●ツボ焼きと云えばもちろんサザエのツボ焼きなのであるが、アレは中々に旨いものである。サザエの巻き具合は中心から右巻きであるが、これにも地球の自転からくるコリオリの法則が利いているのだろうか。利いているとしたら渦潮と同じで南半球へ行けば左巻きなんであろうか。最近では左右学・左右学会という好事家の集まりもあるらしい。

●サザエのつぼ焼きを楊枝でくりんとお尻まで出せた時はいい気分だ。緑色の一番美味しい部位を残す人がまま居るが、そういう人は早く大人になって欲しい。右巻きのサザエは左利きでは出しにくい。

●田畑修一郎が昭和15年に『新風土』という雑誌に書いた『栄螺』という作品があり、サザエは煮たり焼いたりするよりも、穫ってきたまますぐに岩で割って潮で洗って食べるのが一番旨い、と書いてある。(『夏』日本の名随筆18・作品社・刊)軍手が要る。

●栄螺(さざえ)という字には「虫」が付くが、貝の名前には「蜆(しじみ)」や「蛤(はまぐり)」の様に虫の付く字が多い。中国人は魚類以外の水中動物はみんな「虫」に分類していたようだ。 

●サザエの語源は「小さな家」。栄螺の「螺」は「たにし」の意で「螺旋」の形。「螺舟(巻貝状の舟)」という言葉もあってフネとサザエがホントに関係あって良かったね、磯野家。貝の付く字がほとんど貝と関係の無いという処も面白い。

●サザエさんの家にはタラオが居るが、もちろん本気の自然界でサザエとマスが合体してタラが産まれる筈も無いし、そんなことになったら魚屋が泣く。タラオが結婚してタラ子が産まれたら良いが、数の子が産まれたら嫁はニシン系か。タラちゃんは北海道の水産系大学へ行ってナンパ三昧だな。

●マスオさんはフグ田だからマス夫家系はやはり養子家系ということになる。というかマスオは養子ぢゃないね、猶子か単なる同居だね。大阪フグ田家の長男は辛いネ。

●イクラちゃんはノリスケとタイコとの間の子だが、鯛の子は「タイノコ」と云って中々の珍味である。しかし最近の小料理屋界では「タイノコ」と称して無着色タラコを炊いて出したりするから油断ならない。そうかイクラちゃんは人造クローンイクラ人間の可能性が出てきた。南極大陸に入り口があると云われている地底領域に、イクラちゃんの「バブバブ帝国」シンジケートがあると見た。DNA鑑定を急がねば。

●波平は磯野だから表札がややこしい。「磯野波平・磯野フネ・磯野カツオ・磯野ワカメ、フグ田マスオ、フグ田サザエ、フグ田タラ」「磯野」という限り川魚は出せないし。しかしどうもフグ田姓は磯野姓に比べて蔭が薄い。タラだけが北洋っぽいし。マスは川魚。ははん、そうか磯野家の謎を解く鍵はどうも「黒潮」だな。ルーツはアボリジニか。

●何が「ははん」なのかよく判らないが、大阪バファローズに「礒部」という選手が居て、 中々大阪らしい兄ちゃん風である。 この人の姓は「礒」で「磯」ではない。意と語は同義だと思うが。

●波平は品行方正の見本の様だが、実は双子の兄、海平の二本髪を一本頭皮にチックで貼って、アリバイを作ってパチンコや浮気をしているかも知れない。双子はそういうところで共謀するものだ。

●小拙は、姉妹社から出ていた長谷川町子の『サザエさん』や『よりぬきサザエさん』を読んではいたが、『エプロンおばさん』や『いじわるばあさん』も好きだった。今は世の中全体がいじわる化しているので再放送は不可能だ。サザエさんを演じた江利チエミは近鉄バファローズファンだった。青島幸男はどこのファンか。

●「サザエの尻尾の緑色の一番美味しい部位」の拙宅での俗名は「ウンコ」であるが、果たして実態は何なのだろうか。しかしサザエのフタは何故あんなに堅くぴっしり閉まっているのだろうか。エサを食べたり出したりする時にフタはどうなっているのだろうか。そうか!「身も蓋もない」という言葉はサザエの消化器官運動を指すスパイ暗号だったのかっ!


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