2009年紙ジャケ大賞 選考経過

【第12回紙ジャケ大賞 2009年グランプリ】
ワーナーミュージック・ジャパン
「トーキング・ヘッズ結成35周年記念企画
TALKING HEADS Paper Sleeve Collection」

総評にもありますように、この選考、昨年12月30日に行われました。
で、もう3月です。
まことに申し訳ありません。どーしてこんなことに・・。

ま、人生、色々なことがあるという・・・。

隊員全員反省しておりまして、来年はもっと早くUPできるようにいたします。

・・・・

昨2009年は9のつく年、ということで59、69、79の名盤が記念盤で沢山でました。

2009年としても、ついに実現したビートルズの新規リマスターが登場。
探検隊もサイト開設10周年にかこつけて久しぶりに公開試聴会などをやりました。
レポート、一体いつになったら公開できるのやら・・・

また09年はビートルズのUSBボックスが出たことで、24bit元年としても記憶される
年となりました(PCオーディオ元年、データオーディオ元年ともいいますね)。
CDのメディアとしての終焉と強く実感した年でもありました。


そんななか、紙ジャケで気を吐いたのはワーナー・ミュージック・ジャパンさん。
良い紙ジャケが出てくる会社というのは、紙ジャケ化に熱心な担当の方がいて、
その周囲に優秀で熱意ある製作会社が集まっているという、やはりなんでも”人”
ですね、人。リイシューも例外ではありません。

評価の高かったシカゴはすでにプラケで国内発売済みリマスターも多く、残念なが
ら選外。
最終決定盤として大人気だったイエスは新規国内リマスターですが、国内既発済み
ライノリマスターをもとにしたもの(ということはデジタルマスターテープをさら
にリマスターしたものと思われます)
デトロイトパンク40周年はストゥージズがプラケ発売済み。

ということで、02年リマスターながら国内初登場リマスターとなるトーキング・ヘ
ッズの大賞選出となりました。

現代美術の巨匠ラウシェンバーグのアートジャケをほぼ完璧に再現した紙ジャケは、
ヴェルヴェッツのバナナとそろえることでニューヨーク・アート・ロックの系譜を
ジャケで楽しむことができます。
素晴らしいリイシュー・プロダクツでした。


