90's Premier Records Part.2
90年代アナログ名盤(後編) 2014/07/10



アナログ氷河期に生まれた名盤たち
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後編は美ジャケ盤、名盤のアナログなどを紹介していこうと思う。さらにとりとめなく
なってしまっている点はご勘弁を。

しかし、90年代のアナログ盤は、レアとはいえヒップホップやR&Bなどのクラブミュー
ジック系12インチはガンガン出ていたので、製造枚数自体がそんなに少なかったとは
思えないのだが....。

例えば90年代を代表するこの有名Pのアルバム、

 
BABY FACEの『The Day』 マライア・キャリー、エリック・クラプトン、スティービー・ワンダー等豪華ゲスト 参加。96年の米盤なのだが数百円でゴロゴロしている。 よほどアナログでも売れたのだろうか?それともこの手は値がつかないのか。 片やいつのまにか信じられないくらいの高騰ぶりを見せている盤もあるのだ。 ================================================================================================================= 90年代美ジャケLP3選
美ジャケというか美女ジャケ 90年代でもアルバムの「ジャケ買い」というのはあるわけで、ならばやはり12cmのCD より、30cmのLPサイズの方が愛でる甲斐があるというものだ。 アナログ盤の魅力はジャケがでかいこと! 必然的に人気のあるジャケのアナログ盤はプレミア化する傾向にある。 左から ・This is Hardcore/PULP 1998/Island/England ・Drop Out/East Village 1993/HEAVENLY/England ・Girlfriend/Matthew Sweet 1991/ZOO Entertainment-BMG/US 前回の三美神とは違って、ジャケに映る女性が歌っているわけではない(むしろ 歌っていたらどんだけ高くなるか怖い)。むくつけき、もしくは頼りない男ども が歌っている。 ピーター・サヴィル、やっぱり変態?

ヌメヌメとしたコーティング。インナーもかなり... パルプの『ジス・イズ・ハードコア』はタイトルもタイトルだが、アートワーク がそれに輪をかけて...。と思ったらジョイ・ディヴィジョンを始めとするファク トリーレコードでのデザインでおなじみ、かのピーター・サヴィルだった。 やっぱり奇人変人の類いか。
内ジャケはしょうがないとはいえ、ちょっとガッカリ(笑)。 最初CDで聴いた時は、なんか気持ち悪いバンド、と思っていたのだが、アナログ で聴くとダークな色調が強調され、陰影が際立ってそれなりに聴けてしまった。 2枚組は長いので1枚にしてくれればもっと良かったが...。 クリス・トーマスのプロデュースでオリンピックスタジオ録音による伝統の英ア イランド盤。英盤らしいコーティングがより妖しさを強調するジャケット。
ヒプノシスの「100 BEST ALBUM COVERS」本にも選出されているので、まあ、い いジャケであるといってもいいのでは?と。
ちゃんとモデルを呼んで撮影した堂々のオリジナル写真を使用。 金かかってますわ。 出てから1年くらいして中古屋で見つけた時は1500円くらいだった。アナログ出 てたのかー、いつか買おうー、っと思っていたら、それ以降なかなか見つからな い。しょうがないのでebayで買おうとしたら張っても張っても落とせない(笑)。 どんどん値があがっていくからで、ホントに入手がやっかいなアルバムだった。 再発アナログも出ているようだ。 このジャケは卑怯だろー(笑)

ザラっとした質感のテクスチャージャケ もう、このジャケ見たら、どんな音がするか想像がつくのではないかと思う。 ギターポップ?ネオアコ?青春ブリティッシュもの?はい、その通り。 (私的にはこれでデスメタル系もなかなかいいが)。 イースト・ヴィレッジの『ドロップ・アウト』は、まさにジャケが内容を表す 好例、ど真ん中直球ストライクな1枚だ。
オリジナルは裏ジャケ右下にバーコード付き メンバー写真。 やってるのはこんなおされっぽい奴らである。表紙の娘は歌っていない。 解散後の93年にリリースされた唯一のフルアルバム。それまでのシングルもジャケ のデザインは優れていた。メンバーにSaint EtienneのPV担当とかもいたようで、 やはりヴィジュアルのセンスがよかったんだろうか?
