90's Premier Records Part.1
90年代アナログ名盤(前編) 2014/06/29



アナログ氷河期に生まれた名盤たち
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 最近アナログ盤がまた脚光を浴びている。欧米では販売数が年々増えているそうだ。
日本でも同様なのかローソンHMVは何と「今後も需要は拡大する」っていって渋谷の
宇田川町に大型中古レコード店を開店するという話だ。いまどき。まあ、今から音楽メ
ディアの主流に復活することはないと思うが、それでもフィジカルな音楽商品の王者に
は返り咲いちゃうかもしれない。

 そんなアナログ盤も瀕死状態というか、絶滅寸前の時代があった。
90年代である。
この時代のアナログ盤は元々プレスされたレコードの生産数が少ないため、今や価格が
高騰、ディスクユニオン等では最近頻繁に90年代からの近年盤セールをやっている。

これはなんだか面白いことになってるな、ということで今回90年代アナログ盤を特集
してみた。
90年代も、中期まではすでに20年以上経ってしまっているので、堂々廃盤状態だ。

 まあ、我々がわかっている限りなので、ちょっと拙いかもしれないし、40-50代のオ
ールドファン対象だから、オアシス、ブラー、スマパン等、90年代のメインストリーム
バンドはあまり出てこない。

 その点はご容赦いただいて、さらに、アナログ盤もジャケットは紙製で紙ジャケだと
いう無理矢理なこじつけもご容赦いただいてご覧いただければ、と。


================================================================================================================= 90年代アナログ盤の魅力 50-70年代のアナログ盤はほとんど掘りつくされ、値付けもある程度固定されていて、足 で探してもそうそう激安モノとか驚くような出物に出くわすことはなくなってしまった。 しかし、90年代盤は違う!まだまだ、 え?こんなのアナログで出てたの!? といった驚きや、オークションで数万とかで取引されているものをある日ポロっと2千 円くらいで見つけちゃうような、 掘り出しものがある! ひょっこり激安で買えたりするのである。このへんは90年代盤ハンティングの醍醐味だ。 また、保守的というか、変化を好まないというか、ヨーロッパではCDへの移行がゆるやか だったため、90年代もアナログの需要が引き続きあったようだ。したがって欧州盤はある が米国盤がないといった、80年代までとは違う各国盤の逆転現象が発生している。 英盤と米盤が両方リリースされていても 米国盤の方がレア といったアナログ盤のそれまでの歴史をくつがえす逆転ケースが多い。 しかも米盤が本国盤であった場合、米盤の方が音がいいのに数が少ないといった大変困 った状態になっていたりする(まあCD買えばいいのだが)。 こうした盤は当然ながら高額のプレミアがつく。 ディランなどは大変である 肝心の音質はどうなんだ?90年代なんてCDがオリジナルなんだからCDでいいじゃないか? アナログ盤の方がいいのか?といった音質の問題はオイオイ記していこうと思う。 それじゃ、まずこちらから!
================================================================================================================= 90年代アナログ三美神 中古市場では70年代初期のブリティッシュフォークは大変人気があり、特にフィメー ルというか、女性ヴォーカルものは高い。 そんな中でも人気の3枚は、英国フォーク三美神といわれ(うまい言い方だ)、いま でも高額で取引されている。
英国フォーク三美神
もちろん本物は高くて買えないので、全部紙ジャケである(笑)。 左からスパイロジャイラの3rd、チューダー・ロッジ、メロウキャンドル。 いずれも ・女性ヴォーカル入りで、 ・比較的レアでマニア心をくすぐり、 ・プレミア価格で取引されている といった点が共通している。 個人的にはチューダーロッジの7曲目以降(アナログ盤でいうB面)の流れが好きで、 B1の中世的な始まりから、最後の英国牧歌的な佳曲『キューガーデン』まで陶然と聴 いてしまう。 こんな感じのものが90年代盤にもあるだろうか?と思ってまずは選んでみた。 どっちかっていうとフォークというよりシンガーソングライター系ではあるが....。
90年代熟女3美神?
左から ・The Hunter/Jennifer Warnes 1992/Private Music/Germany ・Pop Pop/Rickie Lee Jones 1991/GEFFEN/Germany ・Wrecking Ball/Emmylou Harris 1995/Grapevine/England (ジャケの右下にあるのは発売当時のCD) 三美神というか、熟女三美神というか(失礼!)、いずれも ・女性アーティストで ・マニアックな人気があり、 ・音質的にも評判がいい (ま、そのへんは各自いろいろあるかと)。 そしてどれも当時米国盤が出ていなかったアナログ氷河期の盤である。 オーディオファンに人気の「ハンター」

