2008年紙ジャケ大賞 選考経過

【第11回紙ジャケ大賞 2008年グランプリ】
ディスク・ユニオン 復刻専門レーベル「富士」
 「岡林信康デビュー40周年記念復刻シリーズ」

2008年の紙ジャケはSHM-CDの登場が大きな話題だった。07年末、ユニバーサル
から登場したこの高品質素材を使ったCDは、当初の思惑とは違い、クラプトンな
どのオールド・ロックやハードロックを中心に話題となり、08年から紙ジャケで
も採用された。その後HQCD、(まだ紙ジャケでは発売されていないが)Blue-Spec
CDが続いた。
SACDと違い、通常のCDプレーヤーで高音質が楽しめる、というのがメリット。
しかし価格はやはり高くなってしまう。特にユニバーサル系の紙ジャケは、前年
から高額化が進んでいたが、このSHM-CDをもって基本的な価格が高めに設定さ
れてしまった。
探検隊のメンバーも08年は紙ジャケ購買数が激減。

W:音もリマスター、ジャケも紙ジャケにしたのだから、素材も良くしよう、と
 いうことかね。いいモノであれば高くても買う、という層ねらい。
S:考え方はよさそうですが、この金額ではさすがにそう何枚も買えません。
Y:この経済状況ではなおさら中古や輸入に走ってしまう。新譜は配信。

紙ジャケ探検隊も今年で10周年、この大賞も11回になったわけなので、ここらで
選考基準を再確認。

基本的に紙ジャケは過去にLPで出ていたもののリイシュー。
リイシューにあたって元のテープをリサーチし、新規リマスターを施したもの。
この時にせっかくだからと、ジャケもきちんと元のジャケをリサーチして復刻し
たもの。
(このリサーチの結果としてボートラやおまけのポスターなんかが発見され付加
される)。

そうでなければプラケで出ていたCDの、ジャケだけ紙にしてみました、というこ
とにすぎないからだ。

したがって、
1.初CD化
2.新規リマスター
3.日本初登場リマスター(輸入盤とかではすでに出ているリマスターだが、日本
 ではプラケ等でも発売されていなかった)
という順番で価値が高いということになる。

この「新規リマスター」というのがくせもので、本国でのオリジナルマスターか
らのリマスターが最も良いのだが、権利関係上そうもいかない。特にこの場合は
日本だけ紙ジャケというわけにはいかず、最初プラケで出してから、ということ
になる場合が多い。
例えばポリスの最新リマスターなどは、

SACDハイブリッド→プラケ通常CD→紙ジャケ→重量盤LP→プラケSHMCD→SHMCD紙ジャケ

と、一回のリマスターで何度も商売していくなかで紙ジャケが出てくることにな
る。これでは愛情あるリイシューとして、音もジャケも素材もこだわって作りま
した、という形ではなかなかフアンに届かない。


そう考えると、日本独自の紙ジャケリイシュー、したがって日本にあるマスター
を使って新規に制作した方が愛情が感じられるものが多くなる。過去に紙ジャケ
大賞を受賞したものも、この形式のプロダクツは多い。
ただ、音質はどうしても本国オリジナルリマスターより劣ってしまうので、ソフ
ト・マシーンのように日本で紙ジャケが出た後で本国でリマスターされ、再度紙
ジャケで登場、というように悩ましいブツが出てくる。

だけど紙ジャケ大賞は音質の優劣より、リイシューとしての愛情を重視してきた
ように思う。例えば今年のアージェントなどは音質はイマイチだけど、オリジナ
ルフォーマットでのCDでこうしてそろえて聴けるわけだ。しかも紙ジャケで。
もちろん音がいい方がいいけれど、アルバムの内容をジャケを含めて楽しめるこ
との方が重要だ。

