2022年紙ジャケ大賞 選考経過
S:今年はグラミー賞からもけっこう遅れてしまいました。
W:申し訳ない〜。でもなんとかアップできた。
22年はようやくコロナが落ち着いてきたんだけど、ウクライナ情勢などもあって世の中は激動の1年で
S:紙ジャケとは関係ないけどワールドカップもありましたね。
W:米国も英国もフィジカルの売上でアナログ盤がCDを逆転。米国は何と87年以来。
S:でも基本はサブスクに移行しちゃってるから・・・、フィジカルで残るとしたらアナログ盤だってことかなー。
W:プレス工場もいくつか新設されてるし、まだまだしぶとく生き残りそうだよね
S:でも原材料が高騰したうえに円安で輸入アナログが軒並み5千円以上に・・・
W:国内アナログもそんな感じだし、これじゃ月に何枚も買えないよね。最近何かいいアナログ復刻あった?
S:BGガンダムは良かったですよ
W:なんだよ、BGガンダムってw
S:バーニー・グランドマンがカッティングしたガンダム・・。
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア オリジナル・サウンドトラック」
ソニー・ミュージックのページ
シャア専用なんで盤が赤いw。BG刻印ももちろん赤い。ジャケットも3面見開きで迫力あるし。
BGガンダム シャア専用の赤い盤
BG刻印が映える!
W:へー、色々考えるねぇ。でも、紙ジャケも負けちゃいないぜ!
【第25回紙ジャケ大賞 2022年グランプリ】
★★★カルチャー・クラブ★★★
W:なんと今回で25回目なんだよ。四半世紀よくくじけずにやってきたな
S:まだまだ毎年紙ジャケを出してくれるメーカーにも感謝ですね
今回の大賞は亡くなったヴァンゲリスと、プロモのブックレットまで復刻したスイスのサーカスが最後まで競り合った。
一気にシリーズでリリースされた桑名晴子も充実の復刻だったが、惜しいかなW紙ジャケ仕様。
そのためトランスジェンダー/ノンバイナリー・バンドの魁であったカルチャー・クラブが鼻の差で大賞に。
彼らのサードである『ハウス・オン・ファイア』は「戦争のうた」を収録し、現代の世界情勢と再びリンクしていた点も選出の理由だった。
ただし、パッケージ裏の”初紙ジャケット化”は間違い。
記憶に自信がもてなくて、え?そうだっけ?と
2008年今は亡きEMIミュージック・ジャパンから、80's紙ジャケット・シリーズの第2弾として、このサードまでは紙ジャケ化されている。
探検隊は店頭で裏ジャケの謳い文句”初紙ジャケ化”をみて、そうだっけ?と思いながら思わず買ってしまったじゃないか!
今回のシリーズ6タイトル中、『ラグジャリー・トゥ・ハートエイク』『ソールド』『告白への扉』は初紙ジャケット化だ。
【ROCK/POPS部門】
部門賞:「「ハイレゾCD名盤シリーズ:カルチャー・クラブ&ボーイ・ジョージ」」
S:てことで、ボーイ・ジョージさんおめでとうございます!
W:パチパチパチ。
S:ユニバーサルの紙ジャケは、5位のイエスもそうですが、MQA-CD x UHQCDで音質UPをはかってますね
UHQはCDの製造方法で、MQAはデコード。MQAの方は再生時にデコーダーなくても効果を感じますね
W:けっこう違うの?
