THE WHO/LIVE AT LEEDS
ザ・フー/ライブ・アット・リーズ他 比較検証



ついにWHOの紙ジャケが登場した。ROCKものとしてはZeppelin以来のビッググル
ープの紙ジャケ化ではないかと思う。下はその全12タイトル。

なんか約2点あつかいの小さいものがあるが、ご勘弁を。
このCD、基本的には95年から始まったクリス・チャールズワースとピート・タウン
ゼンドによるリミックス/ リマスター+ボーナストラックの音源を使用(「キッズ〜」
をのぞく)。限りなくUKオリジナル盤に近いジャケットを再現し、さらに前回付属し
た英文フルカラーブックレット+日本語の解説/歌詞/対訳をつけるという、まさにCD
の復刻では現在望みえる最高のものである。
ここではその中でも驚異(狂気?)の紙ジャケ化「ライブ・アット・リーズ」を検証し
てみようと思う。ここまでやったユニバーサルに敬意を表すべく、探検隊もかなりどう
でもいい細部までやってみます。

ジャケット

後方左から
日本ポリドール MPX4021(日本盤の再発盤。70年代後半くらいかな)
英Track TRACK2406 001(オリジナル。スタンプの色が青いタイプ。以下青トラ)
英Track TRACK2406 001(オリジナル。スタンプの色が赤いタイプ。以下赤トラ)
手前左から
米MCA MCAD11215(95/2月に出た25周年記念のリミックス/リマスター盤。ロゴの色は濃い青)
日本ユニバーサル・ミュージック POCP9198(今回の紙ジャケ)

紙ジャケは赤トラと同じ仕様で音は25周年エディション。ロゴの部分のナンバーは今ま
ではそのアルバムの品番が入っていたが、紙ジャケに関しては英オリジナルの品番が記さ
れている。
オリジナル及び紙ジャケは見開きタイプで12種類のオマケ付きという恐ろしいもの。
この他米オリジナル(DECCA DL79175)、日本の初版(番号わからず)も英オリジナル
同様見開きタイプで12種の付録つきだった。また25周年エディションのCDにも付録ま
で再現したBOXタイプのものがある(MCAD11230)。これはLPサイズのでかくてゴ
ツイもので中がCDという代物。とても買う気がしなかった。
んで上記の写真の中では日本再発LPがシングルジャケットである。なんでこんなものが
ここに出てくるかといえば、私はこの再発盤にうらみがあるのだ。これのせいで「熱狂
のステージ」(当時の邦題)は、なんてひどいジャケットで、ひどい音なんだろう、ほ
んとにブートみたいだ、WHOはなんでこんなもの出したんだろうとまで思っていたのだ。
下の帯の部分を見てほしい。

(英国オリジナルジャケット使用)とちゃんと書いてある。だが、オマケもなんもつかな
いただのシングルジャケットなのだ。だいたいこの手のギミック・カバーはギミックの部
分をはしょって再発されるとトホホなものになってしまうのだが(フリーの「LIVE!」と
かスティーヴ・ヒレッジの「OPEN」とかね)。これはその最たるもの。なにがオリジナル
ジャケットなものか! しかも音がひどい。ごていねいにレーベルの有名な一文「雑音が
出るのはレコードプレイヤーのせいではありません」というのはちゃんと再現されていて
それを冗談でなく受け取ってしまった。
英オリジナルもレンジが広いとか解像度が高いなんてことはまったくないのだが、この日
本再発盤の後に聴くと、まるで分厚いカーテンをとりはらったかのように圧倒的にリアル
に響く。中低域の張り出した、太く、迫力ある音は今でいえばローファイってことなんだ
ろうが、音質的には全然悪くないのだ。ブートなんてとんでもない。
話が横道にそれてしまった。ま、これは悪い再発の例ってことで、20年来のうらみをブチ
まけさせていただきました。今や店によってはこの帯付きもけっこうな値段で売っている
が手を出さない方が身のためだと思う。紙ジャケにもどろう。