S:ということでROCKの1位はアージェント。価格もジャケの復元度も申し分なし。
W:08年DSDリマスターなんだけど、音質がなぁ。これで本国オリジナルマスター
 だったら大賞もの。
Y:音質がいくら良くなっても、曲とか演奏とかがイマイチならしょうがない。ア
 ージェントはほんといい曲多いし、こうしてバンドの歴史が一挙に楽しめた
 (RCA盤はないけど)のは大きいよ。それに音質もこれで十分楽しめる。人に
 よっていい悪いがあるとこだと思うけど。
S:本国オリジナルマスターってことなら、やっぱ洋楽より邦楽の方がアドバンテ
 ージは高いですよね。


W:ジャズ部門1位の「ブラジル名盤コレクション」はどう?
S:これも素晴らしいリイシューなんですが、日本初CD化という凄いのもあれば
 01年リマスター使用のものとか、タイトルによって音源は様々。
Y:大賞ってわけにはいかないか。まとめて今回リマスターしたってコレクショ
 ンじゃないからな。

・・・探検隊が選考を行っていた年末年始は、世間は未曾有の大不況。TVのニ
ュースでは派遣村の話題が何度も流れ、08年のベストセラーに「蟹工船」の名
前があがっていた・・・


S:この岡林、音いいですね。鮮度バツグン。
Y:今までカットされていた『ロックンロール庫之助』も復活。それにしても
 よくこの歌詞が復刻できたな・・・これはヒドイっていうかスゴイって
 いうか。
W:なんといってもこれだ


待望の「岡林信康コンサート」

ついに初CD化なった「コンサート」。バックバンドがはっぴいえんどで、『は
いからはくち』など、彼らのみの演奏も当然復刻されてる。
S:ディラン&ザ・バンドのザ・バンドだけの部分みたいですね。はっぴいえん
 どの荒々しい演奏も新鮮。
Y:このご時世、心をうたれるね

これは08年の出版界における「蟹工船」の復刻に匹敵するのでは?とバカ話が
続き、話題は09年公開の映画「チェ」にまで及ぶ。


Y:ちょっと待て、じゃ岡林が大賞なのか?
W:条件はすべてそろってるぞ
S:このサイト、洋楽フアンが多数なんですけど。こんなこと、初めてじゃな
 い?
Y:岡林が今年こうした形で復刻されて、鉄壁のリマスター紙ジャケで聴ける
 ってことに凄く意義を感じる。08年は、これだろう。

ということで08年のサブプライム大賞というか、リーマンショック大賞とい
うか、派遣村大賞?、いやいやともかく大賞受賞は岡林に決定!

素晴らしいリイシューを成し遂げた、新レーベル「富士」にトロフィーが送
られることに。
受賞おめでとうございます!