表紙の写真は雑誌を眺めていて、これだ!っと選んだ1枚だという。 クレジットを見るとキャスリーン・ハムネットから借りてきたようだ。 要するに借ポジだが、センス1発でこの名ジャケをものにしたわけである。 日本も含めて根強い人気があるようで何度も再発されている。 2002年に日本盤LP、 2006年にはデラックス盤紙ジャケ、 2013年に英盤再発LP(バーコードなし)がリリースされている。 オタク魂炸裂?の名アナログ盤

光沢のあるジャケットに美女の写真が映える アニメオタク、マシュー・スィートの出世作『ガールフレンド』。確か日本盤のCD レーベルには寺沢武一の「コブラ」を使っていたと思う。
右が『ガールフレンド』の裏ジャケで、これはちょっとカンベンしてくれ、と。 表を見てオッいいジャケだなーっと、裏をかえした途端、ギョッとしてしまう。 あーやっぱり表紙の女性は歌ってなくて、中身はコイツなんだなと現実に引き戻され る仕様である。 左がデビューアルバム。その手前が当時のプロモフォトだ。この頃はまだ美青年とい うか後年のオタク満開の姿にはなっていない(笑)。
表紙の写真は50年代後半のチューズデイ・ウエルドのものとクレジットされている (ボケててすいません)。 NY出身の女優で、ヒッチコックの「間違えられた男」でデビュー。「ミスター・グッ ドバーを探して」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」にも出演して いたという。
そしてこのアナログ盤、BMG傘下のレーベル、ZOOエンターテインメント発売の米盤な のだが、製造はなんとClassic Records社だ。 え?91年にあったんだっけ? 91年だから、ホントに初期のクラレコだろう。BG刻印があるので名手バーニー・グ ランドマンのマスタリング/カッティングだと思う。いいアナログ盤を作るぞ!とい う気概を、針を落とした瞬間から感じることができる(もう曲が始まる前の盤音が 来るぞ!っていう感じなのだ)。 音の立ち上がり、粒立ちがCDを凌駕している。 フレッド・マーのプロデュースで、リチャード・ロイドとロバート・クワインがギタ ーで参加。リチャード・ヘル、テレビジョン、ルー・リードといったNYアンダーグラ ウンド直系のサウンドを堪能できるアナログ盤だ。 (残念な事にクラレコは2010年に破産してAcoustic Soundsに買収された)。 素晴らしいのはCDだと15曲収録のところを12曲に削って、LPにあわせているところ。 クラレコのこだわりなのか、マシューのこだわりなのかはわからないが、この仕様で いこうと決めたマシューのオタク魂に感謝。 ジャケもいいし、音もいいので以前からプレミアがついていたのだが、それにしても 最近配布されたユニオンの買取カタログを見てビックリ!