ワーナーさん、おめでとうございます!
ものすごく季節はずれになりましたが、今年もむりやりトロフィーを送りつけさせて
いただきますね。


【特別賞】 「ザ・ビートルズ モノ・ボックス」 今回は例外的に特別賞からはじまってますが、なんといっても、2009年の復刻の話題 はビートルズの新規リマスターでした。 W:単体ステレオがデジパック。それをまとめたステレオボックスと紙ジャケのモノボッ  クスが出たわけだけど、紙ジャケのバラ売りはなし。結局「イエローサブマリン」  「アビーロード」「レット・イット・ビー」の紙ジャケが存在しないことに。 Y:ビートルズの紙ジャケが出たらHPやめるといっていた探検隊もどうも宙ぶらりんな  状態なんだよな S:ボックスは紙ジャケ大賞の対象外だから特別賞かなー。 W:そのうちモノの紙ジャケのバラ売りもでるかもね S:周りの人の多くはステレオとモノを両方ボックスで買ってたけど、年末にステレオの  USBボックスが出ちゃったんで Y:結局ステレオボックスは部屋の中で無意味なモノリスと化してるわけだよな。 紙ジャケは英オリジナルLP準拠の日本製。 「プリーズ・プリーズ・ミー」のAngus右よりが再現されず 「リボルバー」の内袋が白じゃない 「マジカル・ミステリー・ツァー」が米LP準拠(これはある意味仕方ない?) 「ホワイト・アルバム」のシリアル番号が再現されず。  またポートレートの保護紙も再現されず(これは細かすぎますね) といった欠点は指摘されましたが、全体的には素晴らしい出来。 全世界共通日本製でよかった! Y:シリアルは全部090909の共通番号でもいいからつけといてくれればよかったのに W:ホワイトは前回シリアルつきの紙ジャケが単体で出てるから差別化したんじゃないの? S:音質は賛否いろいろありましたが、全体的には満足したという意見が多かったような W:前とあんまり変わらない、という意見もあったけど、前回のCD化もきちんとオリジナル  マスターテープからリマスターしてるわけだから。 Y:途中の精度が24bitになってあがったとしても、最終的に16bitのCDになっちゃった段階  ではそんなに変わらないといえば変わらないよね S:それだけに年末に出た24bitUSBボックスは衝撃的でしたね W:あれこそ今回のリマスタープロジェクトの成果が実感できるもの S:アナログ盤も出るって話だったけど、CDマスターの16bitからカッティングするのか  元の24bitを使ってやるのか・・ Y:そこが問題。最近もアナログリイシューは多いけど、カッティング元のマスターに  なにを使ったか明記してくれたらいいんだけど S:24bitデータからダイレクトカッティングとか言われちゃうと、また買わなきゃいけ  なくなるからなー、痛し痒しですな 音質の話題は24bitUSBボックスにつきた感がありますが、モノリマスターの、音圧を あえて高めない処理に関しては全員大歓迎。 昨今のラウドネスウォー、むりやりCDの音圧をマスタリングで高めるやり方に対する 強力なカウンターパンチだったという意見と、 これはビートルズだからこそで、他のアーティストがやったら「なんかショボい音のCD」 で終わってたかも、という意見が出ました。
【ROCK/POPS部門】 部門賞:「トーキング・ヘッズ結成35周年記念」 ロック部門賞(1位)のヘッズは前述の通り、紙ジャケにする意義のある ラウシェンバーグジャケが白眉。今年もフェイシズなどワーナーさんはが んばってくれそう。 次点はディランの新規リマスター&国内紙ジャケという最高のパターン。 当初のSACDハイブリッド先だし、という迷走リリースをふっきってくれた のはありがたい判断だった。 3位のクリムゾンは紙ジャケCDというより Y:これはもうDVD-A紙ジャケということで S:より正確にいうとDVD-Aに入ってる24bitデータ紙ジャケですね 5.1chのマルチミックスも格の違いをみせつける素晴らしいものだったが、 なんといってもDVD-Aに入っている24bitデータの価値が高かった。 もちろんステレオデータの方が重要で、フリーウェア/シェアウエアを使っ て簡単にリッピングでき、iTunesで再生できる(私的使用に限りましょう)。 そっから先もDACがあれば24bitで耳に届く。 このへんが7位のジェネシスとの差。 24bitできく、オリジナルマスターの音は最高。もっともマルチミックスやそ れを元にしたNEWMIXの方は実はあんまり聴いていない・・・。 