【ROCK/POPS部門】 部門賞:「“British Rock Explosion”第3弾 アージェント」 同時にスプーキー・トゥースもユニバーサルから発売されたが、そっちは SHMCDで価格的にも1,000円近く違う、ってことで対象外。 SMEの紙ジャケは価格的に最後の牙城となっていて、どうかBlueSpecオンリ ーにならないよう願うばかりだ。 その他にも6月に出た「マウンテン初来日35周年記念紙ジャケ」や10月 リリースの「MASA ITO presents ROCK MASTER WORKS Papersleeve Collection」も話題になった。 マウンテンは素晴らしい出来 悪魔天国の紙ジャケ化も まぁすべて国内リマスターなのか音質はイマイチなのだが、さすがに 日本にあるマスターがオリジナルなのだろう、ライブ・イン・ジャパン ものだけは例外。 サンタナの「ロータス」、BB&Aに続き、マウンテンの「異邦の薫り」 は日本洋楽フアン必携の出来だった。 次点:「ブリティッシュ・カルト・レーベル・コレクション Dandelionレーベル」 今年はマイナーなもの、マニアックなものの紙ジャケ化がさらに加速。常連 であるエアメイル・レコーディングスも頑張ってくれた。 もはや偉大とさえいっていい「British Legend Collection」はついに50弾を 突破して依然継続中。またアドヴァーツ、ボーイズやチェルシーなどのリア ルパンク・コレクションもうれしかった。 どれにしようか?と迷ったのだが、レーベル単位での復刻、そしてそのレー ベル自体のレア度とデザインの美しさからダンデライオンを代表として選出 した。 第3位:「イッツ・ア・ビューティフル・デイ ザ・コロムビア・イヤーズ1969-1973」 マスクラットからは権利上の事情でオフィシャルCD化が困難といわれていた イッツ・ア・ビューティフル・デイが登場。 人気の1stはあっという間に市場から消えた。 シスコ名作の米盤LP W:アマゾンで注文してたのに、結局キャンセルされちゃった  オリジナル盤持ってたんでヨユーこいてたのが失敗だったなぁ S:「ホワイト・バード」しか知らなかったけど、他のアルバムも  なかなかいいということに気づきました 第4位:「Virgin Charisma Paper Sleeve Series ペンギン・カフェ・オーケストラ」 今年はニューウェーブも含め、80'sの紙ジャケが多くリリースされた。 中でも本国リマスターを日本のみ紙ジャケ、という理想的な復刻となったDEVO や、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ(逮捕は衝撃でした!)、ハー ト、ナックなど大物もたくさん。 代表してペンギン・カフェを4位にあげた。故サイモン・ジェフスの非凡さを あらためて堪能できた。 ジャパンは02年盤のジャケを紙にしてリリース シンディ・ローパー、ヘアカット100、スパンドゥー・バレエ、カジャグーグー、 ヒューイ・ルイスなども続々と出た。 DEVOのSTIFF盤 右下は英VIRGINのシングル S:DEVOは最初のミニアルバム「BE STIFF」が一番衝撃的だったんで、これが  出てたら・・。 W:このあたりで紙ジャケ向き、といったらやっぱトーキングヘッズだよな Y:他にも来年は9の年なんで79年の重要作がいっぱい出るんじゃない? S:ジョイ・デイヴィジョンが紙ジャケで出し直されたらヤバイ。後は延期に  なったままのポップ・グループが・・。 第5位:「ヴァン・モリソン Paper Sleeve Collection」 リマスターは素晴らしかったが、なぜか英盤ジャケで紙ジャケ化されてしま ったのでこの位置に。SHM-CDで高額だったことも響いた。 S:ユニバのSHM-CD紙ジャケがドバーっと出たわけですが、もはやなにがなん  だかわからない上に、高いんで、手が出しづらかったですね 前掲した ・初CD化 ・新規リマスター ・日本初登場リマスター という他に、 ・初紙ジャケ化 ・リニューアル紙ジャケ化 ・単にSHM-CD化のみ というクレジットがないと、買うのを躊躇してしまう状況だった。 