下が今回のてんこ盛りリイシューの分解図。

上段左から帯、見開きジャケ、CD(レコード袋に封入)
下段左から12種のオマケのミニチュア、日本語ブックレット、英語のカラーブックレッ
ト、はじが今回のシリーズの目玉のSONG INDEX(12枚全部買うとA-Zがそろう。 12枚
なんて買うもんか!と思ったが結局買っている...)。
なんと18点! これにジャケットを止めているホッチキス(2個)、レコード袋、 SONG
INDEX を束ねている帯と、その帯を止めているセロテープまで数えると部材の全数は 23
点である!もしかして1枚のレコードにおける部材数としては史上最高なのではないだろ
うか?(ユニバーサルMさん、ギネスに申請してはいかがでしょう)。
しかし、よく作ったよな〜。これが上の極悪再発盤を作ったのと同じレコード会社とは思
えませんよ、私(名前は変わったけどね)。「UKオリジナル仕様」という宣伝文を見た
ときまさかまた、といやな予感がしたのだが、見事にはずれました。今度は期待通りです。

ホッチキス止めもキチンと再現されています。
当然オリジナルより小さいサイズのものを使っています。
さすがに紙質はまったく同じというわけではないのですが、雰囲気は出ています。

下がジャケットを開いた所。

左のスリットに日程表とか契約書とか手紙が入ってて右にはレコードが入っている。要す
るにジャケットを小包というか封筒に見立てて中に送り状類を入れ、表紙はスタンプのみ
という大変わかりやすいコンセプト。今までのCDでは全然このコンセプトは伝わらな
かったのよね。
唯一の謎は内ジャケ左下のクレジット。赤トラは赤、青トラなら青になるのがオリジナル
なので、今回は赤になるはずが黒になってしまっている。ポリドールのロゴが上にくっつ
いちゃってるのは仕方ないにしても、ここが黒なのは疑問。まぁこの紙ジャケ唯一の不満
ではあるが。
2002/02/10
すいません!UPから2年以上まちがっていました。初版の赤トラはここが黒いのだそう
で、紙ジャケで正しいとのこと。写真の赤トラは2版のようです。
The Kids Are Alrightさん、情報ありがとうございました。
追記 02/13
The Kids Are Alrightさんから写真をいただきました。以下の赤トラが初版のジャケのよう
です。


2002/6
その後、青トラでトラックロゴが黒いヤツも発見されました。
ポスターもマーキーだし(後述)、インサート類もカラー印刷。うーむ。


次はレーベルです。

左からオリジナルのレーベル、紙ジャケ、日本再発盤。どれも手書き風のクレジットを
再現しているが、何故か日本再発のみ白地に茶色の文字(なんでだろう、えっ、もうい
い?)。
紙ジャケはCDなので当然B面分も表記、しかも25周年版だから曲目/曲順自体がすで
に違うので構成が変わっている。
上にも書いた有名な警告文はオリジナルは
CRAKLING NOISES O.K.
DO NOT CORRECT!
なのだが、紙ジャケは
CRAKLING NOISES
HAVE BEEN CORRECTED!
になっている。まぁこれは25周年エディションは最初からこうなんで、一種のジョーク
ですね(要するにノイズは治っちゃったんだよーって意味だと思う)。
それよりも最高なのはロゴ関係だ。

手書きのJASRACロゴ、CompactDiscロゴなどを見よ!いや、誰が手で書いたのか知りま
せんがこれほどWHOらしいものってないでしょう。今回の大ヒットです。天国のキー
スも満足していると思います。合掌。

さてそれでは注目のオマケ関係にいって見ましょう。これ1点1点やります(その方がバ
カバカしいと思ったので)。番号のふり方に意味はありません。

1.つなぎ姿のピートがSGをかかげてジャンプ!の写真。裏は"see me feel me"の歌詞など
がメモられています(それにしてもBrian Canvold and The Playboysって何者だろう)。
裏のメモも再現されています。
2.花火屋さんからとおぼしき配達記録。67年のもの。スモークマシンを頼んだようですな。
3.メンバーの写真。若い!
4."My Generation"の歌詞。色々書き込みがしてあって、レコーディングかステージで
使ったもののようだ(ピートかな?)。SOLOのところにfeedback と書きこんであるのが妙
におかしい。

5.65年の通告。なんか借りたVOXの楽器をいついつまでに返せといわれてるようだ。こ
れは私のもっているオリジナルでは白い紙に青のインクで印刷されたものに、黒字の書
きこみというもの。だが紙ジャケではすべて黒字のコピーになってしまっている。残念。
6.EMIのA&Rからマネージャーのキット・ランバートにあてた手紙。「おめぇんとこの
ハイ・ナンバーズ(WHOの前身)っつうバンドは何回聴いてもよくわからん。どっか他
もってけば?幸運をいのるよ。ま、他になんかいいテープあったら送ってね」といった
業界っぽい内容。これはキチンと復刻されている。
7.ハイナンバーズのツァーの精算報告のようである。
8.呼び屋さんらしきとこからランバートにあてた手紙。「ボールルームでのWHOのライ
ブはキャンセルです」「WHOのようなタイプのグループはボールルームでできないよ」
っていうイカした内容。
9.マーキークラブ出演時の精算書。オリジナルは黒字で印刷された白い紙に青のインクで
書き込みがされている。紙ジャケはすべて黒字のコピー。(どうでもいい?)。

