VAN HALEN Paper Sleeve Collection
特集 紙ジャケ比較検証 ヴァン・ヘイレン2008/05/24



「お嬢さん火傷するぜ!」(オッサンしかみてねーよ・・)のデビュー30周年VH特集!

...
2008/04/23

デビュー30周年記念となるザ・ビッグV、ヴァン・ヘイレンの紙ジャケが発売
されました!
4/20から新着記事でご報告していたのですが、あまりにも長くなってしまった
ため、特集でまとめてみました。

紙ジャケの特徴は
・リマスターは全作通じて01年版(HDCD対応)
・日本盤帯復刻
・レーベル、インナー復刻
・サードのポスター復刻
・「ダイヴァー・ダウン」と「1984」のステッカー復刻
(ただし「1984」は裏の曲目ステッカーだけで"JUMP"ステッカーはなし)
ということで、ここまではけっこういいのですが・・・

肝心の1stがオリジナルレーベルじゃない!って、これはまずいんじゃ・・・。
(だって帯に「オリジナルレーベル復刻」ってうたってあるし)。

なお、1stのインナーはカラー版でした。このへんのことは後ほど。

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炎の導火線 
... まずはファーストアルバムから。もはやロック・ギタリストにとっては 「ジミ・ヘンドリックス・エクスペリアンス」とならぶ聖典。 とりあえずレーベルからです。 紙ジャケは再発レーベルになっています。 オリジナルはバーバンク また探検隊がレアな初回レーベルやエラーレーベルで難癖つけてん じゃないの?ということは今回に限ってはございません。ハイ。 中古盤、フツーにこのバーバンクレーベルで、もちろん米盤・日本 盤・英盤ともこれです。珍しくもなんともないです、今回は。 なんで間違っちゃってるの?というレベルのものだと思います。 また、78年に出たこの1stの米盤はカラーとモノクロの2種のイン サートがあります。 米盤のインナー 1stの米オリジナルはWARNER BROS.RECORDS BSK-3075で、バーバンク レーベル、裏ジャケにバーコードなし、というものですが、この条件で、 カラーとモノクロがあります。 写真左はプロモ盤でモノクロ・インナー、左は通常盤でカラー・インナーで す。プロモ盤といってもジャケにステッカーが貼ってあるだけで、盤は通常 盤なのであんまり参考にはなりませんし、手持ちの2枚だけでは何ともいえ ません。通常盤でモノクロインナーもいっぱいあるわけですから。 こういう場合は他国版を見るに限ります。 紙ジャケと日本盤 これは予約して買った日本版なのですが、モノクロインナーです。 ちなみに、英国版はどうっだったかというと、私の物はインナーがついて ませんでした(役に立たん・・・)。 最初からカラー/モノクロ2種あったとは考えにくいので(買った人、怒る でしょうから)、やはりどちらかが先にあったのではないかと・・。 そうすると、 1.初回だけ豪華にカラーのインナーだった。 2.最初はモノクロで、売れたんでカラーにした。 もしくは、 3.モノクロ仕様のはずだったが、暗すぎてデイブの顔がよく見えず、本人から クレームがついたんでカラーにした。 なんてことがあったりして。 ちなみに所有の米盤でいうと、モノクロインナーのマトリクス末尾がLW1、 カラーインナーの方はLW3。これも決め手にはなりませんが、日本盤のことも 考え合わせると、1の可能性は薄い気がします。 紙ジャケはどうせならモノクロ、カラー、2種つけてくれたらうれしかったと こです(まあ、どっちかとなったら普通カラー版をつけますよね)。 帯は栄光の77マークも再現< このアルバム、78年2月の発売ですが、まだ前年の『1877-1977 レコード 生誕100周年』マークが帯についていました。紙ジャケはここも復刻されてい て大変うれしいところ。「勝手にしやがれ」や「AJA」の復刻帯ではオミット されていたんですよね(「AJA」は特典帯ですが)。 裏ジャケのデイブのけぞり ワーナー得意のかぶせ+巻き帯はいつもならがすぐれた復刻仕様だと思います。 リマスターは全作通じて01年版(HDCD対応)。現状版の05年リマスターって しかし一体なんなんでしょう?・・。 解説も01年版と同じで伊藤政則。そういえば元の日本版LPも同氏だったな、と 久しぶりに読んでみると時代の違いが感じられて面白いです。 