2013年紙ジャケ大賞 選考経過


【第16回紙ジャケ大賞 2013年グランプリ】
disk UNION
「リップ・リグ&パニック」

98年から始めたこの紙ジャケ大賞もすでに16回目。
CDの売上げとともに紙ジャケも衰退し、さすがにもう今年はやらないんじゃ?
と思われていたかも知れない。
でももはや意地というか、なんとかやってみました。

もう、すべてを追いきれているわけでもないし、抜けや不備などが多々あるか
もしれませんが、何卒ご容赦を。

去年は探検隊も更新は完全にTwitterに移行。
なんだか世間の流れに沿ってハイレゾ&アナログに邁進してました。

SONYがハイレゾ・ウォークマンなどのハイレゾ機器を充実させ
moraでもハイレゾ配信を開始。
一報フィジカルの方はアナログの製造数が各国で増加(とはいえ絶対数は
少ないんですけどね)。

紙ジャケCDではユニバーサルがプラチナSHMCDを発表し、SACD-SHM/SHM-CD
との3ラインを作ってユーザ層別に対応。
SMEは7インチの紙ジャケを(BB&Aだけだけど)次世代紙ジャケと銘打って
発売など新しい動きがでてきました。

しかし、1000円CDシリーズや、1枚500円くらいの箱物には到底かなわない。
年末には著作権50年対策で?ディランの箱物や未発表モノ、ビートルズの
iTunesでアウトテイク集などかつてからは考えられないリリースが続きま
した。

その中で、ポップグループ関連の紙ジャケはとても印象に残るもの。
従来のプラケからポスターつきで紙ジャケ化された1stもよかったけど(待
望の2ndはまだか?)
オリジナルマスターからのリマスターで、日本のみ紙ジャケという意地を
見せた「リップ・リグ&パニック」がめでたく受賞。
もしかしてDisk Unionの大賞受賞は16年目にして初?


