者士郎正宗について。マンガよりもイラストの仕事が最近は多いらしい。濃いアニメ絵とメカを得意としている。攻殻機動隊以外では『アップルシード
』『ドミニオン』『オリオン』が出ていてすべて読んだ。しかし、攻殻機動隊は初のメジャー誌登場ということもあるのだろうか、他の作品とは出色の出来
である。格が違うと言ってもよい。押井守によって映画化されたあとはプレイステーションでゲームになり、音楽もプレステ版は石野卓球、映画版は川井憲次と興味深い人選で話題に。アメリカでは特に人気で1997年のシアトルではGhost
in the Shell(攻殻機動隊の英題)と描かれたTシャツを着たオタク ボーイたちを多数見かけたのを覚えている。
さて、ストーリー。時は2029年、脳だけ生身の人間でボディはすべてサ
イボーグという主人公、公安9課草薙素子少佐がテロリスト相手に大暴れしちゃうぞ、というもの。過剰に構築されすぎたコンピュータネットワークのカオス
から生命に似た現象が発生し云々……というのが一応テーマではあるが、そんなことにはお構いなく読み進める方が面 白い。近未来の武器やメカ、乗り物
(フチコマという思考戦車がとてもかわいい)、そしてアクション。どれも映画のようにスピード感あふれていて、一気に読める。読後、欄外の解説だけを
読んでもいいし、緻密に書き込まれた絵を眺めながらページをめくるのも楽しい。初めて読んでから10年たったが、今でも読み始めると止まらない。この4月には続編『攻殻機動隊2』が出る。実に10年ぶりである。是非読んでほしい。ただ、先に引用したような世界観とアニメ絵を不快に思わないならば、だが。
(高梨・A・晶)
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