01年版解説では「歴史をぬりかえる偉大なるバンドの出現」といった言葉があ りますし、エディのことも「ギター奏法に革命をもたらし、」と記述されてい ます。 78年版解説では、アメリカン・ハード・ロックでライオット、クワイエット・ ライオット、レッグス・ダイアモンドにつぐ「4番手」の扱いで、「モントロ ーズの座を継承するであろう」と書いてあります。エディのギターに関しては 最後の方に「重量感あふれる」「セクシュアルな響き」と記されているくらい で、革新的なその奏法にはコメントがなく、ジミヘン以来の天才児の出現を予 感させるようなものではないんですね。 でもデビュー当時の評価はこんなもんだったんです。 下の写真は音楽専科の初来日特集号のものですが、これはデビューアルバムが 大ヒットしてからのもの。 音楽専科78年8月号の記事は3部構成 表紙にはヴァン・ヘイレン来日特集のあおりが・・・。 これがその表紙のあおり ZEPを乗り越えられるか?って、そういや当時はそんな記事も ありましたね、という・・・。 アルバムがヒットし、これ以上ないタイミング(誰かの代役だったという 説も)で初来日を行った後は大きな特集が組まれ、こんな記事も出てい たのですが、アルバムがヒットする前はどうだったかというと・・・。 同じ雑誌の78年1月号では『78年ハードロックシーン大予想』という記事があ り、前記の伊藤氏他数名で競馬予想風にどのHRバンドが伸びてくるかの予想を してたんですが、VHの評価は低く、本命でもなんでもなかったと記憶していま す。伊藤氏の評価は米国勢で4番手くらいだったんで、これは解説とも一貫して て偉いな、と思います。 それに『モントローズの座を継承』はその後のことを考えると実に鋭い考察。ま あプロデューサーが同じテッド・テンプルマンで、モントローズの前座とかやっ てた情報があったんでしょうが、後に初代ヴォーカリストのサミー・ヘイガーが 加入することを考えると感心しきりです。 他のミュージック・ライフやヤング・ギターはまたちょっと扱いが違ってたのか もしれないんですが、アルバムの解説まで書いてるHRの第一人者、伊藤氏の評価 がそんなもんだったと。大した前評判ではなかったわけです。 んで、なんで私は予約してまでこの1stを買ったのか?つらつら思い出すとですね、 やっぱりテレビでなんかの拍子に見たPVのせいですね(当時はPVとは言ってなか ったですけど)。 もちろん『ユー・リアリー・ガット・ミー』です。 フィルム風のちょっと暗めの映像で、うごめく(笑)デイブと、んで、なんだか ニヤニヤしながらギター弾いてるヤツ。これがとんでもなかった。ギターソロの部 分になってようやくまともにプレイが映し出されるのですが、唖然。口ポカーン、 って感じでした。一体何やってんだかわからないけど凄い、ってのはあのことをい うんですね。今ならYOUTUBEでいつでも見れますが、当時は録画もできなかった し、さっき見たあれがなんだったのかと。で、雑誌を見ると予約特典付であると。 それでレコード店に走りました(シングルを先に買ったのかもしれませんが、その へんの記憶は曖昧)。 しかも当時はパンクやフュージョンなどの流行ものを追うのが精一杯で、HRなんて 全然買ってなかったんです。それがイキナリやられたわけです。 当時の日本版シングル ライトハンド、ハーモニクス、アーミングを駆使したプレイも凄かったんですけど、 映像を見て一番グっときたのはギターそのものだったんじゃないかと思います。 (ちなみにライトハンド奏法ってのは当時の言い方で、もちろんタッピングのこと)。 写真の黄色矢印のギターが映像で弾いてた通称「SHARK」。デストロイヤー(イバ ニーズのエクスプローラーもどき)を改造したヤツなんですが、このメチャクチ ャな改造ギター、今見ると実にパンク(笑)。 多くのパンクバンドが服を切り裂き、体に穴をあけていた時に、エディは ギターを切って削り、穴をあけていたわけで(しかもやり過ぎて音悪くな ったりしてたそうで)、これがまさに70年代末の新時代のHRを象徴して たように思います(本人達はHRじゃなくて、「ビッグ・ロック」と呼べ といってましたが)。 パンクスはギターまで切り刻んでませんでしたから、余計すごかったかも。 アルバムの白眉は『暗闇の爆撃/Eruption』から『ユー・リアリー・ガット ・ミー』の流れですが、当時一番好きだったのは『叶わぬ賭け/Ain't Talkin' 'Bout Love』 でした。A面4曲目で大した扱いの曲ではなかったんですが、日本ではシン グルカットされました。