レナード・コーエンとの活動で知られるジェニファーの92年作。 ジャケがカラーになっての再発高品質盤(左)も出ている。 このアルバムに関しては2011年に記事を書いているので再録してみよう。 *以下、2011/10/22の記事の再録。 今回はジェニファー・ウォーンズの「ザ・ハンター」です。 別に紙ジャケやハイレゾが出たわけじゃないのですが、秋の夜長に聴いていた もので。 ジェニファー・ウォーンズは「愛と青春の旅立ち」をジョー・コッカーの横で 歌っていた女性ヴォーカリスト。 で、非常に良質なヴォーカル・アルバムを何枚も出しているのですが、なぜか このアルバム、オーディオファンの間でかなり有名なようで、今年になって 1枚12万6千円!!100枚限定というガラスCDまでリリースされました。 確かにヴィニー・カリウタ、ロベン・フォードなどの一流ミュージシャンが 参加し、エリオット・シャイナーが録音&MIXを行った素晴らしい音のアルバ ムではあるのですが、 リリース当時の1992年という年代を考えると、そんなにこれ1枚だけ突出して 凄い録音という印象はありませんでした。 (私はドナルド・フェイゲンが参加していたのでチェックしたのですが) でも、1992年の発売以来、ゴールドCD、ブルースペックCD、そしてガラスCDと 高音質フォーマットでリイシューが続き、どれも話題になっているということ。 なんで? 実は8曲目の「ウェイ・ダウン・ディープ」という曲の低音が凄い、ということ らしく、オーディオフェアやオーディオ・チェックでよく使われている、と。 ほほう。 しかし、その曲はパーカッション・アンサンブルをバックにジェニファーが歌う、 というもので、低音楽器といってもスルドくらい・・・そんなに凄いと思えなか ったのです。 ところがある日、知り合いが集まっての試聴会のようなところで、このアルバムの カラーのジャケットがあり、それで聴いたら、まさしくドゥオオオン!っと鳴り響 いているではないですか!? (ちなみにPCオーディオでの試聴でしたので、iTunes上にカラージャケがあった)。 こ、これは。 このアルバムにカラージャケ版があったのね・・・・・。 右がそのカラージャケ盤。2008年にバーニー・グランドマン・スタジオのクリス・ ベルマンがリマスターしたもので、最初のCDのマスタリング時にセーフティで作成 されていたアナログマスターを使ったとのことです。 米CISCO MUSIC発売、限定シリアルナンバー入り重量盤。 今年になってIMPEX RECORDS(旧CISCO MUSIC)から再発されました。 右は1992年の発売当時、ドイツでリリースされたアナログ盤。 当然おおもとのBMG(現SONY/BMG)が発売元。 90年代初頭は、CDのマスタリング/カッティング技術がまだ発展途上だったのか アナログの方が音質がいいものが多々あって、中古市場でもプレミアがついてい たりします。 もちろん、当時アナログ盤は終わったメディアとされていて、数が少なかったため 希少価値がついているせいもあるでしょう。 ヴァン・ヘイレンの「F.U.C.K.」のように米欧で出たものもありますが、 欧州だけのものも多く、このアルバムもアメリカではアナログリリースは なかったそうです(今やそんなことはないでしょう。歴史って不思議)。 表紙のカラージャケは、モノクロに着色したのではなく、 元々はカラー写真で、そこに更に彩色やエフェクトを施したのではないかと。 そうするとオリジナルのモノクロジャケは色をぬいて加工したことになります (間違ってたらごめんなさい)。 ヒジのシワ(って・・)。 赤矢印のところ、オリジナルのモノクロジャケではていねいにヒジのしわが消されています。 (この検証はちょっとジェニファーに失礼か?) 元のカラー写真は、服や矢じりの色、全体の色味も含めて裏ジャケの写真に近か ったんじゃないかなぁ、と。 その裏ジャケの写真です。 オリジナルと再発ではまったく違ったものに。再発版ではジェニファーの顔がUP。 元の後ろ姿の方が雰囲気があって好きですが・・・。 また、インナーもオリジナルは袋タイプで、文字やレイアウトにも気を使った 配置となっています。 再発は袋ではなく、ペラのインサートタイプで、ズラーっと歌詞がならんで 印刷されており、レイアウトも何もない、ってな感じです。
オリジナル?というか、発売当初に出たドイツ盤LPのレーベル。 さて、肝心の音質ですが、オリジナル盤は非常にさわやかで、スッキリしており レンジも充分で、たいへん良いサウンドを満喫できます(まぁ、もの凄い、という わけではありませんが)。 ジェニファーのヴォーカルもナチュラル。バックから適度に分離していて 落ち着いて聴くことができます。 CISCOリイシュー盤のレーベル。値段はこっちの方が高かった(涙) CISCO盤は低音がかなり押し出された感じで中低域が強く、ドォーンとして 迫力はありますが、バスドラなどの低音のアタックはぼけていて、ベースは 太ってます。 肝心の「ウェイ・ダウン・ディープ」はアナログ盤ではB面3曲目。 一番低音のパーカッション(スティーヴ・フォアマンの演奏するスルド?) が確かにドォオオンと余韻をひきます。 えーっと、グランカッサとかバスドラじゃないんだから こんなに低域が不要に強くなくてもいいんじゃないかと・・。 逆に不自然? オリジナル盤のように低音の余韻がスーっと空間に消えていかないので 音量をあげると耳を圧迫して痛いくらいでもあります。 個人的には不要な低域はローカットして欲しいとは思うのですが、 そんなに大音量で聴かなきゃ、まったりとした高級感があって ラグジュアリーなサウンド?でもあります。 後は好みの問題、それからお持ちのオーディオにもよるのかもしれません。 あ。だからオーディオチェックに最適なのか! この低音が心地良く鳴ったらいいわけですからね。 話題のガラスCDや、ゴールドCD、ブルースペックCDもそのうち聴いてみたい な、思ってます(紙ジャケで出たら買うんだけどなー)。
アコースティックな編成と特徴的な歌声がアナログにはまる「ポップ・ポップ」