S:以前同じリマスターを通常CDとMQAで聴き比べたんですが、ビシッと音がそろってる感じで良かったです。
まるでアナログ盤みたいで。
MQAのフィルターをかけると、時間軸の歪みが解消されるって話ですが・・。
W:そのイエスは最終系の紙ジャケで日本版ジャケの再現、帯もリバーシブルで復刻。気が利いてるよね
S:名作「こわれもの」の帯に物言いがついてまして・・・。
W:何それWW
S:今回の復刻では”豪華カラー・ブックレット付”表記だったんですが、初回は”米国製”だったんじゃないかと。
紙ジャケ版の帯
日本版LPの帯:提供U氏
日本版LPの帯の補充票
ブックレットの米盤品番
実際、米国品番入りのブックレットが付いている盤もあります
W:細かすぎる(笑)
S:でもこの辺は、日本製ブックレットが間に合わなかったのか、それとも当初は日本で作る気はなかったのか、
想像が膨らんで面白いじゃないですか。このアルバムでイエスはブレイクしたわけですし、歴史的にもおさえておきたいポイントです
W:ヴァンゲリスの追悼紙ジャケは『ダイレクト』なんて珍しいタイトルも、当然初紙ジャケ化でリリースされたし、
サーカスはプロモ・ブックレットの再現がうれしかった
S:4位にはいったエアー・メイルのスラッシャーも、シブいですね。ベースにはビリー・シーンもいるし。
その他ポコラ本で最高ランクの6、アセテート盤が2枚のみプレスされただけのグリットとか、Studやコロシアム。
アンソニー・ムーアは「フライング・ダズント・ヘルプ」の他に実験作「Reed Whistle & Sticks」が紙ジャケ化。アナログ盤でも発売された。
クラシック・ロックではストーンズのモノラル盤シリーズ。中でも「べガーズ・バンケット」がトイレカバーで日本初回帯でモノラル盤と
目眩がするほどキメラな復刻でリリースされた。
なお「サタニック・マジェスティーズ・リクエスト」は3Dカバーではなかった。
クリームのファーストのUSモノラル盤なんてのもオールデイズからリリースされた(ザッパのファーストのモノラル盤も)。
マンフレッドマンズやジェイド・ウォリアー
ハノイ・ロックスとマイケル・モンローの再発。
ボブ・ウェルチやジャパンもMQAで
GULLレーベルのセブンス・ウェイブやニール・アーダレイ
VIVIDからは
ダニー・カーワン、アンクルドッグ、ウエストウィンド 。
プログレでは他に来日記念のキャラバン、ケブネカイゼ、マイク・クアトロ
グローブシュニット、ブブ、アイランド『ピクチャーズ』と相変わらず活発なリリースが続いた
サンディ・デニーの『Sandy & Johnny +Alex Campbell & His Friends』
マンディ・モートン&スプリガンズの『マジック・レディ』
11位エアー・メイルのリック・ウェイクマンは審査中に聴いていて、なんじゃこりゃ?となった1枚。
ボートラも面白くて、こんな異色作に出会えるのも紙ジャケ復刻の楽しみだ。
W:今年もなんだかんだでロック部門はけっこう出たよね
S:って毎年いっている気がしますね
【JAZZ & SOUL & RARE GROOVE部門】
部門賞:P-ヴァイン
「メッセージ・フロム・ザ・トライブ・ファースト・ヴァージョン」、
「同・セカンド・ヴァージョン」、「同・サード・ヴァージョン」
(ウェンデル・ハリスン&フィル・ラネリン)
W:宮本典子の『プッシュ』は鈴木勲追悼だけど、2022年の最新リマスターが素晴らしい。
S:P-ヴァインがほぼ独占してますね
今年はJAZZ & SOUL & RARE GROOVEで部門まとめたせいもありますが・・・
W:ユニバーサルは何度目かの歌姫系だけど、リボンのコニーとかやっぱいまだに人気あるんだろうね
【J-ROCK/J-POP部門】
部門賞:ミューザック
「スマイル・オブ・ライフ」
(ロニー・バロン)
W:果たしてロニー・バロンはこの部門なのか?
S:細野晴臣プロデュース作で、久保田麻琴と夕焼け楽団のアルバムとしても楽しめます
W:実際、今あらためて聴いて、良かったって思うアルバムだと、ホントそう思うよ。解説は湯浅学。
S:桑名晴子はシリーズでガッツリでました。リマスターも素晴らしいんですが、惜しいことにW紙ジャケでしたね。
W:やっぱり紙ジャケにする時にそのままだとチープに感じるんだろうね。W紙ジャケで豪華感を出す場合は多い
なお吉田拓郎の自主規制がついに解除となった『今はまだ人生を語らず』『COMPLETE TAKURO TOUR 1979 完全復刻盤』は
7インチSACD紙ジャケとプラケCDだったので、非常に残念ながら対象外となった。悔しい。
【ワールド・その他の部門】
該当作なし
【CLASSIC部門】
該当作なし
【海外部門】
海外紙ジャケ賞
該当作なし
【アンビエント京都展賞】
BEATNIK(All Saints Records)
「77 Million」
(ブライアン・イーノ)
W:元々2006年にラフォーレ・ミュージアム原宿で開催されたインスタレーション展用のCDにボートラを加えて紙ジャケにしたもの
S:厳密には復刻の紙ジャケではないですね。でも、アンビエント京都展賞は非常に面白かった
【特典賞/7インチだったで賞】
該当作なし
今年も指をくわえて見ているだけ
W:去年は『原子心母』とか、さすがに買ったけど
【選考を終えて】
W:あらためて今年は発表が遅れてすいませんでした。
S:来年はこんなことがないようになんとか・・・
W:そういえば今年はついに本になるんでしょ?
S:紙ジャケではないんですけどね・・・探検隊ともどもよろしくお願いします!
(了)