4位、5位とワーナー続き。イエスは前述のようにCDフォーマットでは最終形 ともいうべき出来で、すぐに完売。MC5の国内カバー帯つきはうれしかった。 6位にZTT、9位にZEレコード。同じく80年代の紙ジャケ復刻。ZTTは音源の集 成という意味でもよかったし、ZEは初CD化作品に待望のアルバムが・・。 W:レジデンツはもっと上でもいいんじゃないの? S:これ、リマスターのクレジットがよくわかんないんですよね・・・ Y:ひさしぶりに聴くけど、初期の毒々しさはやっぱりイカしてるなぁ スティーヴィー・レイ・ヴォーンは旧リマスターも含んでて、新リマスター はおそらく国内もの。 選外ではあったけどRCAのプログレ(ニドロログ等)や、あいかわらず頭の下 がるリリースが続くエアーメイル、VIVIDのSSW名盤などのがんばりが印象に 残った1年だった。
【JAZZ部門】 ... 部門賞:「昭和ジャズ復刻シリーズ 「白木秀雄/祭の幻想」」 Think!の和ジャズではついに名盤「祭の幻想」が紙ジャケに。 EPも出ました。 ビリー・ウッテンは何度もCD化されているレア・グルーヴ名盤。今回は 紙ジャケでBlu-SpecCDでの登場 ボンバのラテン関係は昨年もがんばってくれました。 DIWのユーロジャズではフランク・チェリが登場 6位のベヴ・ケリーは13年ぶりのCD化ということだが、リマスターなどは よくわからなかった。 Y:トミフラの「オーバーシーズ」がEP仕様紙ジャケで出たのも印象に残ってる W:でもやっぱりアナログで買っちゃったんだよなぁ。 ・・・・
【SOUL/R&B部門】 なんか、こうジャンルわけがあやしい部門になってます。 W:フィフスはこの部門じゃないだろ? Y:部門賞がリタ・クーリッジって・・ S:まぁこれはブッカー・Tの方でして W:『レイラ』の元歌が入ってるヤツも出たんだよね TRIBEレーベルの紙ジャケシリーズもうれしいリイシューでした。 ・・・・
【CLASSIC部門】 該当作なし このへんもネット上で高音質データ配信の動きが出ているジャンル。 もはやジャケ不要か? ...
【J-ROCK/J-POP部門】 1月にはじまったキングのピーナッツのシリーズは編集盤なども含めて ていねいな仕上がり。 当時のオマケも再現した浅丘めぐみも待望の登場。 斉藤由貴の紙ジャケもリリースされた ヒカシュー&巻上公一の紙ジャケリイシューも昨年。 SUPER FUJI DISCSからはコスモス・ファクトリー、FAR OUT、 ファー・イースト・ファミリー・バンドの一連の作品が登場。 凝ったジャケの作品もあり、この時代の日本のロックの動きを伝え てくれた。 その他大物ではCHAGE and ASKA、アルフィー、尾崎亜美が登場した。
【話題になったで賞】 ビッグ・アーティストのため話題にのぼった紙ジャケなのに、アマノジャ クな探検隊の評価基準(国内既発リマスターだったり、BOX先行だったり) によりオミットされたもの。 まー、なんといっても去年は社会現象にまでなったマイケル。 W:紙ジャケ発売のタイミングでの訃報。ということで一気に完売。製造もまに  あわなかったんじゃないか S:チャートも席巻したし、映画も大当たり。マイケルの凄さを目の当たりにし  ました Y:すっかり去年までのマイナスイメージも払拭されちゃった。よかったんだろ  うけど、こうした世間の評価と言うか印象がガラっと変わる怖さも味わえま  した。 3位のプリンスもステッカーなどを再現したこだわり仕様。マイケルとプリン スという80年代のアイコンが続いて出た。 プリファブ・スプラウトの紙ジャケシリーズも出たが、なぜか80'S国内仕様の シリーズで出たのが残念。 W:このシリーズは懐かしさに重点を置いて紙ジャケ化しているんだろうけど、紙  ジャケって懐かしさだけじゃないからなぁ S:ちょっとリイシューの視点がずれてましたね ロッド・スチュアートは来日記念でワーナー、ユニバーサル、BMGから続々と出た。 中でもやはりワーナー時代は待望のリリース。 S:レッズ戦にやってくるって話あったけど W:本家の『セイリング』歌って欲しかったね S:レッズ・サポーター版の替え歌はやっぱムリか・・・ ラッシュはカナダオリジナルを再現。 2位のシカゴは大賞に押す人も多かったこだわりの出来。 ワーナーは昨年もいい仕事いっぱいしました。 ...