10.出演契約書。ウッドストックの時のものだろうか。6250ポンドだそうで。安かったの
ね。で、これはちょっと謎がある。用紙の色が白と黄色の2種類があるようだ。左から赤
トラ(白)、青トラ(黄)、紙ジャケで(黄)、右上は25周年記念版のブックレットにの
っているもの(白)。どっちがホントかというよりはこのへんはけっこうマチマチだった
のではないかと思う。下もその例。

11.ライブ・ツアー時のMalcomRoseって人の精算書。ランバートの事務所の用箋である。
左から赤トラ、青トラ、紙ジャケ。赤トラと青トラでは用紙のサイズが違う。紙ジャケは
余白から判断すると青トラにあわせてあるようだ。
ま、そんなこときっと初版当時もいいかげんに作ってたはずなんで、こだわるのもバカげて
はいるし、今回検証したオリジナル2枚だって別に赤だからこうと決まっているわけではな
いんでしょう。けっこう1枚1枚微妙に違っているのではないかと思います。

12.超カッコイイ"MAXIMUM R&B"のポスター。これを部屋に貼りたいがためにこのアルバム
を買った人も多かったのでは?

ま、上記のどーでもいいようなことはともかく、全体としてはよくぞミニチュアでここまで再
現してくれましたと思います。

2002/02/10
 再びすいません!紙ジャケのポスターは再販仕様、
 一番下の文字がLIVE AT LEEDSで、このロゴの左上にTARCK 2406 001の記述が追加されています。
初版のポスターは(TUESDAYS AT)THE MARQUEE(90 WARDOUR ST)でカッコでくくった部分は
小さい文字とのことです。
モービルのCDは初版仕様とのことで、何故紙ジャケがここだけ初版仕様のポスターにしなかった
のか疑問が残ります。ああ、しかしLEEDSにもこんな落とし穴が...ポスターが違うとは!ショ
ック〜
へどろんさん、TNKさん、くま@森の中さn、The Kids Are Alrightさん、JMPTさん、情報ありが
とうございました。

追記 02/13
The Kids Are Alrightさんから写真をいただきました。以下が初版のポスターのようです。

<紙ジャケは何故マーキーのポスターではないかということですが、私の推測としては英国プレス
盤に入っていたポスターは回りが破れているように見えるのです。
これはポスターそのものが破れているのではなく、破れているように印刷されているのです。多分
マーキーのポスターの版がなく、しかたがなく原物のポスターを写真にとってそれを製版したんで
はないかと推測します。だから、見た目にも悪いし権利上の問題もあるからマーキーのところを変
えたんではないかと思います。>
 
とのことです。感謝します。
<追記>
そんで改めてウチのLEEDS版2版を見たところ、こちらも周りが破けたような印刷になってま
した。なのでやはりMARQUEEの名前仕様が問題だったのかもしれません。
(モービルは米だからいい、とか?)


音質
紙ジャケは25周年記念エディションと同じですから、曲目/曲順のまったく違う、別物といっ
てもいいものです。オリジナルの凝縮されたパワー、コンパクトな熱狂がよかった人は不満が
残るかもしれませんが、これは今さらここで云々しようとは思いません。このリマスター時に
さんざんいわれてきたことなので。
その他にも「セル・アウト」も構成からして別物ですし、「クィック・ワン」のモノ/ステレオ
/疑似ステレオが混在している問題、「トミー」や「フーズ・ネクスト」のリミックスによる
フィーリングの違いなど賛否両論ありました。でもやはりリイシューとしては現在考えられる
最上のものではないかと思います。
値段
税込みで¥2548。安いですよねぇ、どう考えても。特にこの「..リーズ」は安いと思います。