【ROCK/POPS部門】 部門賞:「リップ・リグ&パニック」 W:ユニオンは特典大賞は多かったんだけど、大賞が初受賞とは意外。 S:今までわりと大賞受賞がより一般的なものにかたよっていってたから。 Y:メジャーよりになっちゃってたんですね。しかし今やもうそんな時代  ではないと(笑) W:このCD、音もとても良いリマスターなんだけど、元のアナログも45回  転2枚組で良かったんだよね。それと比べちゃうと...。 S:比べちゃ、ダメ!そんなこといったら今までだって。 Y:お前が今まで散々比べまくってたクセに、何をいっているんだか...。 なお、ユニオン全買い特典は伝統(笑)のまとめ買い箱。Tシャツも売ら れてました。 2位のJ.J.ケイルもオリジナルマスターからなのか、良質なサウンド。 ファーストのレアなステッカーが再現されていたのもポイント高かった。 「キャプテン・ビヨンド」はオリジナルの米盤3Dジャケを再現。 S:アナログのオリジナル盤も最近ユニオン価格が高いっす。 Y:昔は、とはいえキャプリコーンの米盤なんでそんなに高くなかったのにね。 上が米盤。下がプロモ盤。 裏ジャケ下。 上がプロモ盤で茶色い文字色。最下段の住所はMacon,Georgia。 下が通常米盤で、Warner表記で黒文字。 (nabe-oさん調べ) 米Capricornのオリジナル盤は、裏文字のクレジットの色がBrownという説が あるが、紙ジャケは黒字だった。 米国系では他にもZZトップや初期デッドなどが話題に。 S:「ライブ・デッド」の米オリジナル盤(グリーンラベル)ってプレスミス  があって、2枚くらい買ってもダメだったんだよね。  こりゃついてないなーって思ってたらピーター・バラカンさんのレココレの  連載に似たようなことが書いてあって。  あ、そうなんだ、やっぱそうだったんだ、と。俺のつかんだのが悪かったわ  けじゃないのねとわかって。  で、ようやくプロモ盤買ったらまともだったんだけど。これでわざわざアナ  ログのプロモ盤買う必要もなくなったというか。 Y:無駄な苦労したわけね。CDで聴いてりゃよかったのに。 S:大好きなアルバムだったんだよね。特に『ダーク・スター』が好きだった。 今年は他にも下記のようなものが発売されました。 ・"Frantic Four"再結成記念でステイタス・クオー。来日ライブの『Tokyo Quo』も! ・2012年6月に亡くなったボブ・ウェルチ追悼盤としてパリス/ボブ・ウェルチ ・フリートウッド・マック中期。 ・マーキー/ベル・アンティークから3面開きのスプリングやケストレルのデラックス盤 ・ベル・アンティークからGuru GuruやNektar ・エアー・メイルからDave Cousinsやストローブス関連 ・Andrew Oldham関連 ・元々高音質で有名なリッキー・リー・ジョーンズ ・ジャケに凝ったものが多いスリー・ドッグ・ナイト ・バーズもDSDリマスターやアリスタ時代も出てさらに充実。
【JAZZ部門】 ... 部門賞:「ピアノ・パズル (ジョルジュ・アルバニタ、ミシェル・グレイエ、ルネ・ユルトルジェ、モーリス・ヴァンデ)」 W:ジャズも奥の細道が極まってますが、今年はこのこの5面ジャケ再現が凄かった。 S:枚数がそんなに出るはずはないのに、担当の方は相当頑張ったのではないかと。 Y:ま、値段も4,830円とそれなりにするけど、まあそれでも大変だっただろうなー。 Y:ところでTBMってもう何度目かの紙ジャケだと思うんだけど W:前回はSONYでしたが、今回はThink!から。セレクションや作り込みはパワーアップしてます。 ・その他ハヤブサ・ランディングスからマテリアルの3作がリリースされた ・輸入EU盤でHerbie Hancock「Columbia Years」(32枚組!)なども出たがこうした箱物紙製ジャケットがクラシックやジャズではすでに定着してきた感がある。1枚3千円近い単体紙ジャケはもう市場的に厳しいのだろうか。 ・・・・
【BLACK MUSIC (旧 SOUL/R&B)部門】 部門賞:「シャフト・イン・アフリカ」 S:前回はこの部門からサム・クックが大賞になりました。 Y:「シャフト!」は確かに中古市場でもプレミアがついてるけど、これもThink!だなあ。 S:そういう意味ではユニオン系が目立った年。大賞がユニオンにいったのもその流れ? ・・・・
【CLASSIC部門】 該当作なし 完全に箱ものに移行。もはや音源の投げ売り状態で、まとめて買えば 配信よりお得な状況。しかし、昔の百科全集じゃあるまいし、とても 聴いてるヒマはないというまさにアーカイブの箱売りと化している。 S:↑の文章。前回と同じになっちゃった W:DGの111って一時プレミアついたけど、もう全部聴いた人いるのかなー。 ...
【J-ROCK/J-POP部門】 部門賞:「2013-2014 MIDI INC. 30th Anniversary Remaster Collection」 (大貫妙子、鈴木さえ子、EPO、ローザ・ルクセンブルグ、かしぶち哲郎、坂本龍一ほか) W:リマスターの音が凄くよかったし、丁寧に感じた。 S:「戦メリ」はこのリマスターのDSD配信もあったんだけど、7千円!でした。  昨年2位だった中森明菜もmoraでハイレゾ配信開始されたし。 Y:フィジカルの方が安い、ってのも過渡期な感じがするなぁ。  まあ来年も高品質配信はいくつか出てくると思うけど。 その他 ・フォーライフから小室等も紙ジャケで。 ・キングからは寺内タケシとブルージーンズが出ました。
【ワールド・その他の部門】 部門賞:「THINK! perolas brasileiras」ブラジル・ユニバーサル音源シリーズ 受賞はブラジル・ユニバーサル音源シリーズの第一弾としてリリースされた エレンコレーベル後期「エレンコ」6タイトル。 このシリーズは現在も続いていて、質の高いリイシューを続けている。 Y:ブラジルW杯に向けてブラジルものもまた盛り上がってほしいな。 W:正規許諾かどうかはよくわからないけど、ジョアン・ジルベルトの伝説の 初期三作も紙ジャケで出ますしねー。 ...
