PC、携帯、プリンタ
WEAPONS

ュウカツはこの3つを持っていないとほぼ不可能だ。うちの家族は皆PCが苦手だから、故障しないようにとても気を使った。一度だけ、ある会社で筆記エントリーのページに入れずに問い合わせたりしたようだが、問題はなかった。個別セミナーはすぐに満員になったり、面接の希望日が埋まってしまったりする。いつ家にいて、何時にPCの前に座るかで──もちろんネットカフェや大学でもPCは見られるが──運命が決してしまう(^o^) という、ある意味、異常なネット活動だった。各社資料も紙類は少なくネットで調べることが多く、内定後の5月健診で娘は視力が大きく落ちていることが判明し、コンタクトに変えた。シュウカツでは、なにしろ相手はまず人間ではなくPCなのだ。PCを通して門を叩き、落ちれば誰にも会わぬままにハイ終わり、という感じだった。

 面接まで進むにはES(たいてい必要)を通過し、筆記(WEB上、社内、試験センター)を通過し──英語は別など筆記を2回やる会社などもあり、レベルはまちまちだが、同じような筆記試験もあったようだ──その後、面接が3回から5、6回。多過ぎ、長過ぎるのではないか。

 こんなことはPCを使うからこそ可能であるに過ぎない。中には、こういったやり方を見直したいという会社もあった。学生にしてみれば、出そうと思えば200社にだってESを出せる。でも先へ進めない。返事も来ない。その繰り返しで虚しくなり、やる気が失せて一人で落ちこんでしまう人もいると思う。落ちましたというメールが来るならまだ諦めもつくが、まったく何の通知も来ない会社も多い。いつまで待つのかもわからず、毎日PCのメールをチェックして一喜一憂する日々は、精神的にもきついと感じた。40年以上昔とあまりの違うので夫も驚いていた。

 PCを駆使したシュウカツでは、企業側が酷いミスをすることもある。

 朝PCを開けたら、なんと面接の申しこみが早朝5時から始まっていて、すでに10時に締め切られてしまっていた会社があった。さすがにこれには抗議電話が殺到したらしく、後日お詫びがあり、面接日が増やされた。また、これは誰もが知っている業界3位の老舗大手企業なのだが、面接では中年人事オヤジが肘をついて話すわ、日を限定した上で丸一日拘束するわ、対応が一番悪く、娘は通過しても辞退と決めていたが、幸い、2次で落ちた。驚いたのは携帯にワンギリをしてきたことである。なんだろう、知らない番号?と思いつつ、シュウカツ中のことであるから掛けなおすと、面接の案内だったのだ。

 こういう不手際はどこにでもあるだろうが、すぐにお詫びのメールを出すところもあれば、何も詫びない会社もある。人事の人数が足りないのだろうか。PCでの応募数が多すぎ、対応に追われて忙しいのかもしれない。PCを前提とするシュウカツには、会社側にとっても良い面、悪い面があると思う。こうしたシュウカツというのは、始まってもう何年ぐらいたつのだろう。電話といえば、家の固定電話に人事が掛けてきた会社が2社ほどあり、私が出てしまって、驚いた。娘が携帯に出られなかったからそちらへ掛けたのだろうか。

面接も大変
PERSONAL INTERVIEW

接の日時予約にはかなり悩まされた。そこまで通過したのは幸運とも言えるが、シュウカツは結局最終に通るかどうかが問題なのであって、4次まで通っても最終で落とされれば何の意味もない。少しは勉強にはなるか? 日時が限られ、他と重なって受けられないこともあった(競合する会社同士でわざと同じ日にしているのではないか)。どちらをとるかをすぐに決めるのは難しい。

 選考期間がとても長く、どうしても入りたい学生だけに絞っていると感じられた会社もあった。まあここでもいいか、という学生は待ちきれずに辞めてしまうだろう。長い選考だと1月から5月初めまでかかり、その間何回も呼ばれ、拘束されることになる。あくまでもその日一日を拘束してしまおうという魂胆か、遠く行きにくい場所に会場を設けて試験や面接をする会社も数社あった。交通費はかかるし、くたびれる。うちは都心なので、遠くても1時間半ほどあれば行けたが、大変な学生も多かったと思う。交通費は最終面接かその前あたりにならないと出ず、最終まで残ることができたのは5社ほどだった。面接開始時間も早いと朝の8時15分などだから、遠い子は大変だと思う。遅刻して諦めた子もいたらしい。

 娘は都心在住で定期も持っていたものの、交通費を計算すればかなりの額になったと思う。横浜、千葉方面などの場所を指定してくる試験もあり、遠い人には大きな負担だ。節約して、できるだけまとめて回る計画を立てる友人もいたそうだ。往復1000円として50日動けば5万。早く決まれば安くあがるが、実際は1000日位は動いたと思うし、もっとかかると思う。最終日まで交通費が出ない社がほとんどだ。

2007年12月24日号掲載

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