何?か、買取が、は、八千円!? こりゃ売値は立派な万級アイテムである。 いや〜、凄い。まさかこんなに値上がりするとは(高いうちに売っちゃおうかな)。 その他の美ジャケ?アナログ盤

美ジャケというか、ほとんどエロジャケに近いものもあり、まあ、これもひとつ のアナログ盤の楽しみというか...。 写真上左がKのレッド・クレイオラ『amor and language』。95年のdrag city盤、 米盤である。メイヨ・トンプソンによるレッド・クレイオラは60年代のCの The Red CrayolaからKのThe Red Krayolaになり、ここに名?ジャケ盤をリリース。 drag cityはジム・オルーク等もリリースしているが、御大もここに合流したわ けだ。9曲入りで12"EPという扱い。裏ジャケもなかなかエロいので気になる方 は確認されたし。 (希望あればTwitterで"クレイオラの裏ジャケ希望”とリクエストを!) あろうことか2ndイシューではモデルがTシャツ姿になったヴァージョンに変わって いる。 はっ!そうではなくて、そもそももしかしてこれは、初回だけスケてるという、初 回限定スケブラジャケ?(だとすると流石やるな、メイヨ)。 写真上右がウィーンの『CHOCOLATE AND CHEESE』。94年米盤。裏ジャケは当然、表 紙のモデルの後ろ姿である。やっぱりステッカーの貼付け位置は指定したんだろー な。 似た感じでブラック・クロウズの『アモリカ』も下品な感じのジャケ。ストローク スの『Is This It』もこの類いのジャケだろう。いずれも人気があるようで、一つ のカテゴリーを形成しそうなジャケ類である。 写真下はベル&セバスチャンのデビューアルバム『タイガーミルク』。96年に1000 枚のみリリースされた、まさに90年代プレミア盤の王者で値段も半端ない。 写真はもちろん目玉が飛び出るオリジナルのElectric Honey盤であろうはずがなく、 今でも2千円程度の99年のJeepsterによる再発。いずれも英盤だ。これもまあ美ジャ ケではあるが、エロさはなく、不思議系だ。 追記07/11 下品だ、などと書いていたらブラック・クロウズの情報をおよせいただいた。
やっぱ下品じゃんww 94年発売の3rdアルバム。 この『アモリカ』というか『ア毛リカ』というか、はみ出しちゃってるわけ で‥…そのせいで当時発禁となり、三角布の背景が真っ黒に塗りつぶされた ジャケもあった(今は元のはみだしジャケに戻っているが)。
どうしたってジャック・マクダフの貞操帯ジャケを並べてみたくなるが、さ らに下品になるのでやめておこう。
裏ジャケは普通。
欧州盤も米盤も初回限定は白盤だが、やはり米盤がオリジナル。
インナーには当時頂点を迎えつつあったバンドの姿が(右上除く)。 当時は色々な意見があったが、今年で発売20年、この間に徐々に評価があが り、結局この『アモリカ』こそがブラック・クロウズの最高傑作であるとと もに、90年代アメリカン・ロックを代表する1枚として(こんなジャケのく せに)君臨しつつある。したがって、これもまた高額プレミア盤だ(笑)。 ブツおよび写真は万華さん(?)からご提供いただいた。感謝。 ================================================================================================================= その他大物系 もちろん大物であればこのアナログ氷河期でも一応リリースはされている。 ざっと手元に出て来たヤツだけでもあげていってみようと思う。
写真左上から時計回りで ・ニール・ヤングの『ウェルド』(ニールは後ほど) ・ストーンズの『ストリップド』95年英盤。ストーンズも基本アナログ盤 は出続けているが、これはCDより数段よかった1枚。 ・ドナルド・フェイゲン『カマキリアド』93年ドイツ盤。この頃米リプラ イズ原盤はドイツ製アナログが多い。このアルバムはハイレゾが1番。 ・下段右端 デビッド・ボウイ『アースリング』97年EU盤。これは素晴ら しくマッシブな音質で、私的には『レッツ・ダンス』以降最も好きな1枚。 ・サンタナ『スーパーナチュラル』99年リリースだがアナログは00年リリ ース。写真はBMGによるオランダ盤。米ではクラレコから同00年に出ている が、この場合どっちをオリジナルといえばいいのか?値段は米のクラレコ 盤の方が高い。 ・エリック・クラプトン『アンプラグド』92年ドイツ盤。このタイトルで 90年代アナログに目覚めた方も多いのでは?何故かCDより臨場感がある。 ・ロキシー・ミュージック『ハート・スティル・ビーティング』90年英盤。 昔は売れ残りがゴロゴロしてたのだが...。ジャケがなかなか。 ・クイーン『イニュエンドゥ』91年英盤。フレディの遺作。CDより短いエ ディット盤だが、是非一度アナログ盤でも聴いてみて欲しい。 ・ジョージ・マーティン『イン・マイ・ライフ』98年英盤。やはりこの人 はアナログで、かつ英盤で聴きたい。ジェフ・ベックの「ア・デイ・イ ン・ザ・ライフ」が絶品。