私も好きでしたが、日本人受けしそう、ってくらい の印象だったと思います(米国でも後にシングルが出ました)。 それが今や最新ベスト盤にはデイブのスタジオVer.とサミーのライブVer.で 2種収録され、07年のリユニオンツアーではエンディングを飾る曲になっち ゃってます!世界的にも代表的な名曲として地位を確立したというか・・。 (その後、これを超えるようないい曲ができなかった・・・?) さて肝心の音ですが、01年リマスターは低音がハッキリし、全体にメリハリ がつき、迫力いっぱい。レコードと比較してもしょうがないんですが、同じ 内容でブツが並んでいると無意味とわかっていても比較したくなるのが人情。 米盤は全体にまろやかですが、大音量で聴くと豪快に空間に鳴りわたり、快感 です。特に左にいるエディのギターは『叶わぬ賭け』のイントロなどで宙空に クッキリと存在して奥行き豊か。『暗闇の爆撃』の有名なライトハンド部分は 流麗というかなんというか、ウィーンフィルの弦みたいです。鮮度はこれが一 番。 日本盤はちょっとギシギシしてますが、悪くないです。英盤は全然ダメでグシ ャッとしてます(これでもバーバンクレーベルでマト1なんですけどねー)。 またこのファーストにはわりと有名なプロモ盤が存在します。 LOONEY TUNES 米ワーナーの「LOONEY TUNES」というプロモ盤のシリーズの1枚で、他の アーティストのものも出ています。 品番はPRO705。最初期VHのロゴ入りジャケ。 A面のレーベルは、こちらもVHロゴ入りのカスタムレーベル。 A面のレーベル レッドビニール盤というのもうれしい仕様になってます。 収録曲は A面)Runnin' With The Devil/Eruption/Ice Cream Man B面)You Really Got Me/Jamie's Cryin' という5曲入り。33回転なんですが、たっぷり余裕をもってカッティング されているためか、通常の米盤よりじゃっかん音質的にいいと思います。 まあちょっと音の伸びがいい、という程度ですが。 『Ain't Talkin' 'Bout Love』が入ってたら最高だったんですが、やっぱり 当時はそんなに重要な曲とは思われてなかったんですね。 プロモ盤で人気があるといっても、そこは通常の中古レコが300円とか 500円とかのVHのことですから、そんなに高くありません(紙ジャケ CDと変わらない値段でした。今でも20〜30ドルくらい?)。 高音質盤(高品質盤?)には他にDCCのアナログがありますが、リマス ターCDがある現在、その役目は終えたような気がします デビュー前は「モントローズの座を継承」、来日後は「ZEPを越えられ るか」と急激に格があがっちゃったVH。さて、待望のセカンドアルバム の出来はいかに? =================================================================================================================== 伝説の爆撃機
... その待望のセカンドアルバム、日本版予約特典は1stに引き続きバンドロゴ・ ステッカー(2ndのジャケのヤツ)ということで、またしても発売日にいそ いそと引き取りにいったわけです。 2ndの紙ジャケとLP 左から米盤LP、紙ジャケ、日本盤の帯です。 日本盤、帯しか残ってません!当時は次から次へと面白い新譜が出てたので つまんないレコはすぐ売って自転車操業してたんですね。要するに当時、2nd は私的には期待はずれだったんではないかと・・。 まあ、ZEPを越えるためには2ndがね、あの「II」を越えなきゃいけないと。 で、VHもタイトルに「II」なんてつけちゃうもんだから否応なく比較しちゃい ますよね。それでやっぱりコイツらはZEPにはなれんなー、っと。そりゃそう だろ、しょーがないよ、って今から考えれば当たり前なんですが。期待が大き 過ぎたんでしょうか。79年ですから、HR/HM系だとアイアン・メイデンとか のNWOBHMに関心がいってしまっていたかもしれません。 しかし、久しぶりに聴いてみると実にいいアルバムに思えてきました(笑)。 特に『Somebody Get Me A Doctor(必殺のハードラブ)』から『Bottoms Up』 の流れはなかなか。紙ジャケで聴き直しているうちに第一期では1stの次に好 きなアルバムに・・・。 なお米盤LPはこの2ndまでがバーコードなし。 