KIDS ARE ALRIGHT/キッズ・アー・オーライト

今回ようやく完全な形でCD化された「キッズ・アー・オーライト」。今まではCD1枚にお
さめるためにカットされていた"マイ・ジェネレーション・ブルース(メドレー)"が復活して
2枚組に、また素晴らしいフルカラー・ブックレットも復刻された。
写真は日本初版(CBS/SONY 40AP1630/1)との比較(帯の”俺達は16年前からパンクだっ
たぜ!”の文字がかっこいい)。紙ジャケ化の程度は素晴らしいです。トップオープンの仕様。
リール缶タイプのインナー・スリーヴはエンボス加工まで再現。ご丁寧に英盤のシールまで再
現されています。レーベルもピクチャー(色味がちょっと日本盤と違うけど)。リマスターで
ないのは惜しいです。音質的にはアナログと比べるとやはりちょっと不満が残ります。また日
本初版時の内田祐也のブッとんだ解説ものせて欲しかったところですが(これはレコード会社
変わったから無理か)。


その他の紙ジャケ化が望まれるタイトル
WHOにはその他にも紙ジャケ化して欲しいものがたくさんあります。 上左から 「マイ・ジェネレーション」:これは紙ジャケ化というよりCD化がのぞまれているもの。米 盤仕様ではCD化されていますが、この英オリジナル仕様のCDはみんなが待ち望んでいます。 94年末に一度CD化がアナウンスされましたが、やはりその時も契約上の問題で流れた (じゃっかんプレスされたものが中古市場に出回っているようです)。 写真は80年に英VIRGINから奇跡的に再発されたもの(V2179)。出た瞬間驚喜して買った思い 出があります。ちなみにオリジナルは 英BRUNSWICK( LAT8616)ですが、バカ高いです。 ブートまがいの再発盤もあるので注意が必要です。VIRGIN盤なら今でも2〜3千円で買えます。 ちなみに日本初版は英オリジナルより何倍も高いようです。不思議です。 いわゆるブリティッシュ・ビートバンドのファーストって名盤が多いのですが(キンクス/ゼム / スモールフェイセズ/プリティ・シングス/ストーンズもかな?)今でも引っぱり出してよく 聴くのがこのWHOのファーストです。なんでこれが今手軽にきけないんでしょうか(シェル・ タルミーが死ぬまで無理なの?) 上中央 「マジック・バス ザ・フー・オン・ツアー」:WHOって昔から色んな編集盤が出ていたバン ドなのですが、これは中でも極悪なもの。アメリカ編集で「レディ・ステディ・フー」(今回 は「クィック・ワン」に併録。写真下はそのブックレット)を中心にしたもの。題名に反して ライヴではありませんし、最悪の音質で最悪のジャケットといわれていました。でも最近は何 故か人気があるようです。オリジナルは米DECCA(DL75064)。これもブートまがいの再発が あるので注意が必要ですがもともと音質は悪かったのでオリジナルでなくてもいいかも知れま せん。 上右 「ミーティー・ビーティー・ビッグ・アンド・バウンシー」:うってかわって初期WHOの最 高の編集盤。ジミヘンの「スマッシュ・ヒッツ」と同等のファン必携ものでWHOの初期シン グルが網羅されています。オリジナルはダブルジャケットが素晴らしい英TRACK (1406006)。今回の紙ジャケにこれとファーストが加わっていればいうことなしだったので すが。 下左 「トミー(シンフォニック版)」:なんか豪華な装丁のシンフォニー版「トミー」です写真は 日本盤(キング AML175/6)。ロッド・スチュアートやスティーヴ・ウィンウッドなども出て ますけどなんといっても目玉はサンディ・デニーの看護婦。 下右 「トミー(映画版)」:ケン・ラッセルの映画版のサントラ。こちらも豪華ゲスト。写真は日 本盤(MP9492/3)で帯とカラーブックレットに”ロードショー推薦”と書いてあります。 Quintaphonic soundでマトリックス4チャンネルで再生可能なんだそうですが、今となってはな んのこっちゃわかりません。 もちろんサントラでは「さらば青春の光」も是非紙ジャケ化して欲しい所です。 「トゥーサイズ・オブ・ザ・ムーン」:キース・ムーン唯一のソロ。車の窓のくりぬきジャケ が楽しい。英オリジナルや日本帯付きは高いですが、そんなに高額はたく内容でもないので安 いアメリカ盤でギミック・ジャケのバカ殿ぶりにシビれましょう。 「ストーリー・オブ・ザ・フー」:昔はけっこう便利だった英編集のベスト盤。一応WHOの 歴史を俯瞰できます。 toppage database

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