【新カテゴリー賞】 このカテゴリーは従来紙ジャケと少し違うフォーマットでリリースされたものを扱ってます。 ・EPIC/SMJI「ライブ・イン・ジャパン─40周年記念盤─」(ベック・ボガート&アピス) 写真左のちょっと大きめの紙ジャケは7インチのアナログシングル サイズで、広告では堂々「次世代紙ジャケ」とうたわれていたもの。 これ以降が続いてませんが...。 内容はDSDリマスターを施し、曲順をライブの曲順に並べなおしたもの。 当時のパンフなどの特典も充実していて、箱物と通常CDサイズの中間 といった趣き。 ・Definitive Edition CD/Blu-ray/new stereo/instrumental/5.1 Surround 「CLOSE TO THE EDGE」(Yes) 写真上はイエスの名盤「危機」。今年はSACD盤も出ましたし、 日本リマスターのSACD-BOXなんてのも出ましたが、 このスティーブン・ウィルソン・リミックス版が白眉でした。 (プログレ界隈で最大の働き者ですね) DVD版がデジパック仕様で、このBD版が紙ジャケ仕様。とはいえジャケの再 現性はテクスチャーでもないし、日本製ほどではないですが。 ・ユニバーサル ミュージック SHMシリーズ 写真下はピストルズの「勝手にしやがれ」SHM-SACD。 ユニバーサルは今年から3ラインでSHMを展開しはじめました。 ・SHM-SACD   4,500円 箱の中に紙ジャケ入り ・プラチナSHM 3,800円 箱の中に紙ジャケ入り ・SHM-CD   2,800円 紙ジャケ (すべて税込5%) というもので、紙ジャケの再現性は素晴らしいですが、値段も 立派なものとなっています。 箱いらないから値段下げてくれ、という言い分は通らない模様(笑) 一昔前のSHM2,800円という値付けは高額すぎて批判もありまし たが今となっては安く感じてきてしまうという(でもないか)。 ラインナップの中ではなんと、ついに初紙ジャケ化である ストーンズの「ラブ・ユー・ライブ プラチナSHM/紙ジャケ&紙ケース仕様」 (ザ・ローリング・ストーンズ)が注目作。 なんてったって「スティッキー・フィンガーズ」と並ぶ アンディ・ウォーホールデザインのジャケですから、財布が空に なっても買わなきゃ、と。 「ラブ・ユー・ライブ」はSACD版(写真左)が 2011年に変な紙パックで出てしまってたので、 今回はSHM-SACD版はなし。 したがってラインナップとしては下記のようにいびつになっちゃいました。 ・SACD-SHM(2011)4,500円1枚  変な紙パック ・プラチナ-SHM 4,800円2枚組 箱入り紙ジャケ ・SHM-CD    3,800円2枚組 紙ジャケ (すべて税込5%) 1枚でも2枚組でもトータル収録分数はいっしょ。 3商品出てても何を買うと得なのかどうなのかよくわかりません。 昨今のリイシュー市場の混迷ぶりがよくわかるといいますか。 最初から紙ジャケ(普通CD1枚)で2,200円くらいでバシッと出ていれば 大賞ものだったと思います。 ...
【特典大賞】 部門賞:エアー・メイル・レコーディングス ディスカヴァー・アメリカ・コレクション vol.28 「ファビュラス・ウェイラーズ」 (ウェイラーズ) (disk UNION&通販 特典 8cm CD 「トール・クール・ワン」 ) W:ディスカヴァー・アメリカシリーズも28まできました。エアメイルさんも頑張ってます。 Y:ユニオンと通販の特典がウィラーズにマッチしたこのジュークボックスジャケ。  とはいえ去年は特典もさすがにネタが尽きた感じがした。 ...
【BOX大賞】 部門賞:「レッド 40thアニバーサリー・ボックス:The Road To Red」 (キング・クリムゾン) ディスク総数計24枚: CD 21枚 、DVD 2枚、Blu-ray 1枚という驚愕の ヴォリュームで「レッド」というアルバムに迫ったBOX。 W:あれ、これ、去年は「太陽と戦慄」箱で特典大賞だったような?  WHDエンタテインメントの日本アセンブルパッケージはどうしたの? Y:間違えて輸入盤で買っちまった! W:えええ? Y:いやー、もちろん最初は特典つき買おうと思ってユニオンにいったんだよ。  そしたらなくて、店員さんに聞いたら「品切れです」っていわれちゃって、  「まずいっ!」と思ってその場でスマホで検索したらAmazonにあったんで  あせってポチッちゃった...。  で、届いたら案の定特典なしだったんだよ。  どおりで安いと思った。 S:ユニオンの店内でAMAZONをポチッた?!そ、そんな狼藉を...。 (それでも元々の特典がとても多い) ・その他箱物ではHawkwind『絶体絶命(Warrior On The Edge Of Time)』がリリースされた。  通常盤、デラックス・エディション、コレクターズ・ボックスの3種あり。 ...
【選考を終えて】 絶滅の危機に瀕しながらリリースは続く(と、書いたのは去年) W:今年はリリースが減ったと思ったけど、こうしてみるとまだまだ出てるんだね。 S:こうして細々と続いている間に回復したりするでしょうか。 W:何事も頑張って続けることが大切かもしれないね(なんか偉そーだな)。 Y:ハイレゾ配信がSONY効果で一般的な認知もあがってきたのでまた来年増えるかもね。 S:でもせっかく音源とDAC買っても、ヘッドフォンとかスピーカーとかアンプとかが  ハイレゾ対応じゃないから、聞けない、って声がTwitterにもよくありますよ。 W:(笑)それはSONYの戦略にやられてるねー。なんだって聞けるのにね。  50年前のスピーカーだって別に問題ないし。 Y:まあ何にしろ、今年はなんとか1月に発表できた。 S:グラミー賞に間に合ってよかったですよ(比較になんないだろーが)。 (了)