【24 bitで行きま賞】 ザ・ビートルズ USBボックス W:さあ、これです S:これこそ去年の白眉。 Y:24/96とかじゃなくて44.1ってとこがセコいけど、でもそれにしてもこんな  もの出すと、簡単にコピーされちゃってまずいんじゃないの? S:もはや実際はCDだって一般家庭で簡単にコピーできるから・・割り切って進  むしかないのでは、と。 W:それにしても感動的。生々しいってことは鮮度が高いってことで、そうすっと  元の周波数情報がきっちり残ってるってことだから奥行きとかの空間表現もあ  って、楽器の音色も倍音が豊かに残ってるってことで、まあすべてがつながって  いることがよく実感できた! S:16bitは終わりましたかね Y:アナログか24bitしか高い金払う価値がないと・・・でも入れ物がまだ定まって  ないからね S:USBって今までもストーンズや浜崎あゆみが出してて、入れ物的にはいいんでしょ  うけどね。クリムゾンみたいにDVD-Aでもなんでもいいんですが。 W:入れ物のフォーマットが決まらないと、コレクション的にはむずかしいね Y:家で簡単に再生対応できるの? S:このページ見てる人はパソコン持ってるだろうから、基本的にDAC買えば終わりです。  買わなくても聴くだけならiTunesで内蔵スピーカとかヘッドホンで聴けます。  音質はCDなみになっちゃいますけどね Y:それじゃ24bitの意味ないだろ? S:ということでDACです。Digital Audio ConverterもしくはDigital Analog Converter。  これをパソコンのUSBかFireWire端子に接続して、お持ちのオーディオにつなぐだけ。  楽器屋さんとかに行けば2〜3万でとりあえず買えます。  5〜7万あればまぁそこそこ。もちろん10万以上の立派なものもありますが、音質から  いえば100万クラスのCDプレーヤーをしのいじゃうんで、それでも安いかな。  DAC買うとたいてい再生ソフトもついてますし、ネット上でフリーウェアさがすのも  いいんじゃないかと。 Y:もともとDTM用なのね S:今や音楽のほとんどはパソコン上で録音・編集されてるんで、もうそのままですね。  作ってた状態で再生できる、ほんとマスタークオリティ(厳密にいえばシステムの  レベルが違いますけど)。  高いのは4入力とか8入力とかついてるDACもありますけど、録音しないで聴くだけだ  ったら1出力あればいい、ってことですから。そんな高いのはいらないですね。  それにきっとこの2〜3年でDACは劇的に安くなって高性能になっていくと思います。  あわてて高い物を買わなくとも、とりあえず手頃なもので体験してみるといいかも Y:まぁとりあえず安いヤツ買うか。2010年からはパソコンで聴くのね  でもなんか仕事から家に帰って音楽聴くためにパソコンたちあげるのはイヤなんだ  よね S:うーん。そのへんは割り切りというか、ホントイヤだったら音楽再生に特化したリン  DSとか買うですね W:高いだろ、だって S:そういう人はパソコンをいじってください、と。ま、どう対応していくかは人それぞ  れで・・DACの種類もヤマのようにありますから、今や。  とりあえず24bit再生で今の自分のオーディオ鳴らしてみて、じょじょにアップグレー  ドしていけばいいんじゃないかと思うのです。  でも最初からバリバリ高品質再生、せっかくだからスゲェ音質を満喫したい、って方  にはですね、最近出たオススメはこちら  →音楽再生に特化したフェーズテックHD7-A W:確かにリンDS買うより遥かに安いな。どーしようかな・・・ S:ま、悩むのも楽しいですから Y:でもこうなっちゃったら紙ジャケ、っていうかパッケージ文化はどうなるんだろ? W:探検隊も今後はデータオーディオ時代のジャケについて考えて行かないといけないな! S:やけに熱がこもってますね W:だって新しい時代の幕開けだろ?ワクワクするぜよ(ってオイオイ)。
【特典大賞】 特典大賞は牛心隊長の紙ジャケ。ジョン・レノンも壁に貼っていたという 赤ん坊ステッカーが再現されました。 このユニオン特典はボックスで、2枚買うともらえるというオトクなものでした。
【選考を終えて】 不況は続いてて、CDの売上は前年比76%。 W:末期的だなぁ S:ブルーレイは2.5倍くらいになってますけどね Y:紙ジャケCDに地デジ化は関係ないからなー  やっぱり2009年は24bit元年だったんだな W:今年からはデータオーディオ、PCオーディオに探検隊も取り組んでいきますんで  忘れずによろしくお願いします Y:更新もちゃんとやろうな。 (了)