2011年紙ジャケ大賞 選考経過

【第14回紙ジャケ大賞 2011年グランプリ】
ワーナーミュージック・ジャパン
「アリス・クーパー:メジャー・デビュー40周年記念 紙ジャケット・コレクション」

大震災の年として記憶に残る2011年、大賞はワーナーが返り咲き。
昨年度はブラックミュージック系が多く、アイズレーが受賞となったが
今回は本来の紙ジャケの良さを最大限に引き出した
アリス・クーパーの紙パンティジャケに!



ワーナーさん、おめでとうございます!
今年もむりやりトロフィーを送りつけさせていただきますね。


【特別賞】 「フィレス・アルバム・コレクション」 ビートルズのモノボックス→ディランのモノボックスと続いたこの賞。 今年はスペクターのボックス(当然モノだし)。 W:3年目となった特別賞は、もはや箱物も避けて通れなくなって設置したもの。 Y:今年もMONOボックス。あえてMONOとは書いてないけどスペクターなんで当然そう。 S:国内盤が1万円。輸入盤が5000円、海外通販で3000円を切ってしまうという逆風の中、  日本のソニーも独自の解説やオマケなどでがんばりました。 W:しかしここまで価格差があると、いかに紙ジャケの質が高くてもねぇ。 S:いえいえ今はオマケでCDを売る時代。握手券や投票券を見てください。CDはオモチャ  付ラムネの、ラムネと同じようなもんなんです。 Y:確かに今年はユニオンの100円CD、BOOKOFFの150円CDを買ったなぁ。 S:デジタル音源は受難の時代ですが、米英ではアナログ盤の製造数が3割増加したと  いうデータもあります。 W:でも絶対数はまだまだ少ないんでしょ?確かに最近のアナログ盤はmp3のダウンロード  コードとかCDまでオマケでついてたりしていたれりつくせりだけど。 Y:でも2枚組は聴くのが億劫なんだよね S:無駄な曲はオマケのCDに入れて、アナログ盤は1枚もの40分くらいに厳選して欲しいですね。
【ROCK/POPS部門】 部門賞:「アリス・クーパー」 ロック部門賞(1位)はアリス・クーパー、様々なオマケやギミックジャケ が多く、かねてより紙ジャケの要望は高かっただけに当然の受賞か。 特に念願の紙パンティ復刻はエポックメイキング。できるなら白だけじゃな くてオリジナル通り色んな色やデザインで出してくれたら複数枚買いもあっ たかも。 Y:いやいや、さすがに3500円のCD、複数枚買わないだろ S:トレーディングカードみたいに箱買いしたらパンティ全色入り、とかね W:さすがに同じCD何枚もあってもなぁ。全タイトル購入特典がいいんじゃ? Y:真面目に考えるなよ W:しかしアリス・クーパーってまとめて聴くと面白いな S:再発見ありでしたね。音は国内リマスターでしたが、いつも通りちゃんと  リマスターしなおした、ジャケを紙ジャケにしただけじゃないって点は  評価したいと。 W:またライノリマスターとか出るといやだけどね そしてさらに驚愕だったのがザ・ドゥルッティ・コラムの紙ヤスリジャケ復刻。 S:これはあっぱれ、というか、よくやったと。本物はebayでもなかなか出て  こなくて、2000枚しかなかったって話。 Y:紙ジャケは700枚限定だから、本物よりレアだ。 W:当然手作りだと思うんだけど、それを考えると700枚よく作ったな、と。 Y:VIVIDのスタッフには頭が下がります。 S:音はリマスターでも新装版でもないんですが、さすがにこれはランクイン。 ジョニ・ミッチェルは前半の話題をさらった。新旧リマスターがいりまじり、 音の整合性は完璧というわけにはいかなかったものの、もともと録音のよい アルバムも多く、楽しめた。 4位は年末に登場したフーの紙ジャケ。何回目かわからなくなってしまった が、今回はオリジナル・ミックスに戻っての初CD化も多く、新たな切り口。 ほぼ同時に「四重人格」のデラックス版がリリースされた。 S:5.1MIXの曲数が中途半端で、しかもステレオのハイレゾがないんてあまり 食指は動きませんでしたね。紙ジャケシリーズの方はリサーチャーの執念を 感じるいいリイシューでした。 5位は来日公演も盛り上がったウィンター。一本筋の通ったアーティストは 違う、と再認識させてくれた。 6位はリマスターではないが、オリジナル盤の仕様で初復刻。今聴くとそんな に異様じゃなく聴けてしまう。 7位は再結成、来日も果たしたP.I.L。缶ジャケ自体は輸入盤でも何度か復刻さ れ、目新しさはないが、何度でもカンで出ることはいいことだ。