裏ジャケと内袋でエディがかかえている黒に黄色のストライプのギターは通称 Bumble Bee。2度目の来日公演で活躍したと記憶していますが、後にステー ジ上で銃殺されたパンテラのギタリストに捧げられたそうです。 2ndでのデイブ デイブはどんどんやりたい放題状態に。裏ジャケの得意技、股おっぴろげジャ ンプ(赤丸部分)は英盤では拡大されてポスターで付属。 内ジャケではエロいナース姿のねーちゃん達をはべらせております。後の『カ リフォルニア・ガールズ』のPVを思わせます。もちろん文句ありません。 =================================================================================================================== 暗黒の掟、戒厳令、ダイヴァー・ダウン
... 2ndは売っぱらっちゃったんで、3rdあたりから私はリアル・タイムではあん まり聴いてませんでした(冷たいですね)。 3rdの紙ジャケと米盤LP 紙ジャケはデイブのポスター復刻。男性ファンとしてはデイブよりエディが ギター弾いてる方が良かったんですが・・・この辺まではデイブのセックス シンボル路線がバンドの売りだったんでしょうか。 ジャケはVHで最もカッコイイと思います。ノーマン・シーフ撮影のバンド写 真、ポスターはヘルムート・ニュートンの撮影と、アートワーク関係は凄く一 流バンドっぽいです。 内容は色んなことにチャレンジした意欲作ですが、邦題はイマイチずれてる 感じ(日本であんまり受けなかったのはそのせい?)。 『暗黒の掟』ってアルバムタイトルもなんですが、"AND THE CRADLE WILL ROCK..." が「ロックンロール・ベイビー」はどうも当時ピンとこなかった気がします (まあ”揺りかご”なんで”ベイビー”つながりなんでしょうけど)。 4thと5thの紙ジャケと米盤LP 内袋、レーベル、帯とも復刻。『ダイヴァー・ダウン』は三角ステッカーも 復刻されています(ジャケに直接貼られているのはイマイチですが、このス テッカーがないとどうにもしまらないジャケなんですよね)。 せっかく3rdでジャケが良くなったのに『戒厳令』では、地味なジャケにな ってます(狂人が書いた絵、っていうふれこみでしたが)。 この辺りはバンド自体がHRよりのダーク/ヘヴィ路線と、アメリカン王道ポ ップ・ロック路線の間でゆれ動いていた感じです。 しかし『戒厳令』はエディ・ファンにとっては金字塔的作品で、第二期の傑 作『F.U.C.K.』を思わせます。 もちろんVHにとって欠かせない名曲、「アンチェインド」を収録しているこ とだけでもファン必聴なのですが、とりわけギターに関しては、プレイの凄 み、サウンドの熟成度とも申し分なし。完成の域に達しています。 =================================================================================================================== EVHのセッションワーク
... EVHのギターだ!っと、一聴してわかるその個性はまさに一流アーティスト の証明。そして、その特徴は他人のアルバムでより顕著に際立ちます。 他人のとこだとより目立つ? 他にも参加作品は沢山あると思いますが、この3枚、個人的にとても印象深 いんですよね。どのアルバムもエディが出てきた途端、あ、これはっ、と思 ってなんだかうれしくなるという。ZEP以外のアルバムで、ジョン・ボーナムの ドラムが入ってきた時の感じに似てます。 しかし、「スリラー」の25周年版なんて買ってるし・・・なんで買ったか というとそれは「ビート・イット」のため。しかも、ここではファーギーと エディの時空を超えた共演が実現しているのです!(マイケルはどーした?・・) さて、デビューと同じ78年にリリースされたニコレット・ラーソンの1stは全体とし ても大好きなアルバム。ニール・ヤングの名曲「溢れる愛/Lotta Love」で始まり、 A面4曲目の「あなたのとりこ/Can't Get away from You」で、”あのギター” が登場します。ギターのクレジットはリトル・フィートのポール・バレ。で、 Lead Guitar: ? というクレジットなんですが、誰が聴いても一発で”?”はエディだとわかり ます。プロデューサーが同じテッド・テンプルマンなんで実現したのかもしれ ませんが、フィートとVHは実は相性いいんじゃ?