Y:しかし、これだと最新リマスターで、紙ジャケは従来通り、ってのはどう  なるんだ? S:帯とかにそう書いてもらうしかないんじゃないすかね。もはやこの状況じゃ。 例えば従来リマスターで初紙ジャケ化となったダイアー・ストレイツ、これも マスターは同じだがリニューアル紙ジャケ化となったスティーリー・ダン、ど ちらも新規であったトム・ウェイツとか混然となったリリースが続いた。 ビリー・プレストン、デフ・レパード、スーパー・トランプ、ピーター・フラ ンプトンもSHM-CDで紙ジャケ化された。CCRも何度目かの紙ジャケ化だった。 W:ムーディー・ブルースも最後まで選考に残ったよね 新規リマスター、紙ジャケリニューアルによるSHMCDで Y:プログレ系だとアーランパーソンズも出たんじゃ? S:BMG/アリスタはリマスターも素晴らしくて大賞クラスの出来だったんですが、  肝心のファーストが・・・ 「怪奇と幻想・・」はSHMCDで出し直されただけ? W:去年リマスター2枚組デラックスエディションが紙ジャケで出てたよね S:今年はSHMCDになっただけだと思うんですが、ジャケも改良されてんのかは買  って比べてみないとわかんないです Y:イチイチそんなことできないよ。この不況に。 W:BMG/アリスタはわりくっちゃった感じだね もはやいちいち店頭で帯を確認するのもおっくうなユニバーサルのSHM-CDリリー ス状況であった。せめてHPや広告で明記して欲しいと切に願う次第だ。 まぁ消費者としてはSHM-CDでなくてもいいから、値段を安くしてくれというのが 本音だろう。 逆に発売元としては値段が高くなるんでせめてSHM-CDにしたんですということか もしれないが・・・。 第6位:「アリシア・メイ」 VIVIDは今年もよくこんなものを、といった紙ジャケをいろいろリリースして楽 しませてくれた。 これは韓国経由のリイシューだが、店頭で見かけてビックリのレア盤。 ブックレットを含めた復刻内容もよく、堂々のノミネートだった。 レアな女性ヴォーカルといえばBlack Flashからディーナ・ウェブスターが紙ジ ャケでリリースされたのも驚きだった。 第7位:「カンサス」 これも足がはやかった。 拡大版のライブや人気作「永遠の序曲」「暗黒への曳航」は速攻店頭から消えた。 ただし08年の最新リマスターはそのライブ盤「偉大なる聴衆へ」と「モノリスの謎」 の2作のみ。 その他は01年と04年のリマスターで、人気作は過去に日本でもプラケでリリース済み。 S:探検隊痛恨の買いのがし W:カンサス、甘く見ていました Y:まぁ、ソニーなんでまた再プレスしてくれることを期待しましょう S:オリジナル盤は安いから、これと輸入盤でしのぎます もとの米盤LPは数百円なのに、紙ジャケはオークションアイテムに プログレ系ではアルカンジェロからリリースされたFLASHやWEBが人気をはくした。 フィル・マンザネラ関連では801の拡大版が登場。 Clearlight、String Driven Thing、EMIからのHarvest紙ジャケもリリース。 キャプテン・トリップからGURU GURUも登場した。 やはり紙ジャケでプログレ系は強いのだ。 第8位:「ホースリップス・コレクション」 がんばれ、ストレンジ・デイズ!ということで8位に。 特に1stの世界初レーザー加工処理によるジャケの再現は唖然とする。 これこそ紙ジャケ化にふさわしい。 (内容はいまひとつなんだけど、アイリッシュ・フアンの方なら・・) 異様に複雑なジャケをレーザー加工で再現 またアルカンジェロからはサムラ・ママス・マンナの紙ジャケが発売され、 そちらではビックリサーカス小屋紙ジャケが再現された。 第9位:「THE BEACH BOYS “ザ・ブラザー・イヤーズ”紙ジャケット・コレクション」 ようやくブラザー時代が紙ジャケに。これはうれしい紙ジャケ化だったが、 音源は00年にすでにリリース済み。解説もその時のものを基本的に流用。 Y:まぁそんなもんだろ。ビーチボーイズだからノミネートされたけど、順位  もこのへんかな W:ビッグネームは権利的にしょうがないんでしょ。 リンゴ・スターも紙になりました 同じくEMIからはリンゴも登場。