2010年紙ジャケ大賞 選考経過

【第13回紙ジャケ大賞 2010年グランプリ】
ソニー ミュージック ジャパン インターナショナル
「アイズレー・ブラザーズ Isleys T-Neck Years」

この選考、昨年12月30日に行われました。
で、もう2月です。でも去年は3月に発表だったので
多少はましになったということで、どーかよろしくお願いいたします。
(トロフィーなんて作ってるからですね・・)

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大賞は昨年に続き、フェイセズでワーナーが受賞か?と思われたが
ブラックミュージック系が光彩をはなった年、という意味もこめて
アイズレーが受賞。

ソニーさん、おめでとうございます!
今年もむりやりトロフィーを送りつけさせていただきますね。


【特別賞】 「ボブ・ディラン・モノ・ボックス」 去年この賞はビートルズのモノボックスでしたが、今年は同様の主旨で ディランのモノボックス。 W:ディランの60年代はやっぱりモノだよなぁ。ホントにこの声とギターはたまらん ・・・・ Y:箱ものは例外、といっておきながら2年連続特別賞を設置しちゃった。 S:去年はこれ以外にもスプリングスティーン、ジミヘン、ポール、ストーンズ、ボウイ  などなど怒濤のようにデラックス盤が出ましたんで、時代の流れを感じますね W:なかでもこのディランのモノ箱、特に日本制作盤は初回ステッカーにまでこだわった  すぐれもので、とにかくジャケも含めて究極の感が強い S:以前のSACDリマスターがハイレゾで配信されたらまたそっちも買っちゃうと思います  けどね。  あとは「ジョン・ウェズリー・ハーディング」の再評価がこのモノ盤で高まるといい  ですね Y:今聞き返すと、激動の67年の最後を静かに締めくくった名盤という感じ。今までは  なんかジャケも含めて、テキトーにエイヤって感じで作ったアルバムと思っていたけ  ど・・・。 S:それはまぁ、その後のディランはしばらくそんな感じなんで・・・達観したんですか  ね W:プロテストいったり、キリスト教いったり、けっこうつきあった女によって変わるん  で、そん時の女によるんじゃない? Y:それも含めて、偉大なオンリー・ア・ホーボーだよね。 W:まあ、このモノ箱でじっくり堪能しましょう
【ROCK/POPS部門】 部門賞:「フェイセズ 紙ジャケット コレクション」 ロック部門賞(1位)はやはり、フェイセズ。ロック部門では昨年に続き ワーナーの快進撃が続く。 特徴的なギミック・カバーが多いこともあり、フェイセズの紙ジャケは本 当に待望されていたものだった。リマスターも最新のものだが、日本リマス ターで、元のテープリサーチのクレジットがないのが、昨今のリマスター 状況を考えると惜しいところ。 Y:今までも、ワーナーのイエスやリトル・フィートは日本リマスターでも  受賞してたんだけどね S:新規リマスターなんで、それでも文句はないんですが、イエスで後から  本国マスター使ったライノ盤の紙ジャケ買い直させられたりしたんで、  ちょっとゲンナリしてるところもあったかと。  いまや2010年ですから、REMASTERED BY ISAO KIKUCHIだけでなくて、もう  少しちゃんとしたクレジットはして欲しかったですね W:ジャケの復刻は見事だっただけに、惜しいね。肝心の音は? S:もともと音のいい録音じゃないんで、別に・・という部分はありますが、  昔の日本盤LPに近い固めの音でした。英盤や米盤とはやはり傾向が違う  感じ W:でもフェイセズは音質うんぬん、というかハイファイをもとめてもしょ  うがないからねー。イカした音になってるかどうかだろ? S:それは・・・安い中古レコでも買ってください・・・その方がフェイセ  ズ聴くにはいいんじゃないかと 時点は昨年に引き続きクリムゾン。DVD-AUDIO紙ジャケというか、ハイレゾ 紙ジャケのひとつの形(主眼はマルチなんだろうけど)。今回は「アイラン ド」と「ポセイドン」。「アイランド」も英米両方のジャケがつくが、英盤 についていたインサートは復刻されず(米盤ジャケといっしょだから割愛?)。 S:「アイランド」のステレオミックスだけリッピングしてPCオーディオで  きいてました。とてもひっこぬきやすく作ってあります。 Y:マルチも簡単にコピーできるの? S:データ自体は問題なく。