元はトム・ウェイツに見出された不良家出娘(笑)。 このアルバムは基本ドラムレスで、アコギとウッド・ペースを中心にしたアレ ンジだ。リッキー・リーの特徴的な声質がアコースティックな編成の中で浮か びあがる。
91年のオリジナル盤のレーベル。ドイツのみで出たようだ。 音質は最初の米盤CDに近く、スッキリとしていてヴォーカルも変にふくらんだ りしていない。 生楽器主体のサウンドなので、やはりアナログ盤で聴いてみたいと思う人が多 いのか、何度かアナログで再発されている。
左が比較的市場に出回っているaltoの重量盤再発。BG刻印があるのでバーニー・ グランドマンのリマスター/カッティングだろうか。
上がオリジナル盤で、ART・NO・T209という独自品番?がつけられている。 再発のalto盤にはない。
裏ジャケ。下がalto盤でAA008が品番だろうか。 音質はこの時代に至っても不思議なことにオリジナルの方がスッキリと爽やか で、鮮度も高く感じる。 再発盤は重量盤であるがもっさりした印象。 全く同じスタンパーからプレスするなら盤が重いメリットはあるのだろうが、 基本的に再発盤でそういうケースはないだろうから、単純に重量盤の方が音 がいいということにはならないように思える。 U2のサウンドで絶品歌姫を堪能できる「レッキング・ボール」のアナログ盤

