個人情報保護法が審議されている時、多くの有識者が懸念したのは、政財界法曹会官憲の不正が保護される個人情報の対象となった場合にどうするのか? ということであった。つまり、個人情報という記号が付された瞬間、連中の不正は一切、追及できなくなるのではないか? という懸念である。


国 民 年 金 加 入 状 況 開 示 せ ず

 政府、与党は27日午前、民主党が求めていた閣僚らの国民年金加入状況に関する情報開示を拒否する答弁書を決定する一方で、衆院厚生労働委員会の理事会で、年金制度改革関連法案の28日採決を正式提案した。
 政府は27日午前の閣議で、閣僚の国民年金保険料未納問題に関連して、小泉純一郎首相や各閣僚、官房副長官を含む副大臣、政務官の公的年金への加入記録は「個人に関する情報であり、政府として答弁は差し控えたい」とする答弁書を決定した。

(共同通信)[4月27日11時32分更新] 


 個人情報保護法は'02年5月23日、参院本会議で成立。2年後の'04年4月1日、全面施行を開始した。そして早くも本当に早くも懸念した通りのオチがついた。誠意のかけらもない政治家どもは十二分にその恩恵に浴したわけだ。見事だ(冷笑) という印象しかない。こういうのを正真正銘の八百長というんじゃないのか。

 かと思えば、以下のようなやりきれないニューズがひっそりと紹介されている。


浅 田 農 産 が 廃 業 へ 養 鶏 場 の 買 い 手 なく

 京都府丹波町の鳥インフルエンザ感染で、同町の船井農場を経営していた浅田農産が、経営再建は困難と判断して廃業する方針を決めた。
 浅田農産は今年2月の感染発覚後、鶏卵などの取引ができず経営が悪化。飼育していた鶏計約177万羽を処分し、規模を縮小して経営を続ける意向を示していたが、販売ルートが確保できなかった上、風評被害などで再建は困難と判断。既に全従業員約200人の解雇を決め、30日までに金融機関などの取引先に廃業の方針を伝えた。

(共同通信)[4月30日12時3分更新]


 企業コンプライアンスの問題であると、気の利いたことを言ったつもりになっている無知な奴等が舞い踊る昨今、問題の本質は政府の対策の遅れにあることはちょっと考えればすぐにわかる話だ。

 浅田農産の事件が起こってからずいぶんたって、政府も重い腰をやっと上げ鳥インフルエンザの被害にあった農場の損失補填を実に実にのんびりと始めたが、鳥インフルエンザの脅威が叫ばれ始めた頃、迅速に対応していればこのような事態にはならなかっただろう。浅田農産の会長夫婦を自殺に追い込み、農場を廃業させたのは政府であり、正義の味方気取りのブンヤどもである。

 ところが一方ではこんな話もある。'01年の牛海綿状脳症(BSE)の際、政府は異常な迅速さで国産在庫牛肉買い取り事業を遂行した。この不自然なまでの速さは実は当然で、かの悪名高き国辱代議士 鈴木宗男が食肉卸最大手のハンナン グループ(本部・大阪市)と共謀して、BSEとは何の関係もない輸入肉や加工肉1000トン超を全国食肉事業協同組合連合会(全肉連)に買い取らせるために推進した事業だったのである。キロ当たり1500円程度というから、実に数十億円の利権が動いたことになる。

 事ほど左様に現在の政府と言うものは腐り切っており、たいていのことは全くやる気ゼロで、時たま珍しく迅速な行動が見られた場合には、必ず何らかの利権が絡んでいるのである。

2004年5月3日号掲載
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[猟奇的な日記]
八百長とは何か?
悪徳情報保護法と浅田農産、
その廃業とハンナンの
牛肉偽装事件

w r i t e r  p r o f i l e




今週の格闘技&プロレス


PRIDE GP 開幕戦 2004/4/25
さいたまスーパーアリーナ

小川直也 肩固め 1分34秒
ステファン・レコ


●最後の大物と言われた小川直也がPRIDEのリングに戻ってきた。小川はその強さをさまざまな場面で喧伝されながら、結局、PRIDEのリングを敬遠し続け、3年半もの間、プロレスのリングでタッグ マッチに精を出すという、実に楽な試合をしてきた。つまりは我々、ファンを3年半の間、裏切り続けたわけだ。

●今回、小川の言い分は実に明快だ。PRIDEの森下前社長は信頼できないが、現在の高田統括本部長は信頼できると言うのである。だが、実はこの信頼と言う言葉が何とも曲者なのだ。真剣勝負の総合格闘技 PRIDEにおいて、信頼できると言うのはどういう意味なのか?

●プロレスにおける信頼関係とは、真剣勝負を仕掛けないことを言う。あるいは、あらかじめ決まっている結末についてきちんと演じ切る事を言う。

●プロレスの技は基本的に相手との協力関係がなければ絶対に成立しない。つまりは相手を信頼して、腕の一本・足の一本も預けるわけであるから、それを裏切って逆関節を決めるような攻撃を仕掛けるのはご法度なのだ。当然のことである。こうした共同作業の結果、観客を熱狂させる素晴らしい大技の連発、華麗な攻防、胸のすくクライマックスが訪れるのである。これは決して八百長ではない。あくまでも高度に洗練された観客論である。

●森下前社長は小川に対して真剣勝負しか要求しなかったが、高田統括本部長はプロレスでもOK ということでGOサインを出したのではなかろうか? と考えると、肩固めに破れたレコにまったくダメージがなかったことや、いつになくリラックスしまくっていた小川の動向は全て説明できるのだが…

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