と思わせる1曲(そのうち 共演アルバムとか作んないかな)。 『スリラー』の「今夜はビート・イット」はもはや説明不要でしょう。82年 の11月のリリース。英国製の紙ジャケが出てました。 『スターフリート』はブライアン・メイの親バカプロジェクト。いつかは実 現するのでは?といわれていた自作ギターマニア同士の競演となっています。 この一聴してわかるエディの個性とは一体なんなんでしょう。 個人的には超絶技巧や変則技を、圧倒的なグルーヴのタイム感と、その特徴 的なサウンドでまとめ切ってしまうところにあると思うのですが、中でもや はりブラウン・サウンドといわれる音色が重要なんだと思います。 本人も、おれのギターの特徴はブラウン・サウンドにあるんだ、とインタビ ューでいってた位ですから。 EVHのブラウン・サウンド−−昔からマーシャルのヘッドが改造してあると か、1ハム直づけのPUのせいとかいわれてましたが、ギター/アンプ以外に も要素がありそう。 そう考えると、『愛しのニコレット』はテッド・テンプルマンのプロデュー スでドン・ランディの録音と、VHと同じコンビ。 『スリラー』は本来のエンジニアがBruce Swedien。ところがエディのギタ ーだけドン・ランディが録音した、とクレジットされています。 (ちなみに08年のwithファーギー版ではギターの音がヘナヘナのぺけぺけに なっちゃってました・・・リミックスしたWill.i.am、おまえは一体なんてこ とを・・・)。 この2枚はやはりエディ特有のブラウン・サウンドが鳴り響くわけですが、 ドン・ランディが関わっていない『スターフリート』はいつもと音色が違い ます。もちろんエディとわかることはわかるのですが・・・。 エンジニアのドン・ランディはデビューから『OU812』までVHの録音にかか わり続けた人なんで、この人のブラウン・サウンドにおける貢献度はかなり高 そうです。 ところで『スターフリート』は83年のプロジェクト。『1984』直前。 内容的にはつまんないレコだったのですが、インナーを見てビックリ。 スターフリートのインナー な、なんだエディのこのグチャグチャのギター? ギタリストの友人からこれが1stや初来日で弾いてた白黒ストライプと、同じ!! ギターで、そのなれの果ての姿、と教えてもらって二度ビックリ。 二度目の来日公演から赤系に塗り直されていたようなのですが、83年くらい まであんまりVHに関心がなかった私は知らなかったわけです。 これが、ドン・ランディ同様、エディのブラウン・サウンド確立の要。継ぎ 接ぎだらけの化け物、FRANKENSTEIN−−フランケンの愛称で呼ばれるギター。 このフランケン、昨07年にフェンダー(!?)から実に精巧なレプリカが登 場して話題を呼びました。もう、ここまでやるか、日本の紙ジャケみたいじゃ ないか、と(誰もいってないけど)思えるような出来。価格38,000ドルで 売り出されたとか、日本のお店で350万円だったとか、最初からボロボロに なってるレプリカギターが新車一台なみの値段だったわけで、いかに世界的 にフランケンの価値が高いかを物語っています。 (VHはレコは安いけど、ギター系のブツはやたら高いのです) ザ・ギターマンのEVH特集号 んで、これが昨年末に出たヤングギター別冊の特集号。これはホント凄い本。 そのフランケン・レプリカモデルの特集をはじめ、エディの歴代ギターがこ れでもかと解説されています。 ブラウン・サウンドを求めて自ら改造・製作を繰り返してきたエディのギタ ーがいかに革命的だったか、歴史を変えたかが、つぶさに記されているわけ です。 しかも、最後の方でプロのクラフトマンの方々が登場し、エディのギターに ついて対談。その締めの言葉がですね、 「ただ、よく分からないのにギターをあれこれいじるのはやめておいた方が いいと思いますよ。」 ・・・って、・・最高です!(笑)。エディが聞いたら苦笑しそうですが・・・。 てなことでようやく83年までやってきましたが、いよいよ次は・・・。 =================================================================================================================== 1984
