2020年紙ジャケ大賞 選考経過




W:ついに復活しました!選考結果ですー
S:パチパチパチパチっと
W:いったい、いつ以来なんだっけ?
S:なんと2014年選考以来。6年ぶりですね
W:2015年大賞から2017年まで、3年間はディスクユニオンのdues新宿でやったんだよね
その後、18年度、19年度はお声がかからず・・・
S:イベントなかったんだから、書くことは出来たと思うんですが・・・まことにすいません
W:そのduesも、去年の8月末に営業終了してしまって。残念ですね
S:そうですね、ほんとに残念です。代わりというか、同じ新宿のDUカフェでDJイベントなどはできるとのことですが・・・

W:ともあれ久しぶりの選考経過報告。2020年はとにかくコロナで大変な1年だったわけだけど。
ソフトの売れ行きは巣ごもり需要で少しあがったって話も、、
S:どうなんでしょうね。紙ジャケ自体は底ををうった感はありますね。中古市場でも人気は続いているし


【第23回紙ジャケ大賞 2020年グランプリ】
★★★RCサクセション★★★
W:まーこれでしょうかね
S:これですかね、ヤッパリ。2つの意味で今年を象徴してますよね
70〜80年代の日本のポップス/ロック人気と、MQAフォーマットのリリースが増えてきた点
W:シティ・ポップは韓国やアジア発の逆輸入的な面もあったけど、
S:それを含めて全体的に日本のロックは中古市場でも人気でした
W:今回、大賞を競ったのもスターリンの「TRASH」だったし、どっちがとってもJ部門からの大賞だった

W:MQAもついに、というか、ようやく実際に音質の良さが実感できるCDが出て来た感じ
S:前に雑誌の企画で聴き比べてみた時は、他の海外タイトルなんですが、
CDフォーマットでの聴き比べはそんなに変わらなかったんですよ。
旧リマスターがすでにDSDリマスターからの変換で、新旧とも一緒だったせいかもしれませんが。
今回のこのRCは、ほとんどのタイトルでCD形式の部分も新リマスターなので。
W:MQAデコードするとやっぱりいいの?
S:それは違いがすぐわかります。デジタルでもここまで来たら、もういいんじゃないか?ってくらい
RCは、私は「ステップ!」から入って「Please」まで、コンサートも何回か行ったし、好きでした。
今回のリマスターはあの頃の感情が呼び起こされますねー
W:売れ行きもよかったみたいで、私が通販で予約した分はまだ入荷待ちで届かないんだよー(年末時点です)