鳴らすソフトもあるから設定すれば聴けますが、  最終的にスピーカーが2本しかないんで・・・。 W:うちはSACDでユニバーサルから出たシリーズを聴いてみたけど、あれは  マルチじゃないし、残念ながら紙ジャケじゃないんだよな Y:今はいろんなフォーマットで混沌としてるけど、そのうち落ち着くんじゃ  ないかな 3位はこれもフェイセズと同じワーナー国内リマスターによるリンダ・ロン シュタット。女性ヴォーカルは他にも延期を繰り返したオリヴィア・ニュー トンジョンやジャニス・イアンが出た。ジャニスは今年、日本公演を記録し た「追想の扉」が初CD化される。 4位はプログレものでソニー/BMGのユーロもの。カナリオスの紙ジャケ化は うれしい限り。 プログレでは他にエニドのファースト。紛失したとされていたオリジナルマ スターが発見され、日本ではそれをもとに再び紙ジャケ化された。 ベル・アンティークからはツァールやセカンドハンド、アルカンジェロから マンダラバンドがリリースされた。 マンダラバンドは後身のサッド・カフェがエアーメイルからリリース。 今年はエアーメイルを軸に、レーベルをこえてブリティッシュロックの歴史 を味わえる好企画が目立った。 トントン・マクート→ヴォイジャーの流れを一気に紙ジャケ化した企画はそ の一つ。 5位のホークウィンドもギミックカバーが多く、待望のもの。ブックレット の再現がすごかった。 6位は最近評価がさらに高まっているトム・ウェイツ。国内リマスターだが まとめて再発されただけでもうれしい。 7位はオリジナルフォーマットでリイシューされたユニバーサルのチャック・ ベリー。 W:これは55周年というイマイチ中途半端な記念ものなんだけど Y:ムリヤリ『ジョニー・B・グッド』の歌詞「ゴー・ジョニー・ゴーゴー(55)」  とひっかけてあるぞ 8位はスコーピオンズのRCAイヤーズ。再紙ジャケ化ではあるが「蠍団爆発」は 2010リマスターでなんと日本盤ジャケでリリース。 その他で目立ったのはサバスのディオ期やレインボー、シン・リジィなどの デラックスエディションの紙ジャケ化。 Y:すいません、さすがに財布の負担が重くて輸入版のデジパックで買っちゃった S:裏切り者!って私もスリッツは輸入版で先に買いましたから W:デラックスエディションって昔からあるけど、結局DISC2は何回も聴かないん  だよ S:最近出たシン・リジィのライブとか、ライブの完全版は意味合いがまた違います  けどね スワンプではダン・ペンやアラン・ガーバー AORやSSWのレア盤も毎月のようにリリースされた 今年来日したデイブ・メイソン、エンジェル、スペシャルズ、トット・テイラー なども印象に残っている。 ブリティッシュではリチャード・トンプソンの「ハエ男ヘンリー」、デイブ・ス チュアート&バーバラ・ガスキン。 ハヤブサランディングスからは米ガレージモンスターのザ・シーズ。今年はリッ ターが出る。このシリーズも期待大だ。 サントラではあるがヴァン・ダイク・パークスとニルソンによる「ポパイ」が紙 ジャケCDで出たのも快挙だった。 ただ時代的にはデラックスエディションがさらに豪華になった高価大型パッケージ で、CD/DVD/LP/本など複数メディアがいっしょになったものが一番目立った年。 熱心なファンは高くても買うんだから、できるだけ高額値づけできるパッケージに して売ろう、ということだろうか・・・。それなら数量は少なくとも商売になる、と。 パッケージメディアの終焉は近そうだ。
【JAZZ部門】 ... 部門賞:「オクラホマ・トード」(デイブ・フリッシュバーグ) W:これはジャズといいますか、まぁユニオンでもジャズコーナーで売っていた  のでいいのかな、と。 S:ボツになったオリジナル・ミックスをカップリングして興味深くきかせる企画。 Y:2位のパット・モランって紙ジャケになってなかったんだ・・・盲点だったね 3位、4位はレア・グルーブもの。希少で高価な廃盤群もCD化されて聴いてみると たいしたことないのが多い中、このシリーズは面白かった。 その他ではジュリー・ロンドンの全タイトルが没後10周年記念でリリースされた。 W:主立ったものはすでに紙ジャケ化されていたから、買い直すほどでもなかったなぁ。 今年の1月に訃報が届けられた古澤良治郎「Racco」に合掌。 ・・・・