... 83年の12月リリース。HRとアメリカンポップスを止揚した起死回生 のビッグヒット。産業ロックといえばそうなんですが、なぜかジャー ニーやスティクスとちがってVHはあまり産業ロックとは呼ばれません ね。 1984のレコードと紙ジャケ 左から米プロモ(QUIEX II版)、日本盤LP、紙ジャケ、米盤LPです。 紙ジャケは"JUMP"ステッカーは再現されていませんが、リリースの タイミングからいうと、初回のLPにはついていなかったかもしれま せん。 天使がタバコすってる不謹慎なジャケ。イギリスでは問題があ ったのかジャケ下3分の1くらいがタイトルステッカーで隠さ れた状態で販売されました。 そのタイトル、正式名称は「MCMLXXXIV」。 「1984」のローマ数字表記です。なんで一般的なアラビア数字表記 ではないのかわかりませんが。 ちなみに大ざっぱにいうと M=1000 CM=100を1000から引く=900 LXXX=50+10+10+10=80 IV=1を5から引く=4 こんな感じですが、どういうルールなのか、興味がある方はネットな どでどうぞ。 逆さになってる裏ジャケ LPの裏側は逆さになっています。日本盤LPもそれにあわせて帯の裏 側も上下逆さに印刷されていました(写真右)。 紙ジャケも忠実に逆さ印刷。でも帯までは逆さにしていません。 曲目ステッカーも再現されていますが、元々はシュリンクの上から 貼られていたもの。ジャケに直貼りはちょっと残念。 まぁ細かいことはともかく、あらためてCDで聴いてみてもVHの天衣 無縫な魅力がいっぱいつまったアルバム。 記憶に残っているのは『ジャンプ』のPVでオーバーハイムをニコニコ 弾いてるエディ。まったくヒネりのない音色なんですが、ギターのサ ウンドの嗜好をキーボードに置き換えるとこうなるんだろーなーと。 中間部のシンセソロの指クセっていうか、タイム感もまさにギタープ レイを彷彿とさせるというか(天才エディでなかったら許されない?) 『ウェイト』の米12インチと日本盤 第二弾シングルだった『ウェイト』もシンセではじまる産業ロックっ ぽい曲なんですが、ジャーニーが完成前に投げ出したような感じ。 TOTOだったらデモにもならないんじゃないかという・・。でも、こ のラフさというか破天荒な感じが産業ロックとよばれない由縁かもし れません。 『ホット・フォー・ティーチャー』のPVなんかはまさにVHの面目躍 如。曲が一番盛り上がるところで、脈絡もなくビキニの女の子たちが 大挙登場してくるというですね(一応学校を舞台にしてるんで校内ミ スコンをイメージしてるんでしょうけど)。 曲が盛り上がってるからには、映像も盛り上がらなきゃいかん。どう したらいいか?もちろん女だ、女! という、実にアメリカンHRの真骨頂ここにあり?な、確かにウヒョー と盛り上がる素晴らしい映像でした(YouTubeでご確認できます)。 80年代の米ワーナーQUIEX II プロモ盤 「ジャンプ」の米プロモ盤はQUIEX IIプレッシングというもので、80 年代のワーナーやゲフィンのプロモに使われていました(写真左はド ナルド・フェイゲン)。今でもクラレコなどで見かけます。 ヴァージン・ビニール(再生使用ではない塩化ビニール)を使った、 要するに盤の素材がいいプレスということだそうで、今のSHM-CDみ たいなもんじゃないかと思います。 通常盤と基本的に音質はいっしょですが、素材のせいか音の伸びがい い感じがします。ま、それだけです。 レーベルやマトリクスとか見ても別に通常盤と違いはありません。中 古で入れ替わってたらわかりませんよね。どーやって見分けるかとい うと、ポリスの特集の時にもいいましたが、光にかざします。 (ポリスのA&M盤はKC600というものでしたが) QUIEX II プロモ盤を光にかざすと・・ このように、光にあてるとブラウン(ゴールド?)に透けてみえます。 素材の透明性を表現しているのでしょうか? 当時の通常盤米盤の材質がいかに荒っぽかったかを逆説的に証明してい るかのようなもんですね。 ちなみに次作「5150」では通常盤も初期プレスはQUIEX II プレス。 「5150」も光にかざすと、あーら・・ 100円や300円でゴロゴロ売っていますが、お買い求めの時はぜひ レコ屋の蛍光灯にかざしてみてください(ステッカーなどの表示は ありません)。通常盤でも透けて見えるのが初期プレスです。 =================================================================================================================== サミー・ヘイガー時代