ジェニファーがレナード・コーエン、リッキー・リーがトム・ウェイツなら エミルーはグラム・パーソンズか?(しかしこの紹介もどうかと思うが)。 プロデュースはダニエル・ラノワであるが、もはやプロデュースというより 共同制作。彼のアルバムにエミルーをヴォーカリストでよんだような仕上が りである。 U2はもちろん、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ロビー・ロバートソンの 一連のアルバムで聴けるラノワ独特の音響。 その深アメリカ的アプローチによるアンビエントなサウンドトリートメント の上で、エミルーの絶品ヴォーカルが浮遊する。 まさにオルタナカントリーという名称にふさわしいが、もともとエミルーは グラム・パーソンズといっしょに活動していたのだから、元祖オルタナカン トリーの歌姫ともいえる。結果、見事にこのサウンドにマッチしてしまった。 ほとんどの曲でU2のラリーがドラムを叩いている上に、ギターとアレンジが 基本ラノワなので、バッキングのサウンド、特にヴォーカルがない部分など はほんとU2かと思ってしまうくらいだ。 U2のバックサウンドの上に、ボノではなく女性ヴォーカルがのる。暑苦しく ない(笑)。で、歌うのはニール・ヤングとかジミヘンの曲。 初めて聴いた時はけっこう衝撃的だった。 また、そうした企画的な部分を超えて素晴らしい内容であり、エミルーを世 に再認識させたエポックメイキングな1枚だ。95年にリリースされ、グラミ ー賞の『Best Contemporary Folk Album』を受賞している。 (Wikiでは"1996 Grammy Award for Best Contemporary Folk Recording" と記述されている)。 2014年にはボーナスディスクつきのデラックス版も出たし、そのハイレゾも HDTracksから配信されている。
いやー、しかしこのアルバム、アナログで出てたんだ!とホントにビックリ した1枚である。 私もずーっとCDで聴いていたので発見した時の喜びもひとしおであった。 何しろ発売がアナログ盤絶滅カーブのどん底、1995年。基本出るわけがない。 ちなみに、この三美神の中でも最も高額だったが、もはやこれはしょーがな い、という心境。
元は米国Elektraが発売元であるが、英国ではCDもGrapevineから発売された。 そのGrapevineがやってくれたのだ。 米国ではそもそもアナログ製造工場すらなくなりそうな頃である。 そんな中、英国では限られたアナログ需要にどうやって答えるか、もうギリ ギリの選択をしたと。 何かというと、インナー。解説。いわゆるCDブックレットをどうするか? 結果、インナーは、CDのブックレットをそのままつけたようである(笑)。 もはやアナログ用にでかい紙にレイアウトしなおして印刷する予算もないし、 印刷数も極小だったのだろう。
CDのブックレットがついてるw 手前は当時のプロモシート。エミルーが金髪になっちゃってビックリ。 いや、不満はないよ。もうそれでいいよ、という感じだ。 むしろよくアナログ盤出していてくれました、と。 そして出来上がった英国アナログオリジナル盤!
プレスはEMI系のようで、マトは"A-1-1-"といった例の形式。 そう、U2のレコードでさんざんお目にかかっているヤツである。 必然、音質的にはU2度がさらにアップ!おいおいーこりゃまんま...。 低音は米国CDよりスッキリ気味に感じる。 ドラムが前に出て、低域のズォーというアンビエント成分が背後にいってい るためだ。 そのため全体に奥行き感が出て立体的に響く。これがアナログ盤の利点の一 つだろう。 もちろんヴォーカルはCDより前に出て、さらにニュアンス豊かに響く。 いやー、やっぱり英国オリジナル盤いいな(笑)。 ラノワが探求したルーツ・アメリカの一つの到達点というべき、カントリー アルバムが、英国だけでアナログ盤が出るという歴史的ねじれ現象。 1995年というアナログ盤における特異な事情の結果だけれど、もはや音楽史 的にも重層的な意味が感じられて感慨深く聴いてしまう。 次作の『Red Dirt Girl』もオルタナ的な名作なのだが、さすがに2000年、 もうアナログ盤は出なかったようだ。 残念。 昨今のリイシューも当時アナログが出ていたものの再発ではなく、当時出て いなかったものをアナログ化して欲しいと思う。 (ジャズでは韓国発売で90年代の名盤がアナログ化されはじめているが)
================================================================================================================= いわゆる90's ディーバたち 上記の3枚はどれも素晴らしいヴォーカルを堪能できるが、いやいや、そんな ベテランの方々ではなくて、当時イキのいい歌姫たちもいただろう、と。 そうである。基本90年代はディーバの時代(というか古来、音楽は女性の歌が 主役なのだが)。 90年代の歌姫といえばやはりこの人だろう。 デビューがまさに90年だ。 マライア・キャリー