ボブ・ディランとニール・ヤングも基本新作はアナログ盤でも発売されて いた。ディランはファンの質として納得できるが、ニールはそれに加えて 本人のこだわりも? 90年代から1枚ずつピックアップ。 写真左はボブ・ディラン『アンプラグド』95年。ディランの90年代盤でも 最もアナログをよくみかける。それだけ売れたのだろう。 写真は米盤で、11曲入りだが、同じアナログでもオランダ盤には「ラヴ・ マイナス・ゼロ/ノー・リミット」が収録されている。12曲版だ。 これは当時CDでも日本・ヨーロッパでは1曲多い12曲版だったからだと思 うが、ファンとしては悩ましい限りだ。 やはりディランは米盤で持つべきか、1曲多いオランダ盤か?(まあ両方 持つのが精神衛生上一番良いのだろうが)。 右はニール・ヤング『ウェルド』。91年クレイジー・ホースとの「ラグド ・グローリー・ツアー」のライブ盤。ドイツ盤だ。アナログもCD同様2枚 組だが、2枚組を敬遠気味の私でもこのライブ盤だけは繰り返し聴いてい る。クラプトンの『アンプラグド』同様、アナログで臨場感がUP。轟音グ ランジも耳に痛くない。
タイトルの位置がCDとLPでは違うなぁ 焼き鳥屋のオッサンのような顔つきで天使のファルセットを操るアーロン (エアロン)・ネヴィルのソロ『ウォーム・ユア・ハート』。この筆舌に 尽くしがたいファルセットもアナログで聴くに限る。 先日2013年発売の45回転2枚組アナログも聴かせてもらったのだが、それ も濃密なサウンドで素晴らしかった。これは1枚物で聴きやすい。音質も スッキリしている。 91年英盤だがオランダプレス。英プレスの英盤もあるようで、そういやレ ニー・クラヴィッツも2種あったな。
音質ならこれは外せない スティーヴィー・レイ・ヴォーン『ザ・スカイ・イズ・クライング』91年 米盤。死後の未発表曲集だが、圧倒的な音質に驚く。モービル社からも高 音質盤が出ているが、このオリジナル盤にはまったくかなわない。 だまされたと思って「リトル・ウィング」を許す限りの大音量で聴いてみ て欲しい。皮肉なことにSRVの全アルバムの中でも屈指の高音質盤だ。 伝統のMASTERDISK刻印入り(手書き)。
大物といえばU2も基本アナログ盤は出続けている。 90年代の愛聴盤は左の『アクトン・ベイビー』91年英盤。英盤は10枚のア ートカード入り(写真手前)。 右は『パッセンジャーズ』のサントラ95年英盤。ボノとデュエットするパ ヴァロッティの歌声が最高だ。
『アクトン・ベイビー』のジャケの話題で避けられないのがアダムの下半身。 当然この英盤アナログは未修整(写真左端、下から2枚目)。
サントラつながりで、この当たりも。 写真左上はオリバー・ストーンの『ナチュラル・ボーン・キラーズ』94年 英盤。ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーのプロデュース。 英SIMPLY VINYL社製。シンプリー・ビニールはほとんど売っぱらったがこ の1枚だけは残してある。レズナーの凄さを認識した1枚。 右上ヴィム・ヴェンダーズ『アンティル・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』 91年ドイツ盤(発売は92年1月の模様)。選曲、曲順が素晴らしく、聴い ているとロード・ムービーならではの情景が目に浮かぶ名サントラ。ジャ ケに記載されたこの顔ぶれをご覧いただきたい。デザイン違いのEU盤もある。 写真下が悪名高き98年のトカゲゴジラのサントラ。何盤か記載なし。 ジミー・ペイジが「カシミール」のリフを弾いている、というだけのために ZEPファンは泣く泣く買う(ま、それなりにカッコいいトラックになってるが)。 盤は変な緑色(全然ゴジラじゃねえよ)。 その他『トレインスポッティング』のサントラも人気があるようだ。