... 紙ジャケは出ませんでしたが、かまわずサミー時代に突入です。 ここまで読んでおわかりだと思いますが、わたしはやはりデイブ時 代が好きで、サミー時代はあまり思い入れがありませんでした。 王道ロックとして完成度は増したのですが、ロックの猥雑さ、破天 荒な魅力がなくなった気がして・・・。でも、今回何回も聴いてる うちにサミー時代もいいかも、と。(当時はあまり真面目に聴いて なかったのか?)。 「5150」と「OU812」 2枚ともシングル・スリーブでカラーのインナーバッグ。 「OU812」はカスタム・レーベルで文字部分がエンボスになって いるジャケ。LPはCDより1曲少ない9曲入り。リトル・フィート のカバー『A Political Blues』が入っていません。 「5150」のColumbia Record Club(以下CRC盤)もよく見かけ ます。裏ジャケにバーコードがなく、右下にManufautured by Columbia Houseとクレジットされています。 「5150」の通常ワーナー盤(左)とCRC盤 レコードクラブ盤のレーベルにはCRCの文字が入ってます(赤線 部分)。もちろんQUIEX II ではないんで、盤はすけません。 マトリックスの末尾が1A/1Aタイプのコロンビア・プレスのも のになっていて、音質はやわらかなワーナー盤と比べてシャッキ リしています。聴き比べると違いがあって楽しめます(CDのリマ スターよりわかりやすい?)。 VHのアルバムの中でも非常に完成度の高い、よく出来たアルバム で、全米1位もうなずけます。 エディとアレックスは、同じ兄弟HRバンドであり、シンガーの変 更を乗りこえてスケールアップしたAC/DCのことは意識したんで しょうか(まぁ向こうは止むなき事情だったわけですが)。 タイトルの「5150」はロス警察の暗号で、非常に危険な要注意 人物をのコードだそうですが、1984年から使っているKRAMER 社製のフランケンタイプのギターもこの名称。 それより前に1983年に建てられたエディのホームスタジオの名 前が5150スタジオですから、アルバムタイトルよりずっと前に この数字を気に入っていたんじゃないかと思います。 ということでレコードを眺めていると、送り溝のところに ”5150”の数字が彫ってあります(米盤です)。 最初はこれってタイトルをわざわざ彫ったの?とも思ったので すが、数字の入れてある場所(テキトーなとこ)から考えても どうもそうでもなさそう・・・。 しかし、この字体・・と思っていたのですが、前述した「ヤング ギター』の特集号にこんなギターの写真が! 無惨にイタズラ彫りを入れたられたストラト すいません、ボケててよく見えないと思いますが、写真赤線部分 にイタズラ書きのように”5150”と彫ってあります。 こ、この字体、似てる・・・。 しかも64年製のフェンダーストラトですぜ。ああ、もったいない。 もちろんこんなことをする輩は・・エディ、一体なんてことを・・。 天才のやることはホントわかりませんね。 そうすっと、あくまで推測ですが、「5150」の米盤にはエディの イタズラ彫りが入ってることになります。両面に入ってます。 でも、ちょっと待ってください。これ、タイトルじゃなくて、ただ のお気に入りナンバー(きっと当時のエディのマイナンバー)なん だよな。 と思って「1984」の送り溝を見てみたら、こちらにも同じ字体で ”5150”刻印が!(A面のみでしたが)。 うーん、このアルバムの発売時から、ちゃんとこの数字が入ってた のね。(エディの銀行口座のパスワードとかもこれだったりして) ということで、「1984」と「5150」の米盤はエディの刻印入り?? ちなみに「OU812」のタイトルの方は? これは「Oh! You Ate One Too?」で、デイヴのアルバムタイトル 「Eat'em And Smile」へのあてつけ、というのは有名なエピソード ですが(ジョンとポールみたいなことやってますね)。レコードの 盤面には彫られていませんでした。 では90年代へ! なんでもいいから『パウンド・ケーキ』を聴かせろ!という『パウ ンド・ケーキ』マニアのみなさん(います?)、お待たせしました、 91年の傑作HRアルバム「F.U.C.K.」です。 「For Unlawful Carnal Knowledge」のアナログ盤 全体的には80年代の「戒厳令」を思わせますが、スケールは格段に アップしていて、アナログで聴くとかなり気持ちいいです。 