マライア・キャリーは基本全作品アナログ盤で出ているし、DJ使いの12イ ンチも多い。 左上から時計回りに90年のデビューアルバム、92MTVアンプラグド、95「オ ープンマインド」の12インチ、94クリスマスアルバム。 ジャズファンやオーディオファンには何故かクリスマスアルバムが人気が 高く、けっこうなプレミアがついている。
打込みがキツイのがどうも、という方にもデビューアルバムとアンプラグ ドはオススメできる。 特にデビューアルバムは1曲目からマーカス・ミラーのブリブリいうベー スが聴けるし、ナイル・ロジャーズのギター、ナラダ・ウォルデンやオマ ー・ハキムのドラムもアナログで聴ける。 特筆ものはリチャード・ティーのピアノだけをバックに、マライアのヴォ ーカル&コーラスを堪能できるA面ラスト。これ1曲だけでもアナログ盤 で一度どうぞ。 アンプラグドに顕著だが、あの超高域の"ホイッスル・ヴォイス”はアナ ログ盤だとしなやかに響く。もちろんCDでも装置次第では可能だとは思う のだが。
面倒なのは、こういう90年代でもメジャーなアーティストは各国でアナロ グ盤が出てしまっているということ。 マライアのデビューアルバムも各国盤がある。 主要なところで、左が米盤、右が英盤。 デジタル録音なんだから変わらんだろ?っと。 そう願いたいのだが、やはり違うのである。 で、やっぱり本国盤の米盤の方がいい。ひー。 音の立ち上がりがよく、伸びもスムーズ。要するに鮮度が高い状態。 なんでだか、わかりません! マライアの初期も90年の1st、91年の2nd、93年の3rdまで米国盤がリリースさ れている。その後99年の『レインボー』あたりからまた米盤が復活するよう である。 こうなると面倒である。 90年代アナログは ・まず、アナログで出ているか? ・次に、どの国から出ているか、本国盤はあるか?←イマココ という状況なのだが、このままいくとまだある! ・で、最後にレーベルやマトで初版や二版などがあるか? 90年代盤もやはり、ここまで掘らないいけないのだろうか...。 (誰もやれ、とはいってないですね、はい)。 ちなみに私のマライア許容範囲は95年くらいまで。 肉食系になってからはちょっとムリな感じである。
肉食系に変貌後
写真上は98年のベスト盤。米国盤。 左下のCDはこの特集のために買って来たが、100円だった。 アナログは今やその数十倍で取引されている。 シュリンク、ステッカーつきだとさらに高いようだ。 え?マライアって高いの?新古品で1500円くらいで出てた時に買っ ておけばよかった! と思った方、いやホントそうなんである。あれよあれよという間に 値上がりしているのだ。まあ、高いのはLPだけでシングルはまだ数 百円で買えるのだが...。 写真下は05年のシングルでオランダ盤。 (追記)2014年9月:マライアの続きはこちらでどうぞ→ マライア・キャリーのアナログ盤
マドンナ

マドンナの90年代は92年の『エロティカ』で幕を開け、 98年の『レイ・オブ・ライト』で終わる。 音楽的にもこの『レイ・オブ・ライト』が頂点だったように感じる。
『エロティカ』の裏ジャケ
『エロティカ』も各国盤があるが写真は安めのEU盤。 やはり米国盤が人気がある。 英国では写真の裏ジャケのデザインでピクチャーディスクを発売しよ うとしたが猥褻すぎて?発禁処分。 今では途方もないプレミアがついている(笑)。 (なお、本物の発禁英国盤ピクチャーディスクに限ります)
『レイ・オブ・ライト』は珍しく日本盤アナログがリリースされた。 同時にクラプトン『ピルグリム』、エンヤ『ウォーターマーク』と合わ せて発売することで数をかせいだのだろうか。 ドイツプレスの重量盤で日本製のジャケット。 このピンクステッカー付きのアナログは海外でもプレミアがついている。 ジュエル

米国系のディーバではジュエルの95年1stもアナログで聴いて心地よい アルバムだ。 アコースティック主体で録音されているからだろう。 2枚目3枚目もアナログ盤がリリースされている。
1stアルバムは伝統の赤緑アトランティックレーベル。 CDより5曲多く収録してアルバムD面に収録している。 CDをアナログ盤にする場合、60分前後だと1枚半、3面で収録できる。 そのため4面目があいてしまうか、無理矢理1枚におさめて2面にする か悩みどころだ。 こうしたLPならではのボーナス収録をして2枚組にするのもいいが、 個人的にはなんとか曲をけずって1枚分の収録曲にしてもらう方が好き である。 やはり45分くらいが集中して聴ける限界なのと、アナログからオミット された曲は付録ダウンロード音源などで聴けるようにできるからだが、 まあ作り手側からすればそうもいかないのだろう。 セリーヌ・ディオン