【BLACK MUSIC (旧 SOUL/R&B)部門】 部門賞:「Isleys T-Neck Years」(アイズレー・ブラザーズ) 2010年はブラックミュージックの紙ジャケが目立った年。 ということで大賞もこの部門から。 Y:単に他のジャンルが地盤沈下しただけじゃないの? S:とはいえ、アイズレーがこんだけまとめてリリースされたのは快挙ですよ。リマスター  が昔のものもありますが、日本初CD化のタイトルもあるし W:2位のフィリーは内容的にもすぐれたシリーズ。  有名なテディ・ペンターグラスのヒゲダンス入りはよく売れたそうだ 他にはソニーからビル・ウィザーズやブッカー・T・ジョーンズ、 オクターブからフェラクティが出るがこれは2in1という変則タイプだった W:ファンカの紙ジャケ化は大喝采だけど、リマスターはプラケの流用。 Y:でも「マゴット・ブレイン」やっぱ紙ジャケで買っちゃうよね 今年ものっけからミーターズの紙ジャケが登場する。 ・・・・
【CLASSIC部門】 該当作なし グラモフォンの101周年紙ジャケBOXなど完全に箱ものに移行した。 1枚単価が数百円なのだからいい時代というかなんというか・・・。 ...
【J-ROCK/J-POP部門】 部門賞:「センス・オブ・ワンダー」(難波弘之) 振り返ってみると、これだ、というものが意外と少ない1年。 少しずつヒカシューの復刻が整っていった1年でもあった。 YAZAWAは主要なものは以前に出ており、横浜銀蝿・荻野目洋子・ アースシェイカーなどもリリースされたのだが・・・ そのかわり、2011年は初頭から浅川マキ、ムーンダイダーズ「火の玉ボーイ」、 タコなど注目作が目白押した。
【海外・その他の部門】 ロック・ステディのカールトン&ザ・シューズはTOWER RECORDSから。 Hip-Oのロイ・エアーズ・ユビキティも秀逸な復刻だった。 ...
【ハイレゾ賞】 去年は”24 bitで行きま賞”だったこの部門。 受賞したポールの「バンド・オン・ザ・ラン」はたいへん話題になったし、 ジョージの「オール・シングス・マスト・パス」もアナログとハイレゾ配信のみ での復刻。 HDトラックスでは キンクス、フランプトンの「カムズ・アライブ」などなど徐々に充実してきている。 年末にはキース・ジャレットの「ケルン・コンサート」、その他ECMの作品が続々 ハイレゾでリリースされてるし、今年初頭にはグラモフォンがお宝のクライバーを 配信開始した。 探検隊も夏のワールドカップ時期に試合を見ながらハイレゾ特集を作成。 もはや最近は紙ジャケ&ハイレゾ探検隊と化している。 ユニバーサルからはSACD-SHM仕様での復刻シリーズが話題になった。 S:「フーズ・ネクスト」とか買ったんだけど、プレイヤーがないから聴けない。 W:PCオーディオに移行しちゃったもんね。うちはSACD対応プレーヤーだから聴ける  けど・・・。 Y:紙ジャケ&ハイレゾという意味ではやはりクリムゾンだろう?あれこそ先見の明、  今後のパッケージリリースはクリムゾンを見習うべきだ! S:そうですねぇ、DVDやBDはパソコンで読めるし、パソコンは家にあるはずだから、  SACDよりも汎用性が高いともいえる・・・ W:SACD対応プレーヤー次第か・・オレは買ったけど、いまさら買う人がどれくらいいるか・・・。 今後はこのハイレゾ部門がロック、ジャズ、クラシックの各分野に拡張していく 可能性が高い。日本の音楽業界の腰は重いが、うかうかしていると、海外のサイト にやられちゃうかも・・。
【特典大賞】 ユニバーサルのデラックスエディション紙ジャケは、それ自体デフジャケとかレーベル カードとか、特典満載なのだが、これはそれに例の時価80万とも100万ともいわれる 日本洋楽シングル最高額クラスのジャケがついている S:内容は例のアレなんで、聴いてないです(笑) Y:アレか、昔1回か2回は聴いたなぁ W:でもこのユニオン特典ジャケ、上部が切れて印刷されてるけど、元もそうなのかな S:現物見たことないんで、知らないんですけど、そうなんでしょうね、きっと・・・
【選考を終えて】 景気は低空飛行のまま。音楽業界は配信とコンサートが主体、パッケージは瀕死。 W:でも、シングルの売り上げが伸びてるんだろ? S:AKB48と嵐とK-POPだけだと思います Y:このサイトには関係ないか。どっちかっていうと、CDというより豪華パッケージ  の記念品商売に以降しつつあるね W:グッズだね。希望はハイレゾだけか Y:ハイレゾ特集は今年もやりたいと思ってるんで、お楽しみに! (了)