大物ハードロック系。 ヴァン・ヘイレン、メタリカ、エアロ。 写真右下のエアロスミスは『ゲット・ア・グリップ』93年オランダ盤。大復活 のゲフィン時代の最後を飾った1作で、曲のクォリティは半端なく高い(まあ それがエアロの魅力としてどうなのかはともかくとして)。 VHとメタリカは過去の記事から再録で。 メタリカのブラックアルバム もう何回もいってるからしつこい? まずは2008年の記事から再録で。 UPDATE 2008/11/29 メタリカの「メタリカ」 「バック・イン・ブラック」からおよそ10年後、91年に登場したメタリカ の通称ブラック・アルバムです。当然本人たちも意識したんでではないかと。 1が米オリジナルLPで2枚組、シングル・スリーヴ、インサートつき。 STERLINGカッティングで素晴らしい音質です。この頃はCDよりまだLPの方 が音がいいかもしれません。 2が欧州盤(オランダ製)LPで2枚組。シングル・スリーヴ、インサートつき。 欧州はVERTIGOからの発売なんですが、メタリカはここでオールド渦巻きレ ーベルを使ってます。 3は03年のソニー版。シングルジャケはいいんですが、インサートもなく、た だCDを紙製ジャケにいれたかのよう。 4は06年のユニバーサルに移籍しての紙ジャケ。インサートはついてますが 見開きジャケになり、VERTIGOの再発盤仕様。当初予定されていたリマスター 音源も採用されず。 という有様になっています。このへんのメタル系紙ジャケはまだまだといった とこです。 続いてヘビ年にちなんだ2013年元旦の記事から そういやメタリカのブラックアルバムにもヘビ、いたな。 左から米ヘビと英ヘビ。米産の方がいい音で鳴きます。 裏ジャケ5種でヘビだらけ。 あまりめでたい感じはしませんね。 後列左から米オリジナルLP、英オリジナルLP 前列左から新旧紙ジャケ2種と、DVD-Audio、最初に出た米CD。 どれがいいって、オーディオ的な音質はさておき、 米アナログが冒頭の『エンター・サンドマン』からググっときます。 盛り上がります。 DVD-Audioのステレオ版は5.1chのダウンミックスみたいです。 リミックスみたいなものなんで、オーディオ的には素晴らしい音質 ですが、ミックスに違和感を感じる方もいるかもしれません。 (HDTracksからのDL配信も同じ) オリジナルミックスをいい音で、ということなら米LPでしょう。 デジタルのオリジナルミックスだと、最初に出た米盤CDがいいです。 どーもこのアルバムはリマスターをくりかえすたびに変な音質にな っていってるような感じでして、紙ジャケのリマスターは うーむ、といったとこです(音はでかいんですけどね)。 まぁ、どのヘビがいいか、っていうと米国産をおもとめください。 ヴァン・ヘイレンの90年代 VHは08年の特集から抜粋して再録
では90年代へ! なんでもいいから『パウンド・ケーキ』を聴かせろ!という『パウ ンド・ケーキ』マニアのみなさん(います?)、お待たせしました、 91年の傑作HRアルバム「F.U.C.K.」です。 「For Unlawful Carnal Knowledge」のアナログ盤 全体的には80年代の「戒厳令」を思わせますが、スケールは格段に アップしていて、アナログで聴くとかなり気持ちいいです。 写真は左から米盤LP、『パウンド・ケーキ』の米シングル、ドイツ 盤LPです。この頃はアナログ盤不遇期で、大物でもアナログは出て いなかったりします。 このアルバムもドイツ盤はけっこう見かけるのですが、米盤LPは VHの中でも珍しいものになっています(といってもたいしてレア というわけでもないのですが)。 ドイツ盤は、ドイツ盤らしいメリハリのついた音。で、米盤を聴く と、やはり断然いいわけです(この時期におよんでなんで?)。奥 行きがあり、立体感が全然違います。 米盤のレーベル ちなみにこの米盤、裏にバーコードのないレコードクラブ盤です。 レーベルにもCRCの表記があります。レコードクラブ盤しか見かけ ないのですが、通常米ワーナー盤LPがあるのかどうかはわかりま せんでした。 シングルの方はワーナー盤。この時代ですから市販ではなくジューク ボックス用だと思います。 これが、鮮度は米盤LPと同じなんですが、低音がドゴーっとしていて ハイハットがバシャバシャいってるという、シングル用の音作りにな っていて面白いです。 決して音質がいい、とはお世辞にはいえないのですが、このやかまし さはなかなか。 