セリーヌはカナダの歌姫だが、90年代に世界でブレイクした印象が強 い。「美女と野獣」「めぐり逢えたら」「タイタニック」と映画主題 歌のヒットを連発したせいか。 93年の『The Colour of My Love』は「めぐり逢えたら」の主題曲収録 で、近年高騰気味の1枚。 写真は1曲多いインターナショナル仕様のEU盤で、青ステッカー版。 この他に白ステッカー版もある。 セリーヌは韓国でも大変な人気のようで、KOREA製のアナログも市場に 多く出回っている。 最大のヒット曲「タイタニックのテーマ」を収録した97年の 『Let's Talk About Love』はアナログ盤がリリースされていないよう だ。このアナログ、出たら売れそうなんだけどな。 その他のディーバたち

当然ビョークも90年代のディーバの一人である。 写真右が93年『DEBUT』のイギリス盤で写真集つき。 左が95年2nd『POST』のイギリス盤でピンクのアナログ盤。 個人的には3枚目で人間やめちゃったようなジャケットになってから はあまり熱心に追いかけていない...(ファンの方すいません)。 当時からアナログ盤で高いセールスを記録していたアーティストなの でそれほど高額にはなっていない。
写真左、エンヤの2nd『Shepherd Moons』は91年。 右、ケイト・ブッシュの『THE RED SHOES』は93年。 同じくアナログでもかなり売れたためプレミア度は低い。 ケイトはこの後05年まで沈黙する。
ヴァネッサ・パラディもいたなぁ(だんだん想い出話に) 90年のセルジュ・ゲンスブールによる 『Variations sur le mme t'aime』(ヴァリアシオン)写真右上 92年のレニー・クラヴィッツによる 『Vanessa Paradis』(ビー・マイ・ベイビー)写真左上 この2枚は良く聴いた。 そのレニクラも91年に『Mama Said』という名盤をリリース(写真は 英プレスの英盤。EUプレスの英盤もある) 93年の3rd『Are You Gonna Go My Way』は珍しく日本盤アナログも 出た(写真右下)。
リズ・フェア93年のデビュー・アルバム『Exile in Guyville』も衝 撃的だった。
オーディオ的に外せないのが、96年のカサンドラ・ウィルソン 『New Moon Daughter』(写真右)。 このアナログ盤はとんでもない。 CDもハイレゾもこんな音ではないのだ。 とにかく冒頭の「奇妙な果実」からギターがジャキーン!、ベース がズゴーン!ヴォーカルに至っては地の底に引きずりこまれそうだ。 なんでこんな盤が出来ちゃったんだろ?
アナログ盤の帝王、栄光のBLUE NOTEレーベル
レーベルは憧れの青白ブルーノートデザインなのだが、これ、英国 盤なのである。96年当時、米国ではアナログ生産など難しかったの だろう。 英国のエンジニア、プレス工場の人が、憧れのブルーノートの音を 俺たちで作ってやろう!レーベルに恥じない音にしてやるぜ! とでも思ったんではないだろうか? それくらい凄い音で、ブルーノート×英国盤の相乗効果というか、 もはや音の破壊力にひれ伏すしかないような名アナログ盤である。 オークションでもの凄い値段になる時もあるが、ひょんなことから 安く買えてしまうこともあるようだ。 昨2013年にPure Pleasure Recordsから180g盤も発売されたが、音 は確認できていない。
========================================================================================= 前編はこのへんで ... しかし、この時期の新譜は16bitのデジタルレコーディングが多いと 思うので、アナログ盤にしても音質的に良いの?、かというと、鮮 度はまあ変わらない場合が多い。 良い所はやはり、ヴォーカルがポッと前に出る感じ。このあたりは アナログ盤ならではだろう。 奥行き感、前後感などがCDより出やすいのだと思う。 もちろんCDでもセッティングされた良い機器であれば可能なのかも しれない。 逆に解像度はCDほどではないというか、細かい音などは背後に回っ て溶け込んでしまう。そんなシンセやパーカスの細かい音は別に いいよ、って感じもするから、よりゆったりとヴォーカル中心に音 楽を楽しめる場合が多い。 そして、プレミアがついたレコも、70年代は高くて買えないが、 90年代はまだ買えるのである。 次回は90年代の美ジャケットアルバムや、大物の90年代盤をとりあ げようと思っている。

=================================================================================================================== <了>2014/06/29
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