もちろんリマスターなどは無理。 後は本体に期待か? この紙ジャケ化もうれしかったが デイブ・エドモンズもBMGとハヤブサ・ランディングスからリリース。 「ひとりぼっちのスタジオ」は02年にプラケで出ていた。 第10位:「ベイ・シティ・ローラーズ 紙ジャケット・コレクション」 08年はBCR関係の紙ジャケがどっと出た年。 本体以外でもロゼッタ・ストーンなど脱退メンバー関連、バスターなどの フォロワーが紙ジャケで出た。 肝心の本体は以前プラケで出ていたリマスターだが、「噂の・・」の ギミックジャケが再現されたのはうれしかった。 ROCK部門ではその他、最後までノミネートを争ったのがEMIからハーベスト 第4弾となるビ・バップ・デラックス、ロスト・ハウスからのロイ・ウッド 2タイトル、BMGからフリー・ソウル〜AORの定盤シリーズとして出たブレ イクウォーターがあった。 レア盤ではP-ヴァインからMainstreamシリーズでストーン・サーカスなど が登場。 パンク系では前述したエアメイルのリアル・パンク・コレクションを筆頭 にBMGからエリオット・マーフィー、シルベイン・シルベイン、チェリー・ ヴァニラなどの元祖系、デッド・ケネディーズまでSHM-CDで出た。 S:アクサクマブールもよかったですよね W:これがよくわからないんだ。前にプラケで出てたんだけど、今回新たな  リマスターでボーナスが追加されたのか、そうじゃないのか、解説読ん  でもよくわからない うれしい紙ジャケ化。でもクレジットは不親切? またユニオンSuper Fujiから23 Skidoo、サード・イヤーからArt of Noise、 birdsongからA Certain Ratio、ワーナーからJesus & Mary Chain・・・。 S:レイジまで出たけど、紙ジャケ化にふさわしいかどうかは・・・ Y:やっぱり紙ジャケにして意義があるのは少ないね W:本国できちんとしたリマスターがされた時に、ジャケがよいもの、凝っ  ているものだけが日本でのみ紙ジャケってパターンが最高なんだけど。 S:それだけがリリースされれば、10年前みたいに3ヶ月に一度くらい買え  ばいいくらいになりますね、きっと。 W:今度のジェネシスがそんな感じじゃない? Y:高すぎるのはちょっとな・・・ S:なかなか難しいですね
【JAZZ部門】 08年は日伯移民100周年記念に加え、ボサノバ誕生50周年というこ とで各種の企画やコンピレーションが発売された。 また去年に比べればビル・エバンスの未紙ジャケ化のものや、久し く市場から消えていた名盤、ユーロジャズの超レア盤など面白いリ イシューが多かった。 ... 部門賞:「ブラジル名盤 紙ジャケット・コレクション」 てなことで1位はBMGジャパンのブラジルもの。記念年にふさわしいリイ シュー。ボンバからもあいかわらず質の高いリイシューがあったが、そち らはもはや殿堂入り? 左のラウルジーニョは祝日本初CD化。右のタンバトリオも興味深い内容 次点:「Tampaレコード オリジナルLPデザイン 紙ジャケット仕様マーティ・ペイチ」 人気のペッパーものだが、実に初紙ジャケ化である。 W:以前のプラケはもっと黄色いジャケだったな・・・リマスターはきっ  とされてるような・・ Y:これ、レーベルが赤いのはなぜ? S:オリジナルの初版が赤盤というか、レッド・カラーだったんでそれを  模したんだと思いますよ ... 第3位:「ミューザック 金髪美女紙ジャケ」
2、3位はどちらもミューザック。 人気の女性ヴォーカルを紙ジャケにふさわしい美女ジャケで。音質もす ぐれていた。 同時に出たゴールディ・ホーンはさすがにジャズとはいえないけれど。 ... 第4位:「ベント・アクセン、ベント・イェーデック」 Think!からついに北欧ジャズのギガレア盤が登場!ということで大層 話題になった(もちろんある種のエリアで)。 しかし聴いてみれば単なる周縁ハードバップという意見も。もちろん こうして気軽に聴けるようになったからこそいえることでもある。 復刻に感謝! アナログ重量盤も同時に出た。 ... 