギミッ クジャケは素晴らしい再現度。 また、ワーナーからはTai Phongもリリースされた。
【紙ジャケ特典大賞】 今年はローラ・ニーロを全買いする以上の至福はなかったと断言できる。 全買いといってもわずか4枚。それでユニオンで買えば「イーライ」の 箱+ファーストのヴァーヴオリジナルジャケがもらえ、さらにソニーからは 「テンダベリー」の幻のファースト?ジャケが! カラーブックレット、内袋までついたオマケとは思えない逸品 このブックレットと統一がとれた美しいジャケ、なんで変更になっちゃったんだ ろう。やっぱローラが小さいのがアートっぽ過ぎてレコード会社が反対したのか しら? ちなみにこのファーストジャケ盤、以前ebayで見かけた時は410ポンド!で落札 されていた。ソニーさん、オマケでつけてくれてありがとう・・・。 こちらで確認できるかもしれません。 2位イギーの「淫力魔人」。このタイトルで帯も復刻したソニーもすごいが、 シングルのジャケをオマケでつけたユニオンは、さすが、わかってらっしゃる。 3位は特典というかなんというか、再発の色違いジャケまでもこれでもかとパッケ ージングしたスクイーズに。実にスクイーズらしくていい仕様だ。なるほどこうい う復刻の仕方もあったのね、というか、思いついても普通やらないと思う。 今年のストレンジ・デイズのリリースには頭が下がる。 ...
【KY賞】 掲示板でのyasuさんの書き込みに端を発したKY賞。 やってみました。 部門賞はみなさんの圧倒的な支持?を受けたユニバーサル ミュージック。 一時の紙ジャケ黄金期はどこへいったのか、出す/出さない、ボックス/バラ、 バラでの価格変更、高価格設定と、 rodeltonさんいわく、「迷走を続けたユニバ」。 次点はマイケル・ブレッカー追悼ARISTA名盤コレクション。 便乗商法はさすがに言い過ぎなので、撤回するが、それでもこれは一体なに? 帯に”追悼”と書いてあるだけ。ライナー使い回し、リマスターなし、ジャケ はどこから起こしたのかプラケをそのまま紙にしただけのようなボロボロぶり。 これではマイケルが草葉の陰で泣いている・・・。 いまだにこんなラッシュリリースをやってしまうレコード会社の体質って・・。 「ホワイト・エレファント」の方がよほど追悼にふさわしい。 なお、ジェームズ・ブラウンの追悼紙ジャケはよく練られていた。 3位は、これはKYですね。 でもまぁそんなに悪くない復刻だし、 「だって『処女殺し』のドイツオリジナルジャケはこーだったんだぞ」 といわれれば、筋は通っているのだが・・・空気読んでくれよ・・。
【選考を終えて】 07年は非常に難儀な選考だった。更新もままならない紙ジャケ探検隊、 未来はあるのか? W:ソニーはあいかわらず素晴らしかったけど、今年はワーナーとストレンジ  デイズだったような S:年末には2号連続で紙ジャケで選ぶ名盤特集がありました (名盤を、紙ジャケで出てるヤツだけで選ぶという企画) W:もう、紙ジャケはストレンジ・デイズにまかせればいいんじゃないの? Y:捨てばちだなー。でも付録でついてたクランプス・レーベル・カタログみながら、  どれを買おうか考えるのがとても楽しかった W:じゃ、やっぱり大賞はクランプスにする? S:また話もどすのか! 今年はヴァン・モリソン、ヴァン・ヘイレンの2大ヴァンが来るし、マウンテンも 噂されている。新生なったEMIミュージックにも期待できそうだし、08年も多くの 紙ジャケがリリースされると思います。 みなさま遅れましたが今年もどうぞよろしくお願いいたします! (了)

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