2012年紙ジャケ大賞 選考経過

【第15回紙ジャケ大賞 2012年グランプリ】
ソニー ミュージック ジャパン インターナショナル
「サム・クック 紙ジャケット・コレクション RCA YEARS」

CDの販売減退も底をうった?
アナログの製造数が前年同期比69%増!?
ハイレゾ音源が続々登場。
ヘッドフォンブックがバカ売れ?
と、音楽商品をとりまく状況が激変を続けている昨今ですが
それでも何故か紙ジャケは絶滅せずにリリースが続いております。

もはや3月となり、今年はもう紙ジャケ大賞廃止か?と思われ
ましたが、なんとか発表にこぎつけました。

お待たせしたみなさん、すいませんでした。

2012年はウルフルズのトータス松本によるアルバム丸ごとカバーも
話題になった、『ツイストで踊りあかそう』が大賞に決定!

どんなに時を経ても聴く人に元気を与えてくれる名盤です!


【特別賞】 「ザ・ビートルズ LP BOX」 ビートルズのモノボックス→ディランのモノボックス→スペクターボックスと続いたこの賞。 今年はビートルズのLPボックス。 W:これ、アナログ盤じゃないの? Y:紙ジャケでは当然あるけどさー。 S:アナログの製造数が米英日とも増加、ってことでその象徴としてはやっぱこれかと。 W:デジタル音源としてはハイレゾ配信、パッケージ商品としてはアナログ盤が両極端 として残って、その間にiTunesや廉価CDシリーズがある。 Y:過去の名盤が1000円CDで出ている現状だと、紙ジャケってCDなのに未だに高いし、 中途半端さがさらに際立ってる感じか。 S:でも数は減ってもなくならない、ってことはやはりニッチな魅力は残ってるんだと。 W:それにしてもこのLPBOX、けっこう売れ残ってる感じはするけど。 Y:買ってちゃんと聴いたのか? S:まぁCDBOXと同程度には...。なんといってもBOXの魅力は豪華なハードカバー本です。 W:去年はフロイドの諸作はじめアルバム単位の豪華BOXがまたまたたくさん出たけど、 この流れは今年も続きそう。 ついにツェッペリンがやってくる予定だし。
【ROCK/POPS部門】 部門賞:「カエターノ・ヴェローゾ」 ロック/ポップス部門賞(1位)はカエターノ・ヴェローゾ。 永遠の青春作『ドミンゴ』も再紙ジャケ化でついにブラジルオリジナル ジャケ(つっても紙が二つ折りになってるだけ)が再現された。 『ドミンゴ』のオリジナル盤は 1.二つ折りの紙にレコをはさんでビニールに入れたもの 2.コーティングジャケ 3.コーティングなし と進んでいったという。最初に出たDSD紙ジャケは2のパターン。 Y:パンツくんの『アラサー・アズール』も紙ジャケ化されちゃったんで、 これと対になってるパンティちゃんも紙ジャケ化して欲しかったなぁ。 S:ガル・コスタの『インディア』?そっちの方がジャケはヤバい。 W:これ、脱いでるの本人? パンツくんとパンティちゃん。写真下がインディア。 S:ロック/ポップス部門なのかどうか?って点はあるけど、カエターノ が紙ジャケシリーズで一挙に出た、ってことで1位に。 Y:2位はライブ・イン・ジャパンもの。4位のピーター、ポール&マリー も『イン・ジャパン』が新鮮だった。 W:シカゴはいい復刻。スタッフの熱意が伝わってくる出来。 S:PPMは日本語のMCがいい味出してる。その後すぐ2枚組でライブ・イン ・ジャパンが出ちゃったけど。 W:3位のラスカルズは4枚目まではステレオ/モノの両ヴァージョン収録。 6位のバーズもそうだけど、アーカイブ的なデータとしてうれしい。 Y:『グルーヴィン』は何回目かの紙ジャケ化だけど、見たことないイン ナーが再現されてた。お得な感じ。 S:それに反して銀ジャケの『自由組曲』はオマケ再現なしだった。 W:5位のカーズはジャケの価値というか、もはや現代アートだから。 Y:ヴェルベッツのウォーホールやトーキング・ヘッズのラウシェンバーグと 同じだね。ジャケだけでも持っていたい。 S:ステッカーも別に封入されてる、ってとこが泣かせます。 6位のバーズはエアー・メイルからも『Preflyte』3枚組の完全版がリリース。 ジャケはオリジナルのTogether盤、再発Columbia盤、蘭Ariola盤の3枚がついていた。 7位のワーナー Light Mellowシリーズは2012年、非常に存在感のあったシリーズ。 リッキー・リー・ジョーンズ、マイケル・フランクス、クリストファー・クロスなど AOR/フュージョンの名盤がドシドシリリースされた。 本選考でも2部門でノミネート。 その他ロック/ポップス部門のトピック。 ・プログレではジェントル・ジャイアントの+DVD-Audioが音質の良さで際立った。 ・来日してユーミンと共演したプロコル・ハルムも再紙ジャケ化 ・ベル・アンティークからはポポル・ブー、ノヴァリス、ヘルドン。 ・P-ヴァインからノイ。 ・ヴィヴィッドからサフロン・サマーフィールド ・ハヤブサ・ランディングスからクリス&コージー、アンナ・ドミノ、アート・ゾイド ザイン・グリフ。 ・アルカンジェロからは追悼となってしまったモントローズが。 ・アリス・クーパーの第二弾も素晴らしい出来だったが、第一弾が2011年の大賞に なったので対象外に。 ・ソニーからはブラッド、スエット&ティアーズやチェイスのブラス・ロックものが。 ・アート・ガーファンクルのソロ紙ジャケは『Fate for Breakfast』のデフジャケも 付録でついていた。 ・ブライアン入りビーチボーイズ来日にあわせてブルース・ジョンストンなど関連紙 ジャケがリリース。 ・ユニバーサルからはあいかわらずデラックス・エディションが ザ・フー、スモール・フェイシズ、サンディ・デニー、レインボー、マイク・オール ドフィールドと続々とリリースされたが高すぎて、つい輸入盤を買ってしまいそうに。 ・マイブラ『Loveless』の紙ジャケはデラックス・エディションで2ヴァージョン 収録。マスターが違う2種類の音源とのことだったが、リリースされたCDは逆に収 録されてんじゃない?疑惑があり、結局つくってるヤツラも違いがよくわかってな いのでは?とのなんだかわからない展開に。 探検隊では、結局アナログ盤で聴くのが一番良かったというオチに。
【JAZZ部門】 ... 部門賞:「ワーナー Light Mellow 2012 AOR&FUSION紙ジャケ/SHM-CDシリーズ」 W:ということで、こちらの部門で部門賞に。 S:コーネル・デュプリー、マンハッタン・トランスファーもこのシリーズ。 Y:紙ジャケ向きか?というとそういうわけでもないんだけどね。 クラウン、EMIのリクエスト復刻など中古市場でプレミアがついている盤の 復刻が2位、3位。 Y:4位のリビー・タイタスはジャズ部門でいいの? S:このへんはもはやどっちがどっちでも。ジャズ・ヴォーカルとしてとらえ てもいいかな、と。 どっちかっていうとEMIから出た「見つめていたい歌姫たち」シリーズの方 がジャズ・ヴォーカルではあるんですが。 W:レア盤として名高い「赤のロージー」、 Rosemary Squires『Everything’s Coming Up Rosie』は買ったよ。 買ったけど、あれはアナログのレア盤で、好事家が愛でるのが良いような。 内容的には特に...。 JAZZでは去年からの1000円CDシリーズがさらに加速。 この部門も2013は風前の灯火か。 ・・・・
【BLACK MUSIC (旧 SOUL/R&B)部門】 部門賞:「サム・クック 紙ジャケット・コレクション RCA YEARS」 Y:この部門が去年に続き元気がよかった。まぁ他の部門は紙ジャケ化し つくされてるから。 W:サム・クックは若い人にも人気がある。 でもジャケがビクター犬じゃなくてRCAマークになってるのは残念だな。 S:21世紀になってもビクター犬の権利ってきびしいのね。英HMVが閉店という哀し い話題もありました。 ・アースの紙ジャケはさらに進化。 ・P-ヴァインは伝統的にこのジャンルでいいリイシューを続けている。 ・ユニバーサルはMotownを続々と。シュープリームス、ダイアナ・ロスも紙ジャケ化。 ドナ・サマーの紙ジャケも出ました。 ・シャウトからはあいかわらずレア・グルーブの名盤が Carl Sherlock Holmes Investigation『Investigation No.1』も。 W:このへんのレア・グルーブはCDになっちゃうとレアじゃないから単なるグルーブ。 内容的にあまり面白くないのもあったけど、これは良かったな。 S:裏ジャケの写真が裏焼きになってるのが初版のようですよ。 ・・・・
【CLASSIC部門】 該当作なし 完全に箱ものに移行。もはや音源の投げ売り状態で、まとめて買えば 配信よりお得な状況。しかし、昔の百科全集じゃあるまいし、とても 聴いてるヒマはないというまさにアーカイブの箱売りと化している。 S:もはやこの部門、廃止してもいいのでは? W:いつかきっと何か出てくるかもしれないから、待ちましょう。 ...
【J-ROCK/J-POP部門】 部門賞:「ベルウッド40周年特別企画 紙ジャケコレクション」 W:気合いの入った企画でした。文句なしの部門賞で。 Y:2位の明菜はSACDハイブリッドで話題に。 S:コアなフアンはバラではなくて、BOXで購入したと思うけど。この手の企画は  今後も続きそうです。アーティストは限られるけど。 W:3位の丸山圭子はキング時代も紙ジャケ化されたけど東宝レコードの幻盤を ノミネートしてみました。 ・人気復活の由紀さおりの紙ジャケもEMIから登場。 ・日本コロムビアとポニー・キャニオンから山内テツ関連も出ました。
【海外・その他の部門】 海外では簡易紙ジャケ5枚組BOXなど廉価版が主流。 もうリイシューとかというより、CD末期の状態。 ロバート・パーマーのフランス製紙ジャケが出ました。 Y:CDが売れてるのって日本だけ? W:紙ジャケのような付加価値つきでこんなに高い価格で出てる国は... ...
【特典大賞】 「太陽と戦慄―リミテッド・エディション・ ボックス・セット: 日本アセンブル盤」 S:これは笑いました! Y:もう究極というか、15枚組!もちろんリミックスの音も素晴らしかった。
【選考を終えて】 絶滅の危機に瀕しながらリリースは続く W:だけど去年今年と出ている紙ジャケは製造枚数も少ないだろうからプレミアつくかもね S:配信が進んで、やっぱりなんにしろパッケージがいいなぁ、ってなったらですかね Y:PCオーディオもひととおりやってDSDも限界ある状態だしなぁ S:ハイレゾは、オーディオとかに金かけなくてもいい音で聴けるのがいいですね W:今年は発表がどんどんずれこんで3月になっちゃったけど S:来年も発表できるといいですねー。 (了)