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text/キムチ 執筆者紹介

私たちの現実世界こそが
シミュレーションされた世界であり、
CGによって作られた世界である。

 

 

 

 

 

現実はシミュレーションされた世界

 私たちはCGの世界、それが<リアルに>再生するシミュレーションの世界が、いわゆる「現実」にどんどん近づいていく過程を見ている。PS2がまずもって注目されているのはその「再現性」についてである。そして「シミュレーション」の世界に入り込んだ私たちは、「シェンムー」の世界に至って、ついにその世界を現実に「生きて」いるかのような感覚を獲得するに至る。ここに至って、次にこうした過程が反転し、「マトリックス」の世界へと到達するのにはあと一歩である。

 「マトリックス」が私たちに告げていることは、この私たちの現実世界こそがシミュレーションされた世界であり、CGによって作られた世界だということだ。

 おそらく21世紀の初頭に、コンピュータシステムとしてのAIは革命的な発達を遂げ、地球上をひとつに繋がれたそれはついに意志を持つに至った。人類はこの革命的な進歩に凱歌を挙げたが、その喜びの声が悲鳴へと変わるのは一瞬のことだった。

 意志を持つに至ったコンピュータシステムは、人間の存在を有害と判断するに至る。危機を感じた人類はコンピュータシステムをシャットダウンするために、当時唯一のエネルギー源であった太陽発電を止めてしまうことを考え、核攻撃によって大気を厚い雲で覆ってしまう。その結果 は皮肉なものとなった。コンピュータシステムは、自らの動力源をもっとも効率的なシステムである生体発電に求める。すなわち人間の肉体そのものを発電源とする巨大な人間発電工場を作り、ひとりひとりの人間はその発電工場の発電ユニットとして組み込まれる。

 ひとりひとりの人間は、いくつものプラグで工場に繋がれ、直接脳に繋がれた電極はAIシステムと繋がれてそこに「マトリックス」が形成されている。「マトリックス」はAIシステムが作り出すバーチャルな電脳世界であるが、いまや人間は脳に繋がれた電極によって「マトリックス」にプラグインすることによって、「マトリックス」を「現実」の世界として「生きて」いるのである。時代は推定二千数百年のことであるが、「マトリックス」の世界は20世紀末に設定されているのである。

              

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