B面は『TOP OF THE WORLD』で、曲のサウンドバランスとシングル 用の音作りがマッチしたのか、迫力ある音で楽しめます。あ、シング ルで聴くといい曲じゃん!って思える仕上がり(笑)。 次の2枚組ライブ盤「RIGHT HERE,RIGHT NOW」はLPが出ていたか どうかはわからないのですが、やっぱりシングルはあったりします。 (初回のCDがCDシングル付きで、缶入りのCDシングルも何種か出て いるのでアナログシングルも複数あるかもしれません)。 「ドリームス」のライブ盤シングル レーベルの赤線1のところに(LIVE/EDIT)のクレジットがあり、赤線 2の部分にライブ盤からのシングルカットである表記が入っています。 このライブのエディットヴァージョン、これもシングルで聴くとかなり 燃えます。もう最初のキーボードイントロから鍵盤をガッシガッシ叩い てる感じですし、ドラムやベースもやかましいのなんの。 ちょっとAOR風の曲ですがこの状態できくと、ああVHだなぁと満喫でき てしまいます。 (この名曲「ドリームス」、日本ではスタジオ盤のEDITバージョンがシ ングルで出ていました)。 「バランス」の米盤LP 95年になるとアナログ盤が復活して、もう普通に米ワーナー盤がありま す。中古でもいっぱい見かけます。いいことですね。 日本盤CDにボーナス収録されていた「CROSSING OVER」は米ではCD シングルのB面。ということで当然の流れとしてアナログシングルでも B面に入っています。全部アナログで聴きたいという方はアルバムとい っしょにシングルも持っておくといいです(いいのか?) 「CROSSING OVER」の米シングル レーベル赤線部分に(NON-ALBUM TRACK)のクレジットがあります。 ちなみにA面は「CAN'T STOP LOVIN' YOU」で、クレジットは (ALBUM VERSION)となっています。親切ですね。 日本盤CDと 日本盤ではジャケットが結合双生児を思わせたためか、一人乗りシーソー ジャケになっちゃってます。シーソーではあるんですが、これじゃ「バラ ンス」の意味がないんじゃないの? (二人いてこそ”V"の字風に見える、というのもありますしね)。 ========================================================================================= 90年代がメインのバンドも少し オアシス、ブラー、スマパンといった、90年代をメインに活動したバンドは今回 は扱わないよー、といって始めた本特集だが、やはり少しだけ。
左上ベック94年のメジャーデビュー作。この『メロウ・ゴールド』はアナロ グで良く聴いたんだが、次作『オディレイ』は売ってしまった。1stは素直な 部分が良かったのだが、2ndはフェイクっぽさが鼻についたんだと思う(一般 的な評価とは違うと思うが)。 右上ソニック・ユース99年の『Goodbye 20th Century』はまさにこの年に出る べき1枚(この年にしか出せないというか)。90年の『GOO』はなんとモービ ル・フィデリティ社からアナログ盤が出ていた。 左下レイジ・アゲインスト・マシーンのメジャー・デビューアルバム。92年。 その衝撃は色褪せるどころか、年々重要度を増しているように思える。まだま だ安いので今のうちに。これもMASTERDISK刻印のある米盤がオススメである。 右下は間違い(笑)。90年代じゃないや。70年代から続くミートローフの 『バット・アウト・オブ・ヘル 2』93年英盤。マイク・オールドフィールド の『チューブラーベルズ』と並ぶ、一発ヒットの続編でかせぎますタイトル だが、アナログで聴くとやはり説得力がある。
ニルヴァーナ、マイブラ、ガンズ。 右のガンズの90年代タイトルも最近値上がり気味だ。かなりアナログでも 売れたと思うのだが。 中央上の赤いマイ・ブラッディ・バレンタイン『ラブレス』91年英盤。こ ちらも高騰気味。DMM刻印があるのがオリジナル。 賛否両論あるDMMカッティングだが、シューゲイザーにはマッチしている ように感じる(クラシックのストリングスものに良いのと同じ?)。その 時代の技術とサウンドがマッチした好例。 ニルヴァーナはこれも07年に紙ジャケが出た時の記事があるのでそれを 再録っと。 UPDATE 2007/11/21 本日はニルヴァーナの紙ジャケが発売。 