【JAZZ部門】 ... 部門賞:「ラムゼイ・ルイス MELLOW FUNK YEARS」 W:これはジャズ? S:ジ・イン・クラウド!ハングオン・ラムゼー!本質は変わってないです。56年の  チェス時代からはじまって今も現役! Y:ジャズの紙ジャケはさすがにもうよくわからんものが多いな。 メジャーどころはクラシック同様低価格路線にシフト。 したがってThink!、P-VINE、クリンクなどの良心的CD化が目立った。 ・・・・
【BLACK MUSIC (旧 SOUL/R&B)部門】 部門賞:「KALIMBA PRODUCTIONS Collection」 Y:KALIMBAはレーベル単位のいいリイシューだと思った。 S:話題になったのはミーターズ。オリジナル盤はプレミアがついてるのも多か  いし。 W:でもリマスターでもないし、なんとなくジャケを紙ジャケにしました、って  感じもしたので次点でいいのでは。個人的には3位のダブストアみたいなも  のが紙ジャケで復刻されたのがうれしいな。 ・・・・
【CLASSIC部門】 該当作なし 完全に箱ものに移行。もはや音源の投げ売り状態で、まとめて買えば 配信よりお得な状況。しかし、昔の百科全集じゃあるまいし、とても 聴いてるヒマはないというまさにアーカイブの箱売りと化している。 ...
【J-ROCK/J-POP部門】 部門賞:「浅川マキ」 W:もうこれはね、浅川マキで。合掌。 Y:大賞でも良かったんじゃない? S:トゥー・マッチもその筋では話題になりました。なにしろオリジナルは  有名なレア高額盤。アナログでも再発されました。 W:ムーンライダーズが解散、というのも今年のトピック。ということで3位は  「火の玉ボーイ」で。  個人的にはタコの紙ジャケも入れたかったんだけどね。
【海外・その他の部門】 海外では簡易紙ジャケ5枚組BOXなど廉価版が主流。もうリイシューとかという より、CD末期の状態。 国内では金田一もののサントラがシリーズで出た。 Y:このトッポジージョ、ってなんで入っているの? W:子供にきかせるために思わず買っちゃったもんで Y:子供用、って別に紙ジャケじゃなくても...。 ...
【ハイレゾ賞】 去年はポールの「バンド・オン・ザ・ラン」。 今年はリマスターデラックス版に同梱されるものが増えたり、 ストーンズの「サムガールズ」や U2の「アクトン・ベイビー」のようにデラックス版発売とともに HDトラックスで ハイレゾ版が配信されたりと徐々に浸透は進んできている。 待望のピンク・フロイドのハイレゾは最も高額なセットにBlu-ray盤として収録。 結局「狂気」と「炎」の2タイトルのみとなったが、03年にSACDが出ていた 「狂気」と比べ、「炎」は従来CDからの音質の飛躍が十二分に感じられた。 全タイトル24/96で配信しろ!なに出し惜しみしてるんだ!と思いつつ リリースされたことは素直に喜びたい。 もうひとつのトピックはクイーンのハイレゾ。 e-onkyoでベスト盤2種が配信されたが、これがDRMつき。 年末に出たUSB-BOXはFlacの予定が直前でWAVフォーマットに代わり、 それはかまわないのだが、Macユーザが読めなくなっていたりと、 なにかと災難続きであった。 それに加えて主要タイトルは年末にSACDで出したりと、 新リマスターをあまりにも露骨に使い回すと、さすがに熱狂的なクイーンフアンも引くだろう。 ケイト・ブッシュやポール・マッカートニーなど、新作もリリースと同時に ハイレゾ配信されるケースが出てきた。 DACも定価格で高性能のものが続々と出てきている。 まぁ、だまされたと思って一度自分の家で体験されることをオススメする。 この手のものは店頭やフェアや他人の家で聴いても実感できないことが多い。
【特典大賞】 S:ジャコのBOXです! Y:分売はかなわなかったけど、ついにワーナー時代が初紙ジャケ化!  しかもジャズベのフィギュアつき!  このフィギュアが執念というか、いや、もう出来はともかくですね  原価との戦いだったんだろうな、って仕上がりで、執念を感じますね。 W:フィギュアの出来に文句いわずに買え、ってことね。 Y:まあ、そうです
【選考を終えて】 あいかわらずパッケージは瀕死。CDの未来は? W:紙ジャケも、もうなくなる、もう終わりといわれてから6〜7年たつね S:しぶといですよね。あと何が残ってるかなー。 Y:探検隊は去年Twitterもはじめたし、なんだか最近は紙ジャケ&ハイレゾ  探検隊だし、少しずつ変わってきているね W:Twitter見てると、「アビーロード」とかフロイドの新リマスターが紙ジャケって  書いてあるのをよく目にする Y:あれはEMIのデジスリーブ!紙ジャケじゃありません。 S:まぁそういう頑固おやじみたいなこといってるのも我々くらいでしょう。 W:どこまでいけるかわからないけど、われわれもこの不況期をなんとかやりすごしましょう。 (了)