【ROCK/POPS部門】 部門賞:「ユニバーサルMQAxUHQCD ベスト盤シリーズ(エリック・クラプトン他)」 ROCK/POPS部門の1位もMQACD。かつてのベスト盤を紙ジャケで、という新機軸。 MQAという新しい高音質形式が売りなので、名曲がそろっているベスト盤の方が効果的だ。 ヒットしたあの曲を高音質で聴きたい、という需要にマッチしているわけで、うまい戦略。 そのためアルバムごとのリマスター音源としては既発であっても、編集盤としては初紙ジャケ化ということになる。 フロイド関連のソロ作、ギルモア&バレットも延期されていたがようやく発売となった。 昔よりフロイド関連は人気が高まって、ソロ・アルバムにまでおよんでいる感じがする。 ジス・ヒートは、帯に初紙ジャケ化とあるが、前にも出ている。 この最新リマスターでの、紙ジャケ化は初、ということだろうか。ちょっと紛らわしかった。 ヨラテンゴはメンバー監修でボーナスてんこ盛り、日本盤オリジナル帯が付随と充実のリイシュー。 W:ワイルドマン・フィッシャーはザッパ関連なんだけど、よく出したなぁという感じ。 2枚組なんだけど、意外に楽しめたよ。聴いてみる?(しばらく聴く・・・) S:確かに面白いけど。1枚でやめておこう・・・ その他プリンスのレアな編集盤を含む紙ジャケシリーズ、イーノのコラボ作など注目作も多かった。 マーゴ・ガーヤンのモノ音源の紙ジャケ化、という変化球も。 ストーンズはファーストとセカンドが、英盤仕様で、かつ単品での、初紙ジャケ化。 相当マニアックに追いかけていないとわからないだろうという、ラインナップの隙間を埋めるリリースだった。 (もちろん有難いリリースです。はい) CANは最新リマスターでの紙ジャケ化。商品としてはTシャツ付きもラインナップ。 音はともかく、ジャケの再現度は05年リマスターを使った07年版の方が高かったので旧紙ジャケも手放せないという状態に。
【JAZZ部門】 部門賞:和田アキラ W:和田アキラはプリズムを想定して聴くとビックリする。凄くプログレだから。この紙ジャケ化を機会にぜひ。 S:確かに。再評価の願いもこめて部門賞ということで。 何度も紙ジャケになっているミリー・ヴァーノン、今回はボーナス・ディスク付きの2枚組。 ジョン・ピザレリは20年に逝去した父、バッキー・ピザレリのトリオをバックにした名盤。 おなじみのLP TIMEシリーズもさすがにタマがつきたのか、変化球が多くなって来たが、 そんな中でも楽しませてくれたチェット・ベイカーをノミネートした。
【BLACK MUSIC (旧 SOUL/R&B)部門】 部門賞:ローリン・ヒル S:ローリン・ヒルは名盤ですが、これはリマスターは以前と同じで、単に紙ジャケにしただけじゃ? W:前も紙ジャケは出ていたから、Bluspec CD2仕様になっただけかな? S:名作は何度でもリリースされるということですね W:というかローリンさん、いまだにスタジオ・アルバムはこれだけなんでね。SONYとしてもある意味しょうがない S:トトロが1作でキャラクター・ビジネスまわしてるようなもんすか? W:よくわからないが、そんな感じだろ
【CLASSIC部門】 該当作なし S:全然紙ジャケじゃないけど、カラヤンのPureAudioディスク?とか買いましたよ W:Atmosも普及してきた感じ?Amazonアンリミテッドでハイレゾ配信を聴いてる方もいるし、 クラシックはよりデジタル高音質環境にすすんでいきそう
【J-ROCK/J-POP部門】 部門賞:RCサクセション W:今回最も熱かった部門 S:1位と2位が大賞候補でした。スターリン「TRASH」は初の公式復刻。アナログ盤は瞬殺だったし、もうプレミアついてる W:アナログ盤を買い逃した恨みで2位に? S:いや、まさか(笑) MQAとの合わせ技でRCですが、どちらが大賞でもよかったと思います W:P-MODELも素晴らしかったし、紙ジャケは国内盤だから、当たり前だけど国内にマスターがあると強いね S:来年もこの部門は注目作が多そうです
【ワールド・その他の部門】 部門賞:チェピート・アリアス W:サンタナの名パーカッショニストのソロ。初めて聴いたけどすごかった S:紙ジャケ化してくれたおかげで、出会えたと。 W:まあ、単に、紙ジャケというフォーマットで追いかけてる我々に限ってのことかもしれないが、、 W:ところでボブ・マーリィってこの部門?ロックかな? S:生誕75周年記念SHM-CDですが、初紙ジャケ化は「レジェンド」だけでしょ?ベスト盤の・・ W:「レジェンド」って、世界的なベスト・セリングアルバムで、2,800万枚売ってるわけで、 もはや単なるベスト盤じゃ片付けられないような
【企画部門】 企画賞:バーナード・パーディー おなじみOLDAYS紙ジャケも趣向を凝らしたリリースが増えてきた。 パーディーの名演集も楽しめたが、のけぞったのはピンク・フロイドの米タワー盤復刻。 W:当然曲順も米タワー準拠。よく発売できたな S:何か色々なものをかいくぐってきた感がありますね。しかも何故かモノクロジャケ W:もともとモノクロジャケなの? S:そんなことはありません・・・しかし、「エミリーはプレイガール」始まりはいいですな
【幻だったで賞】 「メトロボリスト」デビッド・ボウイ / 「OUT」アンソニー・ムーア 当時出なかった形での紙ジャケ復刻。今年は話題作が2点。 ボウイの「メトロボリスト」は「世界を売った男」を原案のタイトルでリリースしたもの。 ジャケに関しては米盤ベースで、ロゴが原案になっただけのもの。 面白みはなかったが、トニー・ヴィスコンティによるリミックスは秀逸だった。 アンソニー・ムーアの「OUT」も当時発売されなかった幻の1作。 日本にあったジャケの見本刷りを使って、初めて元の形式で復刻。 紙ジャケは予定通り12/1に発売になったが・・・ S:私はアナログを9月に予約したんですけどね、年末になってもまだユニオンのサイトでは 「確保中」になってて・・・一体どうしたんだと。これ、もう、絶対、今からやってきても再プレス盤だよ(泣) (年末時点です。海外ではCDに続きアナログ盤も12/20に発売済。なのにユニオンのサイトでは7777年12月1日発売予定)。 W:生命が死滅した後の発売だね S:地球まだあるかな・・・ ・・・その後1/29に「移動中」のステイタスに変わり、 1/31に無事商品を受け取れた。マトの末尾がないため、再プレスかどうかは不明。 初回プレスと信じて聴くことにした。
【アンコール賞】 ウィグワム ベル・アンティークの紙ジャケ発売は今年も活発だった。 固定客が多いのか、充実のリリースが続いている。 プロモ用などレアな付属物の資料が日本にあるというのも・・強み? 買い逃してしまった人気作のアンコールプレスがあるのはうれしい。
【選考を終えて】 S:あと7インチ紙ジャケでサンタナも出ましたね。 W:どうもいまだに馴染めない S:メディアのサイズと容器のサイズが合っていないと復刻としてはどうもしっくりこないんですよね W:一方、復刻の形態としてスターリン、ボウイ、アンソニー・フィリップスのような紙ジャケ+アナログ盤という リリースも目立って来て、21年はさらに増えそう S:全世界的にはアナログやカセットがフィジカル・メディアとしてCDを超えたマーケット・シェアになってます からね・・・ W:コロナ禍にともなって、オリパラ問題や米中問題など激動の1年となるでしょうが、 S:21年も紙ジャケともども探検隊をよろしくお願いします! (了)