わたしは発売当時に「ネヴァーマインド」の輸入CDを買ったのが最初で、衝撃を うけてすぐ「ブリーチ」のCDを買った口。したがって、この2枚があればニルヴ ァーナは十分という人間だ。「イン・ユーテロ」はどうも息がつまる。 ということで今回は「ネヴァーマインド」のみ購入。 これってCDがオリジナルなんで復刻がどうこういってもしょうがないのだが 名盤だけあって今までけっこうアナログも出ている。 手元にあるのは発売当時の米盤、EU盤、96年の日本初回?盤。その他にもモービ ル、SIMPLY VINYL、最近のユニバーサルの日本版アナログなどの高品質盤、ピク チャーディスクも出ていた。 とりあえず手元の盤で比べてみる。 デジタル録音なんで、全部いっしょだろーと思うと、あにはからんや、これが発売 時に出た米盤アナログが一番いい。胸にぐいぐい迫ってくる。シングルの「スメル ズ・・・」に関しても英盤12インチより米盤7インチの方が全然リアル。 なんなんでしょ・・・一体。 でも紙ジャケもインナー、レーベルとも再現してあるし、秘蔵フォトカードなんか もついてるんで、まぁ満足してます。 もう7年前になるが、などと偉そうにいっていたわけだが、その米盤アナログLPと シングルのレーベルがこれ。 これまた両方とも手書きのMASTERDISK刻印入り。やはり伝統の達人カッティング。 ニルヴァーナは究極、このスメルズのシングル1枚でもいいかも。 (最近『イン・ユーテロ』は見直しているが)。 ================================================================================================================= 97の名盤は何だろ? 1877年にレコードが発売されたせいもあるかもしれないが、各ジェネレーション で7がつく年は名盤が多い気がする。それもエボック・メイキングな。 1957 ロリンズの『サキコロ』、マイルスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』 (いずれも発売年)。 1967 ビートルズの『サージェント』、VUのバナナ等。ジミヘンのデビューとコルト レーンの死とブルーノートの身売り。 1977 ピストルズの『勝手にしやがれ』、スティーリー・ダンの『彩』、ウェザー・ リポートの『ヘヴィー・ウェザー』等。プレスリーとボラン死去。 1987 U2の『ヨシュア・トゥリー』、ガンズの1st等。ジャコ死去。 ときて、97年は例えばこれ等かと。
左がレディオ・ヘッド『OK コンピューター』。英盤で、かつ伝統のParlophone盤で あるばかりか、カッティングが伝説のクリス・ブレア。 当然Blairの刻印があるものがオリジナル。非現実的な奥行き感のある素晴らしい 音質で、ヒットしたのもうなづける。 右が当時デジロック?とかいわれたケミカル・ブラザーズ『Dig Your Own Hole』。 まあこれもアナログで聴くとなかなか聴きごたえがある。 どちらかというとプロディジー『FAT OF THE LAND』じゃないか?とか、まあ色々 ありそうだ。 3年後、2017年には20年を経て、このあたりのアルバムの評価も確立しそう。 その前に97年の名盤をアナログでおさえておくのもいいかもしれない。 (何しろ、何度もいうが、90年代のアナログ盤は数が少ないのだ)。 ================================================================================================================= この他にも忘れているのが色々あるだろうし、我々が知らない盤も多々あるだろう。 90年代といえば日本のバンドもレアなアナログがかなりある。 何が今後評価を確立し、プレミアがついていくのかを考えながらレコードハンティ ングしていくのも楽しいかな、と思う。 みなさんからの情報も是非!Twitterなどでいただければ、続編もまたやろうと思 っている。 =================================================================================================================== <了>2014/07/10
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