第5位:「フリーダム・ジャズ ─ ペイステイト・スピリチュアル・ジャズ・コレクション」 これとユニバーサルの英ジャズ、ジョン・サーマン/マイク・ウェスト ブルック/マイケル・ギャリックどちらを入れるかは非常に迷った。 W:わたしは迷わずこっち S:デラムのサーマン、バリトンが凄絶なんですけどねぇ ... 第6位:「ビル・エヴァンス 紙ジャケット・コレクション・オン・ヴァーヴ by special requests」 エヴァンスのヴァーヴ盤も注目の2タイトルを含んで再度登場。 初CD化の『V.I.P.S Theme Plus Others』、 元が『California, Here I Come』の、『The Village Vanguard Session '67』 しかしエヴァンスものもここまでくると、ハル・マクシックのDECCA盤 「CROSS SECTION-SAXES」も欲しくなってくる。 VIPSに比べれば内容的にも・・・。 第7位:「Jazz Next Standard」 ジャズは毎年毎年、ニュー・スタンダードとかネクスト・スタンダード とか新たな定番商品を作ろうとしているが、さっぱり定着しない。 でも、こうした試みが続いていくのはいいいことだ、と思う。 第8位:「ワーナー・ジャズ・コレクション」 SHM-CDでエヴァンス、ジャレット、ペイチが紙ジャケ化。 特にペイチの「踊り子」「お風呂」は前回の紙ジャケがプレミア化して いたのでうれしいリリースだった。 オリジナル盤より高いですが、ボートラついてますぜ ただ、リマスタークレジットが不親切で諸手をあげてバンザイとはいか ない感じ。 第9位:「JAZZTIME / JAZZLINE Premium Collection」 幻のレーベルの再紙ジャケリリース。HQCD。「スピーク・ロウ」は寺島氏 の音質に対する賞賛ステッカーがはられている。 オリジナルマスターをついに発見、との話もあったが真偽は不明・・。 なにしろそのへんのクレジットはさっぱり記載されていないのだ。 09年にはこちらも幻、英ポリドールから発売された「エンジェル・アイズ」 が再紙ジャケ化される。 ジャズではその他ユニバーサルからオスカー・ピーターソン、ビデオアーツ からSteeple Chaseレーベルの再リリースなどがあった。 ・・・・
【SOUL/R&B部門】 今年はソウル、R&B系の紙ジャケがけっこうリリースされたので、試みに部 門をわけてみた。ROCKやJAZZ部門とのジャンル分けが難しいこともあるし、 探検隊自身あまり詳しくないので評価が妥当かどうかもあやしい。 ひとつの試みとしてとらえていただければ、と思う。 部門賞はローウェル・フルスン。これには試聴していた探検隊全員びっくり。 音質も最高。このジャンルはさすがP-VINEといったところ。 次点のボ・ディドリーは追悼SHM-CD。この部門に入れるかどうか悩んだのだ が・・・。 3位はオリジナルフォーマットでの初CD化を含む、初期のスティービー。4 位はビクターの「SOUL WALKER SERIES」。オーティス・クレイは世界初CD化 (そもそも日本でしかLPが出ていなかった)。ダイレクションズやスタイリ スティックスの1stはうれしいが、前にプラケで出ていたリマスターかもし れない。 5位はVIVIDの「OHIO FUNK BOMB SERIES」。値段はちょと高いが、紙ジャケ 向けのセクシーなカバー。 この部門ではその他にもBMGからGil Scott-HeronやRay Parker Jr. & Raydio を含むSuper Premium Blackシリーズ、同じくBMGから80年代のアレサ・フラ ンクリンを含むTaste Urban Soul、ホイットニー・ヒューストン、ソニーから Big MouthやHarold Melvin & The Blue Notesなどのソウルコレクションが ドカドカと発売された。 また年末にはユニバーサルからアイザック・ヘイズの追悼盤SHM-CD紙ジャケが リリースされた。 S:このジャンルで紙ジャケにふさわしい、ってなんでしょうね W:ジャケが凝ってたり、付録が面白いファンカデリック/パーラメント一派は  前に1回出てるし S:われわれでも知ってる有名なジャケといったらカーティス・メイフィールド  の「スーパーフライ」でしょうかね Y:まだまだ知らない面白ジャケがあるかもね ・・・・