写真は左から米盤LP、『パウンド・ケーキ』の米シングル、ドイツ 盤LPです。この頃はアナログ盤不遇期で、大物でもアナログは出て いなかったりします。 このアルバムもドイツ盤はけっこう見かけるのですが、米盤LPは VHの中でも珍しいものになっています(といってもたいしてレア というわけでもないのですが)。 ドイツ盤は、ドイツ盤らしいメリハリのついた音。で、米盤を聴く と、やはり断然いいわけです(この時期におよんでなんで?)。奥 行きがあり、立体感が全然違います。 米盤のレーベル ちなみにこの米盤、裏にバーコードのないレコードクラブ盤です。 レーベルにもCRCの表記があります。レコードクラブ盤しか見かけ ないのですが、通常米ワーナー盤LPがあるのかどうかはわかりま せんでした。 シングルの方はワーナー盤。この時代ですから市販ではなくジューク ボックス用だと思います。 これが、鮮度は米盤LPと同じなんですが、低音がドゴーっとしていて ハイハットがバシャバシャいってるという、シングル用の音作りにな っていて面白いです。 決して音質がいい、とはお世辞にはいえないのですが、このやかまし さはなかなか。 B面は『TOP OF THE WORLD』で、曲のサウンドバランスとシングル 用の音作りがマッチしたのか、迫力ある音で楽しめます。あ、シング ルで聴くといい曲じゃん!って思える仕上がり(笑)。 次の2枚組ライブ盤「RIGHT HERE,RIGHT NOW」はLPが出ていたか どうかはわからないのですが、やっぱりシングルはあったりします。 (初回のCDがCDシングル付きで、缶入りのCDシングルも何種か出て いるのでアナログシングルも複数あるかもしれません)。 「ドリームス」のライブ盤シングル レーベルの赤線1のところに(LIVE/EDIT)のクレジットがあり、赤線 2の部分にライブ盤からのシングルカットである表記が入っています。 このライブのエディットヴァージョン、これもシングルで聴くとかなり 燃えます。もう最初のキーボードイントロから鍵盤をガッシガッシ叩い てる感じですし、ドラムやベースもやかましいのなんの。 ちょっとAOR風の曲ですがこの状態できくと、ああVHだなぁと満喫でき てしまいます。 (この名曲「ドリームス」、日本ではスタジオ盤のEDITバージョンがシ ングルで出ていました)。 「バランス」の米盤LP 95年になるとアナログ盤が復活して、もう普通に米ワーナー盤がありま す。中古でもいっぱい見かけます。いいことですね。 日本盤CDにボーナス収録されていた「CROSSING OVER」は米ではCD シングルのB面。ということで当然の流れとしてアナログシングルでも B面に入っています。全部アナログで聴きたいという方はアルバムとい っしょにシングルも持っておくといいです(いいのか?) 「CROSSING OVER」の米シングル レーベル赤線部分に(NON-ALBUM TRACK)のクレジットがあります。 ちなみにA面は「CAN'T STOP LOVIN' YOU」で、クレジットは (ALBUM VERSION)となっています。親切ですね。 日本盤CDと 日本盤ではジャケットが結合双生児を思わせたためか、一人乗りシーソー ジャケになっちゃってます。シーソーではあるんですが、これじゃ「バラ ンス」の意味がないんじゃないの? (二人いてこそ”V"の字風に見える、というのもありますしね)。 これ以降は96年の「グレイテスト・ヒッツ」、04年の「ヴェリー・ベス ト・オブ〜」とベスト盤にちょこっと新曲を加えた形で2種類出ています。 そういや96年のベストのタイトルには「Volume 1」と入ってるんですけ ど、「2」はどうなったんでしょう・・。 (ちなみに、わたし、ここまで書いて「III」を忘れていたことに気づきま した・・・) さてそれではVHファミリー+デイブのリユニオンでの来日を期待して待ち ましょう! もちろんサミー時代の紙ジャケも!! =================================================================================================================== 歴代のロゴをならべてみました(ぬけてるのもあります・・) <了>2008/05/24
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