【CLASSIC部門】 去年はソニーからワルターやグールドが出ていたが、今年はなし。やはりクラ シックで紙ジャケは厳しいジャンルなのか。 S:今年一番良く聴いたのはこれです 初期カラヤンの10枚組BOX とはいっても・・・ W:こ、これはつっこみどこが多すぎて・・そもそもBOXは対象外だし、ジャケ  は紙製のスリーブに入ってるけど、全部同じ写真だし、しかも原盤切れの  音源でヘンなとこからリリースされてるし・・・ S:38年から49年までの録音をおさめた10枚組で1,480円!1枚あたり148円で  しかも24/96リマスター! Y:そのリマスター、意味あるのか? S:いやー、この頃のウィーンフィルはいいなぁ・・・ ...
【J-ROCK/J-POP部門】 紙ジャケのリマスターをオリジナルマスターにもとめるならJ-POP/ROCKの方 が有利なのは例年述べている通りだ。今年は歌謡曲も多くなり、タイトル数 では洋楽なみになっている。 部門賞は岡林信康。理由は大賞選考で記した通りだ。ユニオンの富士レーベ ルとコロムビアから発売されたが、もちろん白眉は初CD化や発禁曲の復刻を 含む富士レーベルの方。はっぴいえんどのフアンはもちろん、ジャックスの フアンにとっても見逃せないリイシューだ。 2位と3位はどちらもBMGから。そして悲しいことにどちらも今年メンバーの 不幸にみまわれた。LAZYは日本のロックを語る上でかかせない存在。スペー スサーカスは前回の紙ジャケが即刻回収、今年ようやくメンバー監修リマス ター、貴重なボートラつきでオフィシャルCD化された。 ジャズファンク?プログレ? 右のセカンドの方がプログレ度は高い 話題性からこの2作を選んだが、同じBMGからは難波弘之とSense Of Wonder の作品も復刻されている。こちらも本人監修で甲乙つけがたい出来。 4位はテイチクから細野晴臣。 5、6、7位とコロムビアが続く。今年は質の高い復刻が多かった。美空ひばり は「昭和アーカイブス・紙じゃけこれくしょん」の1枚。前述の岡林や 弘田三枝子と同シリーズ。 ゴダイゴもコロムビアの他にユニオンG-Maticsからサントラ系が出た。「ハウ ス」のサントラは大林監督フアンも注目の1作だった。 「コロムビア×レディメイド コロムビア100年」シリーズは100作をめざして はじまった大シリーズ。先頭がカウント・バッファローという切り口が新鮮。 そういえば今年は沢田駿吾がらみの紙ジャケがいろんなとこから出た印象 がある。 8位はEMIとユニバーサルから再紙ジャケ化されたRCサクセションをあげておく。 その他にもEMIから昭和歌謡や女性アイドルが大挙リリースされた。 昭和歌謡は弘田三枝子、越路吹雪、坂本九、水原弘、奥村チヨ、黛ジュン、 由紀さおり、ゴールデンハーフ、欧陽菲菲、ドリフターズ、クレイジー・ キャッツ、ザ・フォーク・クルセイダーズなどなど・・・。過去にプラケ で出ているものもあるようで、混然としていたためノミネートからはずれ たが、注目に値するシリーズだった。 同シリーズの女性アイドルも小林麻美、伊藤咲子、岡崎友紀、薬師丸ひろ 子、本田美奈子、早見優などなど東芝の資産が爆裂している。 中でも大場久美子の『kumikoアンソロジー』はピクチャー仕様のベスト盤 を再現。カーブド・エアなみだ。掲示板でも話題になった(というか探検 隊が勝手に騒いでいただけだが)。 アイドルならもちろん紙ジャケの元祖ビクターも負けていない。石川優子、 浜田麻里、吉永小百合と続々復刻。 アート・ペッパー入りの石黒ケイも紙ジャケ化された・・(LPで聴いた経 験がある人は、ああ、あれは・・でも・・という反応かもしれないが)。 また同じビクターからはクリスタル・キング、ツイスト、サンハウス、マルコシ アス・バンプ、44マグナム、LA-PPISCH、アナーキー、ARBとバンド系もこれでも かと発売された(もう少し分散した方が食いあわないような気も・・) バンドブーム時代のものはテイチクからもPERSONZ、BEGIN、THE COLLECTORS などが出た。 ソニーからは須藤薫と杉真理。 どれもこの部門は素晴らしい復刻が多く、紙ジャケ再現度も徹底している。 ただヤマハから出た中島みゆきだけは、期待していただけに許せなかった人も 多いだろう。探検隊も店頭で見て買う気をなくしたが、現在流通している紙ジ ャケとはとても同列に論じられない、紙製スリーブによるCD再発であった。 それからこれはジャズ?部門かもしれないが富士キネマから『マルサの女』の サントラが紙ジャケ復刻された。あのテーマ、なつかしいですねぇ。 小山ルミも第二弾まで出ました ...
【海外/その他の部門】 オーマガトキから待望のSaravahレーベルが紙ジャケ化された。新着でもとり あげたブリジット・フォンテーヌやピエール・バルーはシャンソンなのかジ ャズなのか分類が難しいが、ジャンルを超えて長年リスナーに影響を与え続け ている。 ハワイアンは昨年PANINIレーベルが復刻されたが、今年はHULAレーベル。
【話題になったで賞】 ビッグ・アーティストのため話題にのぼった紙ジャケなのに、アマノジャ クな探検隊の評価基準によりオミットされたもの。 1位のZEPはもはや何もいうことはない。待望のE式で初回帯復刻。ついでに SHM-CD。見開き折り返しの不具合も話題になったがメーカーの対応は誠実だ った。デフジャケ入りのBOXも同時に出た。 2位は来日公演が記憶に新しいザ・フー。「トミー」、「ライブ・アット・リ ーズ」、「フーズ・ネクスト」がデラックス・エディションにデフジャケを つめこんでSHM-CDで発売された。ここまでやれば4200円も納得できる? またマイジェネ、セルアウトはさらにオマケいっぱいのコレクターズBOXで発 売された。 3位はデッカのストーンズのSHM-CDによる再紙ジャケ化。「サタニック〜」の 3Dなどが改良されての出し直しで、中古市場で前回紙ジャケが価格暴落した。 なおストーンズもデフジャケをつめこんだBOXが発売された。しかし48,000円 で買い直すというのはさすがに・・・。 こうしてみてくると、08年のビッグ・アーティストの傾向がよくわかる。リマ スターはすでに手づまり。素材を良くして、デフジャケや初回帯などのオマケ をてんこもりにして高額BOXでリリースする、というのが08年のトレンドだっ たのである。 (購入者としては復刻帯やデフジャケはユニオン特典の方が財布は楽なのだが ・・・せちがらい世の中である)。
【特別賞】 今まで特典大賞となっていた復刻帯やデフジャケが、金になるということで 高額化のために使用されるようになってしまった。したがって、今年はなし。 変わりに特別賞をユニオンのみ紙ジャケとして発売された 「レコメンディッド・レコード・サンプラー」 に献呈したいと思う。 またビクターから1,500円で再プレスが行われたのもうれしかった。歌詞解説 なし、という仕様で元の価格との差別化をはかっているが、もちろん何度も買 い直している人には不要のものだろう。 この価格でキンクス、PFM、ELP、プリティ・シングスなどの紙ジャケが新品で 買えたのは素晴らしい(中古市場価格の方が安いものもあったが・・)。
【選考を終えて】 08年はなんだか世相を反映した結果になった。 要するに不況である。 レコード会社は売上を確保するため高品質素材や特典で価格をつりあげ、消費者 はなるだけ厳選して買おうとする。悪循環に陥っている。 W:今年はもっと紙ジャケ買わなくなるだろーな S:10周年なのにシブそうですね Y:なんかやらないとなー ・・と、ああだこうだと企画を練るが・・・ W:どれも金かかりそーだな S:やはり今年のポイントはそこですかね 思い起こせば08年はヴァン・ヘイレン、メタリカ、AC/DCとあんまりこの大賞と関係 ないものばっかり特集していた探検隊。 ザ・フーの来日にあわせて音楽喫茶なんかもやってみたのであった。 Y:今年は紙ジャケにもどろう!バック・トゥ・紙ジャケだ! W:いい紙ジャケが出ればね・・ S:まぁあまり悲観的にならずに紙ジャケリリースを楽しみましょう。 みなさま遅れましたが10年もの間、どうもご愛顧ありがとうございました。 今年は何か企画をやろうと探検隊一同気持ちを新たにしておりますので、 これからもどうかよろしくお願いいたします! (了)